生産終了から3年ぶりとなる’19年に復活したカワサキのネオクラシックモデル・W800シリーズは、往年のスタイルや並列2気筒エンジンといった伝統を継承しつつ、新設計のフレームや前後ディスクブレーキなど、走行性能が大幅に向上。今回は3番目に発売されたスタンダードモデルに試乗した。
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[○]フロント19インチの味わい。これぞスタンダード
’19年、3年ぶりにカワサキのネオクラシックモデル・W800シリーズがラインナップに復活した。アップハンドルの「ストリート」、スワローハンドル&ビキニカウルの「カフェ」とも、前後に18インチホイールを採用。一新されたフレームと相まって、先代よりもモダンなハンドリングとなった。
そして’20年、ついに本流とも言える新型のW800(無印)が発売された。クロームメッキパーツを多用した外観は先代の流れを汲むもので、何よりファンが待ち望んだのが19インチのフロントホイールだ。なお、新型フレームをはじめ、4psアップした773㏄の空冷バーチカルツインやディスク化されたリヤブレーキなど、アップデートの内容については先に発売された2つのモデルと共通である。
まずはハンドリングから。先代は直線部分で十分に減速し、後ろ荷重でコーナーに新入するという旧車らしい操縦が求められた。一方、新型はフロント19インチならではのおおらかな旋回特性を表現しながらも、明らかに乗り方に対するキャパシティが広がっている。これはφ39mmから41mmへと太くなったフロントフォークや高剛性なフレームが貢献しているのは明白で、ブレーキングを残しながらコーナーにエントリーするという現代的な乗り方も可能に。さらに、標準装着タイヤがダンロップのTT100GPからK300GPになったことで、グリップレベルも高まっていると感じた。それでいて、前後18インチのカフェやストリートほどモダンすぎないというのが絶妙である。
続いてエンジンについて。W800のデビューは’11年で、当時よりも明らかに味わいが濃厚だ。重量級のフライホイールによる独特の脈動感はキャブ時代のW650から大切にされてきたが、モデルチェンジの際にFIの勘所をつかんだのか、特に低〜中回転域でのトルクの密度感が高まっている。トップ5速、100km/hでの回転数は約3500rpmで、この付近を維持してのクルージングが実に心地良い。アシスト&スリッパークラッチによるレバーの操作力の軽さや、ミッションタッチの良さも新型の長所と言えよう。
ストリート&カフェとは何が違う?
無印/カフェ/ストリートの違いをまとめたものが下の表だ。W650時代からのスタイリングを色濃く残すのが無印であり、先に登場したカフェとストリートは派生モデルと言えるだろう。細部の塗色や仕上げも細かく異なるのだ。
乗車姿勢は3車三様。ストリートは低シート
ハンドル形状の違いはライディングポジションに顕著に現れる。シート高はカフェと無印が790mm、ストリートは770mmとなっており、足着き性はもちろん、ステップに足を置いたときのヒザの曲がり具合も異なる。無印が最もバランス良し。
フロントのみ18→19インチに。往年の操安性を具現化
フロント18インチホイールのカフェ&ストリートに対し、無印はW650時代からの19インチを採用。リム幅は同じく2.50インチで、標準装着タイヤの銘柄もダンロップK300GPで共通。
先代のハンドルを継続。文字盤は3車で異なる
高い方のアップハンドルを採用するのがストリート、ローハンドルは無印で、カフェはさらに低いスワロータイプ。メーターの文字盤はそれぞれで異なる。
無印は大部分の仕上げをシルバーで統一
773ccの空冷SOHC4バルブ並列2気筒は3モデルで共通だが、塗色や仕上げで差別化を図る。無印はシリンダー以外をシルバーで統一し、よりクラシカルな印象としている。
その他細部にわたって違いあり
[△]9年で25万円アップ。価格で英国車に接近
W800のデビュー時が税込85万円、先代の最終型FEが92万5560円だったので、新型の110万円は一気に価格がアップした感は否めない。トライアンフのストリートツインが107万円なので、コンセプトが近いこのモデルと迷う人がいても不思議ではない。
[こんな人におすすめ]先行2車よりも突出しておらず、長く楽しめそう
’19年にカフェとストリートを乗り比べたとき、モダンなハンドリングに感激した一方で、ライディングポジション的にこれの中間があればいいのにと思ったのだが、まさにそれが誕生した。見た目こそ先代から変わらないが、中身は別物と言える。
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