「良いエンジンオイルとは何か?」をひと言で答えるのは難しい。単体で判断するなら、100%化学合成油は良いオイルかもしれない。しかしエンジンオイルはあくまでエンジン内で本領を発揮するものであり、どのようなエンジンで使うかによって答えは変わってくる。モトジョイ(三重県鈴鹿市)が求めたのは、油温が上昇してもシフトタッチが悪くならない、空冷エンジンに適した絶版車用オイルだった。オイルメーカーとの共同開発で誕生したオリジナルオイルは、多くの空冷絶版車ユーザーから評価を得ている。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:モトジョイ
ベースオイルの種類や粘度だけでは分からないオイル性能。鉱物油ベースに厳選添加剤を加えることで熱ダレに対応
絶版車用オイルに適した特性とは? モトジョイが重視したのは油温上昇時の油膜の強さだ。
ベースオイルが鉱物油でも化学合成油でも、エンジンオイルは粘度指数向上剤/極圧剤/摩擦調整材/清浄剤/酸化防止剤など、いくつもの添加剤を加えて製品化されている。それらは主に高分子ポリマーで、圧力や温度によって性能が低下する傾向がある。
そこで重要になるのが、ベースオイルの特性だ。一般的に鉱物油は化学合成油に比べて分子が大きく浸透性が低いと言われており、低粘度化にとってはマイナスだが、油膜の強さにはプラスとなる。
モトジョイがオイルメーカーと共同で開発した空冷エンジン専用オイルは、その利点を引き出すべく鉱物油ベースの半合成油を採用。15W-50と硬めの粘度設定とすることで、シフトチェンジ時の不快なショックを吸収する効果も期待できる。自社で整備する車両はもちろん、空冷のカワサキZ1エンジンを搭載した自社製レーサーOV-40にも使用して好感触を得ているという。
絶版車のエンジン特性や求められる特性を把握し、それらをリクエストすることで完成した空冷エンジン専用オイル。八方美人的ではなく狙いをはっきり定めた製品だけに、空冷絶版車のオーナーは体感してみる価値がありそうだ。
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