理にかなった究極の組み合わせ

ビモータ テージ H2の中心機構「ハブセンターステア」の利点とは?

ビモータの最新作「テージ H2」。ビモータ伝家の宝刀”ハブセンターステアリング”は、カワサキH2=スーパーチャージドエンジンとの組み合わせによってどんな異次元体験を引き起こすのか。テレスコピック型とまったく異なるステアリング機構は、どのような利点をもたらすのだろうか?

操舵系と懸架系が混在するテレスコピック型フロントフォークの場合、サスペンションのバネが巨大な減速Gを支える設定となり、それは制動時以外の衝撃吸収や路面追従性を阻害する要因となる。

さらに、前輪が受けた外乱によって高い位置にあるヘッドパイプが揺すられてしまうのも、安定性の面では不利。そこで減速Gなど大きな外力をロワーアームで支える構造とし、高速域での安定性と旋回性の両立を図ったのが、ハブセンターステアリングの始まりだ。

アンチノーズダイブ効果や速度域によって変化量が少ない車体姿勢といったハブセンターステアリングの利点は、驚異的な速さを持つスーパーチャージドエンジンH2と組み合わさった今、すこぶる理に適っていると言えるだろう。

【bimora TESI H2】

操舵系はヘッドパイプからリンクを介してハブに接続。懸架系はロワーアームとショックで衝撃を吸収と、機構的に完全独立。ここがキモとなる部分だ。

操舵系は、複雑なリンクを介して前輪ハブとつながっている。デメリットとしては、可部が多いためしっかりしたメンテが必要。乗りっ放し派には維持できない。

ショックユニットにはオーリンズを採用。現代のショック技術が、ハブセンターステアの可能性をさらに高めてくれる。

サーキットでもエルフなど昔からテレスコフォークを超える技術を模索していた歴史が。ビモータもTESI 3Dレーサーで挑んできた。

ハブセンターステアの生みの親であるピエルルイジ・マルコーニ氏。時を超えてTESI H2開発での指揮を執っている。

ハブセンターステアリングマシン・ミニ列伝

ビモータ テージ 1D

【’90 bimota TESI 1D】’83年にプロトタイプ発表&’90年に市販化。ドゥカティ851のエンジンを搭載したほか、進化版の906SR、日本向けに空冷Lツインの400Jも登場した。●当時価格:約460万円 ●生産台数:417台

ビモータ テージ 2D

【’05 bimota TESI 2D】TESIの技術を継承したヴァイルス社の984C3-2Vを一時倒産から復活したビモータが2Dとして吸収。フロントロワーアームはまだプレス材を使用していた。●当時価格:約500万円 ●生産台数:25台

ビモータ テージ 3D

【’07 bimota TESI 3D】美しいトラス構造のアームを持つ3代目。ネイキッド版など複数のバリエーションが作られた。エンジンはドゥカティ1100DSの空冷Lツインを採用。●当時価格:約450万円 ●生産台数:314台

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