圧巻のハイスペックを誇るスーパーネイキッドマシン・KTM 1290スーパーデュークRが刷新。モーターサイクルジャーナリスト・鈴木大五郎氏が、ポルトガル・ポルティマオにてサーキット&公道テストを行った。速くて乗りやすい!というビーストらしさには、さらに磨きがかけられていた。後編では公道へとテストの舞台を移す。
1301ccという大排気量に180psのハイパワー。トルクは140Nm…。「ビースト」と名付けられたこのマシンのスペックは、まさに野獣だ。 しかし、走り出してみれば、それが多くのライダーを恐れおののか[…]
●文:鈴木大五郎 ●写真:KTM ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
公道テストでは意外な優しさを見せる
昼食を挟んで、午後はワインディングを中心とした公道を走行した。サーキットでのポテンシャルアップは正直、明らかであった。反面、もともとスーパーデュークRがそのスペックに見合わないほどのフレンドリーさを持っていたのは、車体剛性のしなやかさから来るものでもあったと考える。
サーキットユースでのポテンシャルアップを狙うあまり、公道でのフレンドリーさがスポイルされているのではといった心配もあったのだが、ライディングモードをストリートにし、足まわりもプリロードと減衰力も抜く方向でセットアップされたビーストは、午前中の走行で疲労感の残る身体にいきなり優しいフィーリングで接してくれたのだ。
従来モデルの、いかにもモンスターマシンを操っているといったしなり感も捨てがたい魅力があったが、新型はリニアさが増していて、マシンがより軽快でコンパクトに感じられる。
高回転域までしっかりパワフルなビッグツインエンジンは反面、低回転域での扱いやすさを犠牲にすることも少なくないのだが、このビーストの低速域は良く調教されていて妥協がまったくない。AT車のように5速、あるいはトップに入れて鼻歌交じりに走れるスムーズさに驚かされたのだ。
ちなみに、KTMの試乗会では開発者も一緒に走る機会が多いのだが、感心するのが彼らのライディングスキルの高さとバイクへの愛情深さ。ビーストの完成度の高さは電子制御の進化もあると思われるが、彼らの情熱が育んだ結晶であると改めて感じたのだった。
ビースト3.0と称された1290スーパーデュークRの第3章。スタイリングはキープコンセプトながらその多くを刷新。LED製ヘッドライトのセンターはラムエアーダクトとなっており、超高速域でも衰えないパワフルさを発揮。
ボリューム感あるスタイリングであるが、実はそれが相当スリムなのがわかる。エンジン幅ギリギリまで追い込めるのがトレリスフレームにこだわる理由でもある。タンクおよびサイドパネルは高速域でダウンフォースを生み出す形状に。ノンカウルであることから、風圧がものすごいことに変わりはないが…。
ヒップポイントがやや高めで若干の前掲姿勢。スポーティに走らせるとその意図がよくわかる。ステップ、ハンドルともに位置調整可能(身長165cm/体重62kg)。
ピストン、ヘッド回り、クランクシャフトおよびクラッチ回りと、排気量に変更はないもののフルモデルチェンジにふさわしい改良。出力アップしつつ、単体での軽量化も果たす。
エンジンの搭載位置を38mmアップさせ、バンキングの素早さや運動性を向上。また、スイングアームピボット位置をさらに5mmアップしたことで、開けた際のリヤトラクションを向上。
2キロの軽量化を図るとともに、エンジンをストレスメンバーとして積極的に用い、従来比3倍の剛性を確保した新型フレーム。
リンク式に変更となったリヤショックマウント。WP製ショックは工具を必要とせずプリロード調整が可能。スイングアームも新作で、15%の剛性アップとともに、軽量化も実現。
フロントフォークはKTMおなじみのWP製。ニューデザインのホイールは軽量なだけでなく、適切な剛性化によるハンドリングを向上。装着タイヤはブリヂストン製S22。
新型となる5.0インチTFT液晶モニターはライダーの身長や使用環境に合わせ、角度をアジャスト可能。ハンドル左のスイッチで主に操作。KTM MY RIDEと連携。
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