’20 ホンダCBR1000RR-R国内フルテスト

TOHOレーシング・ライダー國川浩道選手から見たCBR1000RR-Rとは

待ちわびた”ガチなホンダ”が、「CBR1000RR-R」という最高のカタチで戻ってきた。その本気度を測るべく、ヤングマシン編集部では国内最速のフルテストを敢行した。今回テストに借用したRR-Rは、全日本ロードレース選手権に新設されたST1000クラスに参戦するために広島のTOHOレーシングが購入したもの。そのライダー・國川浩道選手はRR-Rをどう見たのか?


●まとめ:田宮徹 ●写真: 長谷川徹 ●取材協力:TOHOレーシング ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

TOHOレーシング・國川浩道選手
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TOHORacing ST1000ライダー:國川浩道 選手】元々は公道ライダーで、21歳からロー ドレースに挑戦。4年目の’06年には全日本選手権参戦を果たし、ST600クラスを中心に活躍してきた。最近はテイスト・オブ・ツクバの活躍でも知られる。

「またがった瞬間は、レーシーすぎて逆に違和感を覚えるほど。丸山浩さんも指摘していましたが、シートに対してステップ位置がかなり高く、自分には窮屈すぎる印象がありました。ただしコースを攻め込んでいくうちに、ライディングポジションはそれほど悪くない感触に変化しました。

なにより驚かされたのはエンジンパワー。『ノーマルでこれかよ!』という感じです。マフラーの排気バルブが開いている回転域なら、ものスゴい加速がトップエンドまで続きます。乗り比べるとS1000RRのほうがジェントルで、出力特性やハンドリングに扱いやすさがあり、RR-Rがサーキットに特化していることがより理解できます。600よりもレーシーだし、これまでのホンダ車からしたら考えられないほどの過激さです。 

車体は、タイヤがストリート用でスライドが多かったとか、電子制御サスの動きが自分のフィーリングと合わない部分があるとかいうことを抜きにして評価するなら、剛性感が先代までとだいぶ違いますね。これまでのモデルは、普通に乗っていても硬さと重さを感じたのですが、RR-Rはあえて剛性を落としているように感じました。これはフレームだけでなくスイングアームも同様で、レースシーンでハイグリップタイヤを履かせたときにどういう評価になるのかが、ファーストコンタクトを終えたばかりの現段階としてはもっとも気になるところです。 

僕が今年参戦するST1000は、全日本ロードレース選手権に新設されるクラスで、改造範囲がJSB1000と比べてかなり狭いんです。その中でこのエンジンと車体は、とてつもない有利な武器になると思います」

【3年ぶりの復帰でST1000/600のダブルエントリー】’11年からST600クラスやJSB1000クラスで活躍してきたTOHOレーシングが、3年ぶりに全日本選手権復活。’14 年に同チームからST600に参戦して優勝も獲得した國川浩道選手が新設のST1000クラス、國峰啄磨選手がCBR600RRでST600クラスにフルエントリーする。

ベース車としては十分。あとはどう合わせ込んでいくか

TOHORacing チームマネージャー 江口謙氏
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【TOHORacing チームマネージャー 江口謙氏】GP250やJSB、8耐など日本のトップクラスで走り続け、‘16年のピレリカップでは初代王者に。現在は自らのショップを営む一方、’20年はTOHOのマネージャーを務める。

「個人的なインプレッションとしては、S1000RRと比較してRR-Rのほうが車体の安定性が高く、断然楽しいと思いました。ギヤ比はロングすぎる印象でしたが、RR-Rのほうが振り回しやすくて『よし、遊ぼう』という気になりますね。

レースベース車としてのポテンシャルは十分ですが、だからこそ我々のようなレーシングライダーが乗ったときには、「あれをこうしたい、ここを調整したい…」という気持ちが次々に湧いてきます。実際にレーサーとする場合、この素材をどうやって自分に合う方向性にまとめるかというのが、まずは勝負どころですね」

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