長く楽しめそうなスタンダードモデル

’20カワサキW800試乗インプレッション【見た目は変わらず中身は大幅に進化】

生産終了から3年ぶりとなる’19年に復活したカワサキのネオクラシックモデル・W800シリーズは、往年のスタイルや並列2気筒エンジンといった伝統を継承しつつ、新設計のフレームや前後ディスクブレーキなど、走行性能が大幅に向上。今回は3番目に発売されたスタンダードモデルに試乗した。


●まとめ:大屋雄一 ●写真:岡拓 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

’19年、3年ぶりにカワサキのネオクラシックモデル・W800シリーズがラインナップに復活した。アップハンドルの「ストリート」、スワローハンドル&ビキニカウルの「カフェ」とも、前後に18インチホイールを採用。一新されたフレームと相まって、先代よりもモダンなハンドリングとなった。

そして’20年、ついに本流とも言える新型のW800(無印)が発売された。クロームメッキパーツを多用した外観は先代の流れを汲むもので、何よりファンが待ち望んだのが19インチのフロントホイールだ。なお、新型フレームをはじめ、4psアップした773㏄の空冷バーチカルツインやディスク化されたリヤブレーキなど、アップデートの内容については先に発売された2つのモデルと共通である。

【’20 KAWASAKI W800】 主要諸元 ■全長2190 全幅790 全高1075 軸距1465 シート高790(各mm) 車重226kg ■空冷4スト並列2気筒SOHC4バルブ 773cc 52ps[38kW]/6500rpm 6.3kg-m[62Nm]/4800rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量15L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=100/90-19 R=130/80-18 ●色:緑 ●価格:110万円

[エンジンガードはオプション設定だ] 試乗車は純正アクセサリーのエンジンガードを装着。LEDヘッドライトやタイヤ銘柄の変更が外観上の先代との大きな相違点だ。

まずはハンドリングから。先代は直線部分で十分に減速し、後ろ荷重でコーナーに新入するという旧車らしい操縦が求められた。一方、新型はフロント19インチならではのおおらかな旋回特性を表現しながらも、明らかに乗り方に対するキャパシティが広がっている。これはφ39mmから41mmへと太くなったフロントフォークや高剛性なフレームが貢献しているのは明白で、ブレーキングを残しながらコーナーにエントリーするという現代的な乗り方も可能に。さらに、標準装着タイヤがダンロップのTT100GPからK300GPになったことで、グリップレベルも高まっていると感じた。それでいて、前後18インチのカフェやストリートほどモダンすぎないというのが絶妙である。

続いてエンジンについて。W800のデビューは’11年で、当時よりも明らかに味わいが濃厚だ。重量級のフライホイールによる独特の脈動感はキャブ時代のW650から大切にされてきたが、モデルチェンジの際にFIの勘所をつかんだのか、特に低〜中回転域でのトルクの密度感が高まっている。トップ5速、100km/hでの回転数は約3500rpmで、この付近を維持してのクルージングが実に心地良い。アシスト&スリッパークラッチによるレバーの操作力の軽さや、ミッションタッチの良さも新型の長所と言えよう。

ストリート&カフェとは何が違う?

無印/カフェ/ストリートの違いをまとめたものが下の表だ。W650時代からのスタイリングを色濃く残すのが無印であり、先に登場したカフェとストリートは派生モデルと言えるだろう。細部の塗色や仕上げも細かく異なるのだ。

先行して発売されたW800カフェ(左)とW800ストリート(右)

乗車姿勢は3車三様。ストリートは低シート

ハンドル形状の違いはライディングポジションに顕著に現れる。シート高はカフェと無印が790mm、ストリートは770mmとなっており、足着き性はもちろん、ステップに足を置いたときのヒザの曲がり具合も異なる。無印が最もバランス良し。

無印のライポジ。筆者は身長175cm体重62kg。

(左)ストリート(右)カフェ

フロントのみ18→19インチに。往年の操安性を具現化

フロント18インチホイールのカフェ&ストリートに対し、無印はW650時代からの19インチを採用。リム幅は同じく2.50インチで、標準装着タイヤの銘柄もダンロップK300GPで共通。

(左)無印(右)カフェ&ストリート

先代のハンドルを継続。文字盤は3車で異なる

高い方のアップハンドルを採用するのがストリート、ローハンドルは無印で、カフェはさらに低いスワロータイプ。メーターの文字盤はそれぞれで異なる。

(上)無印(中)ストリート(下)カフェ

無印は大部分の仕上げをシルバーで統一

773ccの空冷SOHC4バルブ並列2気筒は3モデルで共通だが、塗色や仕上げで差別化を図る。無印はシリンダー以外をシルバーで統一し、よりクラシカルな印象としている。

(左)無印(中)ストリート(右)カフェ

その他細部にわたって違いあり

(左)フェンダーは前後に樹脂製の小振りなものを採用するカフェ&ストリートに対し、無印は先代と同じクロームメッキのスチール製だ。(右)無印のシートはタックロールタイプで、ストリートとの違いは座面の厚さだ。この下にはETC2.0車載器があり、メーターにはインジケーターも。

(左)バックミラーはカフェ&ストリートの丸型に対し、無印は先代からのスクエアを継承する。(右上)カフェと同様にグリップヒーターを標準装備する。左右スイッチボックスはシリーズ共通。(右下)無印のみ標準装備となるメンテナンススタンド。チェーンに注油する際など何かと便利だ。

[△]9年で25万円アップ。価格で英国車に接近

W800のデビュー時が税込85万円、先代の最終型FEが92万5560円だったので、新型の110万円は一気に価格がアップした感は否めない。トライアンフのストリートツインが107万円なので、コンセプトが近いこのモデルと迷う人がいても不思議ではない。

[こんな人におすすめ]先行2車よりも突出しておらず、長く楽しめそう

’19年にカフェとストリートを乗り比べたとき、モダンなハンドリングに感激した一方で、ライディングポジション的にこれの中間があればいいのにと思ったのだが、まさにそれが誕生した。見た目こそ先代から変わらないが、中身は別物と言える。

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