●文:ライドハイ編集部(根本健)
威風堂々のフラッグシップから、スポーツ性をアピールする先駆けへ
1972年、センセーショナルなDOHC4気筒の900cc=Z1で、ホンダCB750フォアの独り舞台を許さなかったカワサキ。すべてのパフォーマンスで頂点を極め、クオリティでも当時の常識を覆し、ハンドリングでは揺るぎない最高評価を得た、まさにフラッグシップと呼ぶにふさわしい存在感を誇った。
そして1978年、トラディショナルなティアドロップ型の燃料タンクを、次世代を意識させる角張ったフォルムへと変え、キャストホイールを装着したZ1000MkII、そしてビキニカウルを纏ったZ1-Rがデビュー。威風堂々の頂点バイクからスポーツ性で他との差別化を標榜する路線を明確に打ち出した。
そんなカワサキへの追い風となったのが、全米選手権AMAのスーパーバイク。このアメリカならではのアップライトなネイキッドスポーツで闘うレースで、Z1000 MkIIを100PSへパワーアップしたZ1000Jで、エディ・ローソン選手がチャンピオンを獲得したのだ。
カワサキはこのAMA参戦を目指す市販レーサーと、ローソンレプリカと呼ばれるZ1000Rを発売、これに装着したビキニカウルが、実に35年もの間、カワサキのネイキッドスポーツのアイコンとなるとは、当時は誰も想像すらしていなかった。
しかしながら、こうした空冷4気筒のパフォーマンスや評判のハンドリングなど、人気車種として君臨したことが、水冷化への後れをとることにもなった。
紆余曲折を経て、カワサキは1984年に最後発の水冷DOHC4気筒・GPZ900R(Ninja)でスーパースポーツ領域を一気に挽回。ベーシックスポーツはゼファー750など空冷が主流だったが、1997年に他にも転用されてきたNinja900の水冷4気筒エンジンを1100ccへ拡大、新しいネイキッドに搭載したZRX1100を投入したのだ……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
多板式クラッチ構造を知ると、停車時を除いて必要以上にレバーを握っているのがわかる クラッチのレバー操作は、発進はもちろん、ギヤチェンジの度に切ったり繋いだり(放したり)とあまりに頻繁……左手が疲れて嫌[…]
元々はブレーキ液の飛散を防ぐため フロントブレーキのマスターシリンダーのカップに巻いている、タオル地の“リストバンド”みたいなカバー。1980年代後半にレプリカモデルにフルードカップ別体式のマスターシ[…]
高回転のバルブ往復にスプリングが追従できないとバルブがピストンに衝突してエンジンを壊すので、赤いゾーンまで回すのは絶対に厳禁! 回転計(タコメーター)の高回転域に表示されるレッドゾーン、赤くなっている[…]
2スト500cc最強GPマシンを4ストで凌駕せよ! ホンダが世界GP復帰宣言後、1978年から開発していた500cc4ストロークV型4気筒のNR500。 当時の最高峰500ccクラスで覇を競っていたヤ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
燃料コックのポジション“ON/OFF/RES”の意味と使い方 多くの現行モデルの燃料供給方式は、FI(フューエルインジェクション|電子制御燃料噴射)だ。 言うまでもなく、燃焼効率/環境性能の向上になく[…]
カワサキZ1-R 概要:流麗なるカフェレーサー 世界的に流行していたカフェレーサーのコンセプトを取り入れたのが、1978年に登場したZ1-Rだ。ベースはZ1000で、専用のカウルやシャープな造型の外装[…]
カワサキZ1000Mk.II 概要:いわゆる”角Z”の代名詞的存在 1977年から発売されたZ1000をベースに、さらに改良を加えたのがこのZ1000Mk.IIだ。 大きく変わった点は外観である。丸み[…]
マッハシリーズ 概要:3速でウイリーした “ジャジャ馬” 戦前からBMWやベンツの航空機エンジンをライセンス生産していた川崎重工業は、その間に蓄積してきた高い技術力を活かし、戦後になるとこれを民間事業[…]
スズキGT750 概要:対CBフォア、愛称”ウォーターバッファロー” 1969年に発売されたカワサキ マッハIIIに対抗するかのように、並列3気筒を選び、なおかつ750ccの大排気量と水冷を採用したの[…]
人気記事ランキング(全体)
『通称』と『道路交通法における区分』、『道路運送車両法による区分』がある バイク雑誌やWEBヤングマシンの記事を読んでいて「これってどうなってるの?」と混乱したことがある方もいらっしゃると思う。のっけ[…]
これが後のGL500につながったかは不明 これはいろいろなエンジン型式の可能性を探るために開発された1台で、クランク軸縦置きの200㏄空冷Vツインを搭載したもの。製造コストが高く、商品化できなかったと[…]
クロスオーバー系レトロがアップグレード! インディアヤマハは、ブロックパターンタイヤを履いたネオレトロスタイルの「FZ-X」をマイナーチェンジして発表した。ロングストローク設定の空冷149ccエンジン[…]
さとみ(すとぷり)がアンバサダーに就任! 日本二輪車普及安全協会は、2025年3月かいさいの「第41回 大阪モーターサイクルショー2025」および「第52回 東京モーターサイクルショー」の開催概要を発[…]
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
最新の投稿記事(全体)
日本仕様も近く登場! ホンダは国内向けサイト内で「Gold Wing 50周年記念サイト」をオープン。1975年のゴールドウイング(GL1000)から始まる歴史を紹介するとともに、50th Anniv[…]
【読み飛ばしOK】自動車損害賠償責任保険審議会の結果、基準料率の改定は必要ないと判断【料金表は下の方に】 金融庁が令和7年1月10日および1月17日に行った第150回・第151回自動車損害賠償責任保険[…]
125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限[…]
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
免許返納後もアクティブに楽しむための小型低速EV パワーユニットに自社の電動モーターを、バッテリーにホンダの「モバイルパワーパックe:」を採用した汎用EVプラットフォームをヤマハが初公開したのは、20[…]
- 1
- 2