リッターSSを凌ぐ存在になりうるか!?

Early ’20 アプリリアはミドルクラスに注目【RS660は100ps+6軸IMUフル電脳】

アプリリアが2018年のEICMAにて発表した本気ミドルクラスのコンセプトモデル「CONCEPT RS660」。その後の準備が進み、市販版「RS660」に近い仕様が明らかになった。軽量な車体に最新電脳やウイングを備え、必要にして十分な100psを発揮。『ヤングマシン』本誌が考える理想的なFUNスポーツに近い1台だと言えるだろう。より軽快に振り回せる「トゥオーノ660コンセプト」と合わせて紹介する。

RS660:クラス唯一の翼まで授かった新世代機は価格面も期待

ハイスペック化とともに高価格が進んだリッタースーパースポーツは、今や一般人にとって手の届かない存在になってしまったと言っても過言ではない。が、そんな潮目を変える1台になりそうなのが、この「RS660」だ。

APRILIA RS660

【APRILIA RS660■水冷並列2気筒DOHC4バルブ 660cc 100hp ■重量169kg(乾燥) 6速 ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●本誌予想価格:150万円前後 ●本誌予想発売時期:’20年末

APRILIA RS660

車体寸法は未公表だが、見た目は非常にコンパクト。車体色は2カラーで、紫×赤は2ストレプリカ、’94RS250のレジアーニカラーが元ネタだ。

カギは、そこそこのパワーに軽量コンパクトな車体が生み出す、操って楽しいスポーツ性能。心臓部にはRSV4 1100のV型4気筒から前バンクのみを使用したユニークな新設計パラツインを搭載。詳細は未公表だが、100HP=101.4psを発生すると言う。

シンプルなアルミフレームやピボットレス構造により、乾燥重量は169㎏を実現。資料によると「エクセレントなパワーウェイト比を目指す」という。装備重量は180㎏台と予想され、直4の600SSより軽量&しなやかな走りが期待できる。加えて、6軸慣性センサーとトラコン、5つの走行モード、コーナリングABSなどRSV1100と同等の電脳デバイスで武装。同排気量帯で唯一となるボックス形状のウイングレットまで投入する。

RS660は、当然サーキットも楽しめるが、狙ったのはあくまで公道でのファンライド。そのために最新技術を惜しみなく投入するという新発想のマシンとなる。加えて、イタリアンメーカーらしくデザインに一切手抜かりがないのも素晴らしい。

価格は未発表ながら、このパッケージにしては抑えめのプライスタグがつく模様。本誌では期待を込めて、’20年内の国内入荷を予想したい。

APRILIA RS660

RSV4 1000のV型4気筒を活用した新設計パラツイン。低コストと高性能を両立させる大胆な手法だ。爆発間隔は270°で、鼓動感やトラクション性能を狙った。後半部を省略したアルミフレームも特徴的。

APRILIA RS660

左右非対称のアルミスイングアームはエンジンに直接マウントしたピボットレス構造。リヤサスは非リンク式だ。双方向対応クイックシフターも完備。

(左)サイドパネルは二重構造で、外側はリヤに抜けたウイング形状。高速安定性に加え、エンジンの熱をライダーの足元に当てない効果を併せ持つ。(右)KYB製のφ41mmフロントフォークはフル調整式。これにブレンボ対向4ポットをラジアルマウントし、φ320mmWディスクと組み合わせる。

APRILIA RS660

RSVシリーズらしい3眼ライトの顔。灯火類はフルLEDで、なんとコーナリングライトまで備える。鮮烈なデイライトが両目をフチどり、その下に導風版を配置する。

APRILIA RS660

【機能抜群メーターとハンドル位置に注目】このクラスでは珍しいフルカラーTFT液晶メーターを搭載。画面モードをロード/トラックに切り替えられるほか、スマホと連動してナビや電話着信も表示できる。インジケーターの配置などデザインも優秀だ。ハンドル位置はトップブリッジよりやや上。日常域でスポーツできるキャラを表している。

トゥオーノ660コンセプトより軽快に、より多用途に

APRILIA RS660
APRILIA TUONO 660 CONCEPT

RS660をベースにアップライトなバーハンドルを装着した、よりお気軽なスポーツモデル。歴代のトゥオーノはもう少しネイキッド的なスタイルだったが、本作はさらにSS寄りのルックスが際立つ。並列2気筒は、最高出力を95HP=96.3㎰に抑え、中低速パワーを増強。RS譲りのアルミフレーム+スイングアームや倒立フォークなどの足まわり、6軸IMUのフル電脳を共有するという豪華さだ。

外装は、ミドルカウルを専用とし、エンジンを露出。テールのデザインも異なり、RSで極小だったタンデムシートの面積が拡大している。ミドル級の”ラクッ速”でもアプリリアが革命を起こすか?

(左)バーハンドルをマウントし、リラックスした”殿様ポジション”を実現。広い用途で楽しめるストリートバージョンだ。アッパーカウルは小型化され、低く構えた面構えとしている。メーターはRSと同様。 (右)ウイングも専用。ルーバーを設けた多層構造で上部は抜けている。中低速向けのセッティング?

RS250SP:次世代のビアッジ、ロッシ養成マシン

かつての2ストレプリカRS250を彷彿とさせる車名のマシンは、イタリア国内選手権向けのレーシングモデル。心臓は4スト単気筒で、アルミフレームやブレンボ+オーリンズなど豪華な車体を持つ。若手育成が目的で、残念ながら公道版はなさそう。

APRILIA RS660

【APRILIA RS250SP】RS125の公道仕様より35kg軽く、価格は1万ユーロ(約120万円)以下。このクラスとしては安価なレーサーとなる。エンジンはミニバイクで有名なOhvaleが生産。

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