スピード感覚、交通の流れを読む力は落ちていると考えよう

間もなく39県で緊急事態措置を解除 久しぶりに乗るときに注意したいのは?

新型コロナウイルスの感染拡大を防止する目的で全国実施されていた緊急事態措置について、政府は2020年5月14日に愛知や福岡など重点的な対応が必要とされてきた5県を含む39県で解除することを正式決定する見通しだ。そこで久々にバイクに乗るというユーザーにお伝えしたいことがある。

2020年4月7日に東京都など7都府県で発出された緊急事態宣言は、4月16日に全国へと展開。5月6日まで緊急事態措置が実施され、さらに延長となって現在に至っている。この緊急事態措置について、本日5月14日に愛知や福岡など重点的な対応が必要とされてきた5県を含む39県で解除することが正式決定される見通しとなった。

生活や仕事のなかでさまざまな緊張感やストレスに向き合ってきたのは全ての人々に共通することだろう。これは我々ライダーにとっても同じだった。そして、不要不急の外出やバイク走行は控えるように留意してきている一方で、バイクは“密”を避けながら移動できるという点では、リモートワークが難しい職業の方々の通勤などに利用できるというメリットも発見できた。

通勤でのバイク利用で言えば、緊急事態措置が解除になったとしても、それほど大きな変化はないかもしれない。しいて言うなら、リモートワーク期間を終えて久しぶりに運転するドライバーやライダーが増えることが予想されるので、いつもと違う交通の流れに注意したい、ということだろう。

注意が必要なのは、しばらくバイクに乗っていなかった趣味のライダーだ。まず大前提として、「これにて全面解禁」ではないということをお伝えしておきたい。感染の第2波を防ぐためには、これまで同様に密をなるべく避け続ける必要があるし、事故による怪我などには以前にも増して注意しておかなければならない。医療従事者の方々は大変なストレスと過重労働にさらされており、趣味での怪我で余計な負担をかけることは避けなければならないからだ。

また、しばらくバイクに乗っていないことから、速度に対する感覚や交通の流れを読む力は落ちていると想定しておいたほうがいい。バイクの動きに対するわずかな反応の遅れや、他車の動きの把握の遅れは、時として大きな事故に繋がる可能性がある。さらに、周囲のライダーやドライバーも同じようなブランクを経ている可能性は非常に高いのだ。

すべてのライダーやドライバーが自分と同じように厳しい時期を過ごしてきたのだと想像して、連帯感と思いやりを持った運転を意識していただきたい。

走り始めてすぐのタイミングでセルフチェックを

他の交通との関わり方だけでなく、操縦感覚についても触れておこう。

自分がバイクに乗れているのか、周囲の状況把握ができているかは、安全に直結するもの。これをなるべく早いタイミングで認識してく必要がある。おすすめしたいのは、家を出て最初の交差点での右左折でセルフチェックすることだ。

バイクは速度が上がれば勝手に安定し、それによって「自分は大丈夫」となってしまいがち。だからこそ、自分でバランスを取らなければならない低速時に判断するわけだ。

一時停止があるなら、そこでフラつきはなかったか。足を着く際にドキッとしなかったか。そして、右左折時に“思い通りに”曲がれているか。ここでわずかでもイメージとバイクの動きにズレがあったなら、それが一致してくるまではかなり慎重に走ったほうがいい。目安になるのは、前輪と後輪が思った通りのラインを通っているかどうかと、アクセルワークがギクシャクしなかったか、ブレーキで思った通りの位置に止まれたかどうかの3点だ。

また、ギヤチェンジは引っ掛かりなく行えているか、ブレーキを掛ける際にカクンとなっていないか、といった点も注意しておくといいだろう。とにかく、イメージと実際の動きのズレには敏感になっていただきたい。

そして同時に、周囲の環境が見えているかどうかも大切だ。交差点を曲がる際に路面ばかり見ていないか、歩行者や他車に気づくのが遅れていないか……。

いずれのセルフチェックも、速度が増して惰性で走れてしまう前に感じ取つことが大切だ。そしてイメージと体感が馴染むまで慎重に身体慣らしを行おう。また、以前のように周囲を把握するためには、必要以上と思えるほどに目線を切り替え、頻繁に目視やミラーの確認をするぐらいでちょうどいいはずだ。

本来であれば絶好のバイクシーズン。しかし、新型コロナウイルスとの戦いは長期戦の様相を呈している。また思いっきりバイクを楽しめる日を心待ちにしながら、慎重なスタートを切っていただければと願っています。

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