
鈴鹿レース1、渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)は「自分史上最も恥ずかしいレース展開をしてしまった」と語った。自分自身への苛立ちなどを抱えてむかえたレース2。あいにくの雨となったが、レース1での悔しさや後悔などを吹っ切るような走りと、中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)との超接近戦でサーキット中を魅了した。
●文/写真:Racing Heroes(駒井俊之)
駒井俊之(こまい・としゆき)/1963年生まれ。バイクレース専門サイト「Racing Heroes」の運営者。撮影から原稿製作まで1人で行う。“バイクレースはヒューマンスポーツ”を信条に、レースの人間ドラマを追いかけている。
良い食材は揃った、どうやって調理するか
雨の鈴鹿。14周にわたる激闘を終えた渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)と中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)の差はたった0.113秒。まばたきするほどの僅差であるが、渡辺にとっては勝利を手中に収められなかった大きな差となった。
渡辺はこのレースウィーク、ウェットで手応えを感じていた。「前戦もてぎの反省点をチームが懸命に修正してくれた。ウェットでパフォーマンスを発揮できるようになった」。事実、ウェットではトップタイムをマーク。ドライでも悪くはない。中須賀とのタイム差もコンマ2秒程度。「このタイム差でいられるのは伸び代がある」と感じていた。但し、まとまってはいないと言う。「良い食材をテーブルに並べた感じ。さぁ、これからどう調理しようか、と言うイメージです」と金曜日にコメント。その状態でここまで来ているのは悪くない。だけど相手はワークスの中須賀克行。追い越すには至っていないと感じていた。
中須賀は金曜日の午後、良かれと思って振ったセットが上手く機能せず予選は木曜日のセットに戻して一発勝負となる。ウェットのセットにも課題を感じていた。
4秒台を狙っていた予選
大方の予想通りこのウィークは中須賀と渡辺の争いとなった。“課題はまだある”と言いながらも2分6秒台に入れたのはこの二人だけだった。土曜日の公式予選は8時15分スタート。通常なら朝フリーの時間帯だ。しかし中須賀は開始早々2分6秒台に入れる。渡辺も2分6秒060と5秒台も見えるタイムをマークするが終盤に中須賀が2分4秒907を叩き出す。
「自分も2分4秒台を狙っていましたがマシンのバランスがまとまらなかったです。ラストアタックで詰めようと思ったのですが、間合いを取りすぎてタイヤが冷えてしまいました」と渡辺。
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