カワサキH2エンジンとの組み合わせがカギ

新生ビモータ・テージH2の操安性を支える独創的な機構【ハブセンターステアリングを中心に】

  • 2020/1/14

カワサキとの新たなパートナーシップにより再生を果たすイタリアの名門・ビモータ。カワサキから提供を受ける心臓部・スーパーチャージドH2エンジンが放つパワーを、新型テージH2の車体はどのように受けとめ、その性能を引き出すのか? 本稿では、ハブセンターステアリングを始めとしたビモータの独創的な機構について解説する。

誕生から四半世紀を経たハブセンターステアリング

イタリア語で”論文”を意味する「テージ」。その最大の特徴は、既存のテレスコピック式フォークに代わる機構として「ハブセンターステアリング」を採用したことである。学生時代に友人とともにこのシステムを考案したデザイナー・ピエルルイジ・マルコーニ氏は、’80年代初頭にビモータに入社。VF400FやFZ750のエンジンを使用した試作車を製作し、’90年にはドゥカティ851のエンジンを搭載する「テージ1D」を発表した。もっとも当時の生産技術では、マルコーニ氏の理想を具現化するのは難しく、’00年代に登場したテージ2D/3Dでも、フレンドリーな操安性は獲得できなかったのだが……。 

数多くの経験を積んだマルコーニ氏が、四半世紀以上ぶりに新規開発したハブセンターステアリングなら、このシステムの美点を誰もが体感できるのではないだろうか。なお、かつてのテージシリーズが、側面から見た際にΩ型となるフレームを採用していたのに対して、エンジンに十分以上の強度が備わっているという判断から、テージH2はフレームレス構造を選択している。

独創的な機構で安定感を獲得

前輪をスイングアームで支持することと、前輪のハブ内にステアリング機構を設置していることは、従来のテージ1D~3Dと同様。ただし車体左側面下部に備わるプルロッドは、フロントサス用ショックユニットをエンジン背後に配置した、テージH2ならではの装備だ。

ビモータ・テージH2

ビモータ・テージH2

ビモータ・テージH2

独特なステアリングまわりの機構

ステアリングロッドはリンクを介してハンドルバーに接続。このロッドを押す(または引く)と前輪が切れる。このステアリングロッドは左側の1本だけで、ブレーキの回り止めとなるトルクロッドは左右2本が配される。

ビモータ・テージH2

ビモータ・テージH2

フロント用ショックユニットは、エンジン左下に配置されたプルロッドを介して作動。ステアリング用とブレーキ用ロッドは、ボルトの取り付け角度が90度異なっている。

並列配置でマスを集中

既存のテージシリーズで車体左側面前方に設置していたフロントサス用ショックユニットは、テージH2ではリンク式のリヤサス用ショックユニットと並列配置。この構造はマス集中化を意識した結果というが、見た目のインパクトも抜群だ。

ビモータ・テージH2

ビモータ・テージH2

ビモータ社のオフィシャルティザー動画を見ると、前後ショックユニット上側のシャフトは、サスの動きに連動して回転。フローティング構造になっているのだろうか?

フレームは存在しない

フレームレス構造のテージH2は、エンジン前後にサスマウント用プレートを設置。リヤはニンジャH2と同様の構造だ。

ビモータ・テージH2

フロントサス改革の旗手

テージシリーズの最大の特徴であるハブセンターステアリングの目的は、既存のテレスコピック式フォークでは実現できない抜群の安定性を獲得することと、操舵と衝撃干渉という仕事を分離すること。ちなみにこの目的は、BMWのテレレバー/デュオレバーや、’18年型以降のゴールドウイングが導入したダブルウィッシュボーンサスも同様である。

'90 BIMOTA TESI 1D

’90 BIMOTA TESI 1D

'90 BIMOTA TESI 1D

’90 BIMOTA TESI 1D

次稿では、テージ1Dの生みの親にして、新作テージH2の開発責任者であるピエルルイジ・マルコーニ氏への直撃インタビューをお届けする。

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