第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

優しい操安性と絶妙なトラクション

インディアン FTR1200S試乗インプレッション【オールラウンドなVツインスポーツ】

  • 2019/11/6
INDIAN FTR1200S

’17/18年の全米フラットトラック選手権で圧勝を飾ったインディアン。そのワークスレーサー・FTR750のノウハウを投入して生まれたのが、FTR1200/Sだ。

(◯)優しい操安性と絶妙なトラクション

’11年から現体制での活動を開始したインディアンにとって、今年から発売が始まるFTR1200は、初の公道用スポーツバイクである。そしてこの車両には、’17/18年の全米フラットトラック選手権で、ハーレーやカワサキを破って圧勝した同社のワークスレーサー・FTR750のノウハウが投入されているが……。

INDIAN FTR1200S

【ワークスレーサー「FTR750」が源流】近年の全米フラットトラック選手権で、インディアンFTR750は圧倒的な強さを発揮。’17年は全18戦中14勝、’18年には全18戦中17勝を挙げ、シリーズチャンピオンを獲得した。

FTR1200は、いわゆるレーサーレプリカではない。ダブルクレードルフレームに53度Vツインを搭載する750に対して、1200のフレームはトラス構造のバックボーンタイプ、エンジンは60度Vツインで、車重やディメンションも大きく異なっているのだ。その素性には、微妙な物足りなさを感じる人がいるかもしれないが、今回の試乗で上級仕様のSを走らせた僕は、インディアンの技術力の高さ、公道用スポーツバイクに対する見解に、しみじみ感心することになったのだった。

INDIAN FTR1200S

【テスター 中村友彦】2輪雑誌業界23年目のフリーランス。今回の試乗後に愛車の’06年型XL883に乗ったら、あまりのトロさにビックリ……。

INDIAN FTR1200S

【インディアン FTR1200S】主要諸元■全長2286 全幅850 全高1297 軸距1524 シート高840(各mm) 車重235kg■水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 1203cc 120hp/8250rpm 11.8kg-m/6000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量12.9L ■ブレーキF=WディスクR=ディスク ■タイヤF=120/70R19 R=150/70R18 ●価格:209万9000円(1200S)/236万4000円(1200Sレースレプリカ) ●色:チタン×黒、赤×灰、赤×黒(レースレプリカ)

INDIAN FTR1200S

【フラットトラックのノウハウを各部に投入】試乗車はワークスレーサーと同じカラーリングの最上級仕様・レースレプリカ。インディアンではFTRの可能性を伸ばす手段として、多種多様なアクセサリーを設定している。

INDIAN FTR1200S

【扱いやすく速い60度Vツイン】ベースはスカウトながら、大改良が施された水冷60度Vツインは、ストロークの延長で排気量を1130→1203 cc に拡大。前後長短縮やマウント位置変更も行われる。スロットルは電子制御式で、モードはRAIN /STD/SPORTSの3種。

中〜高回転域を維持してのスポーツライディングだけではなく、低回転を使ったまったり巡航も受け付ける、エンジンのフレキシブルさにも感心したけれど、僕がFTR1200Sで最も心を動かされたのはシャシーのよさだ。現代のスポーツネイキッドと比較して、平均以上の運動性能を披露してくれる一方で、フロント19インチならではの安心感、乗り手を優しく導いてくれるかのような資質が備わっていて、どんな場面でも操る手応えを感じさせてくれる。個人的に興味深かったのは、スロットルのオンオフによるトラクションの変化がとてつもなく鮮明だったことで、こういった特性には、後輪を主体とするフラットトラックのノウハウが活かされているのだと思う。

INDIAN FTR1200S

【タンクはシート下骨格は専用設計】外装を外すと欧州車的な雰囲気のFTR1200/ Sだが、1524mmの軸間距離や130mmのトレール、19インチの前輪はアメリカ車ならでは? ガソリンタンクはシート下に設置。

INDIAN FTR1200S

前後ショックユニットはザックス。ホイールサイズは3・00×19/4.25×18で、フラットトラックスタイルのタイヤは専用設計のダンロップDT3‐R。ABSは任意でカットできる。

戦闘的なルックスとは裏腹に、FTR1200Sはどんな用途も過不足なくこなせる万能車で、アップライトなライポジや良質な乗り心地などを考えると、アドベンチャーツアラー的な雰囲気も感じる。なお試乗前の僕は、ハーレーがかつて販売したXR1200をライバルとしてイメージしていたのが、試乗中に頭に浮かんだのは、KTMの1290スーパーデュークRだった。

INDIAN FTR1200S

ライディングポジションはフレンドリーで、戦闘的な気配は希薄。ただし残念ながら、足着き性は良好とは言えない(身長172cm 体重65kg)。

INDIAN FTR1200S

Sのメーターは4.3インチLCD タッチパネル式で、スマホとの接続を前提としたBluetooth を搭載。高速充電用USBポートも装備。

INDIAN FTR1200S

タンクカバー前部には、エアクリーナーボックスやラジエターリザーバータンクが収まる。

INDIAN FTR1200S

シートはフラットトラックレーサー然としたスタイルで、座り心地はなかなか良好だった。

INDIAN FTR1200S

最上級機種のレースレプリカはアクラポヴィッチ製サイレンサーを標準装備(他グレードでは29万8296円のオプション)。

(△)フロントフォークは煮詰めの余地アリ

真夏日だったためか、市街地では右足に伝わる排気系の熱気が少々気になった。また、フロントフォークの動きは基本的にしなやかだが、場面によっては応答性にわずかな違和感を覚えたので、セッティングを煮詰める余地はありそうだ。

(結論)こんな人におすすめ:ヨーロッパのスポーツNKと互角に戦える!

アメリカ生まれのVツインということで、どうしてもハーレーを比較対象にしたくなるインディアン。でもFTR1200/Sに限っては、そういう意識を持つ人はいないだろう。このバイクのライバルは、欧州製Vツインネイキッドだ。

INDIAN FTR1200S

【STDグレードは200万切り】基本スペックはSと共通だが、ブラックアウトを徹底したSTDは足まわりや装備を簡略化。メーターは丸型の指針式。 ■FTR1200(189万9000円)

●まとめ:中村友彦 ●写真:真弓悟史
※取材協力:インディアン

※ヤングマシン2019年11月号掲載記事をベースに再構成

※本記事の内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

WEBヤングマシン

WEBヤングマシン

記事一覧を見る