
●文:モーサイ編集部(平塚直樹)
大ブームだった50ccスクーターのCMを振り返る
今から30〜40年も昔、1980年代中盤から1990年代前半のいわゆるバブル経済期には、バイクの売り上げも絶好調でした。
中でも50ccスクーターは、レジャー目的だけでなく、通勤/通学/買い物など様々な用途に使われるようになり、若い層はもちろん、ビジネスマンから主婦など幅広いユーザー層に使われることで一大ブームに。とくに、ホンダとヤマハによる熾烈な販売合戦は「HY戦争」と呼ばれる事態にまで発展、スズキも次々と新型スクーターを発売するなど、50ccスクーターは大活況の時代でした。
そんなバブル期、50ccスクーターのテレビCMやカタログなどには、多くの有名芸能人やスポーツ選手などが起用されていました。現在は“大物”と呼ばれている有名人たちも多く、中には今見るとちょっと恥ずかしい(?)とポーズをとったり、奇抜な衣装などで登場している人たちもいます。
ここでは、それらの中でも、とくに男性の大物芸能人などが登場したものをピックアップ。どんなスクーターのCMにでていたのかを紹介しましょう。
スズキ ハイ(1985)×明石家さんま
「ハイパースクーター」というキャッチフレーズで、1985年に発売されたスズキ ハイ(Hi)。排気量49ccの空冷2ストローク単気筒エンジンは、最高出力6.5psを発揮。軽量なボディと俊敏な走りが魅力で、当時人気があったスクーターレースのベース車としても大人気に。
パーソンズやウォルターウルフといった当時の人気ブランドとのコラボカラー車や、エアロフェンダーなどを装備したレーシーなスタイルの「ハイ-R」なども登場しました。
そんなハイの宣伝キャラクターには、お笑い芸人の明石家さんまさんが起用されました。当時30歳代前半のさんまさん、CMではツンツンに髪を立たせ、パープル系のカラフルで肩幅が広いスーツと、縦縞のパンツといった出で立ちで登場。まるでビジュアル系ミュージシャンのようなコスプレです。
このヘアスタイルや衣装は、当時の大人気お笑いテレビ番組『オレたちひょうきん族』で、さんまささんと島田紳助さんがコラボした曲『い・け・な・いお化粧マジック』を歌う時のスタイルを彷彿とさせます。
当時を知らない人に説明しましょう。『い・け・な・いお化粧マジック』は、ロックシンガー・忌野清志郎さんと世界的な音楽家・坂本龍一さんの2人が歌い大ヒットした『い・け・な・いルージュマジック』のパロディです。忌野さんと坂本さんは、その曲で当時の男性ミュージシャンとしては珍しい、顔に化粧を施した姿でテレビなどに出演し、大きな話題になりました。
さんまさんと島田さんは、そのルージュマジックスタイルを真似て、濃いめのメイクや派手な衣装に、『お化粧マジック』というオリジナル曲まで作ってギャグをやり、こちらも当時(便乗とはいえ)大人気となりました。
ハイのテレビCMに出ていたさんまさんは、さすがに顔に派手なメイクまではしていませんでしたが、ヘアスタイルや衣装は島田さんとの1曲を連想させます(あくまで筆者の個人的イメージですが)。
2パターンあるCMのうちの1バージョンでは、実際にギターも持って登場しますから、ある程度そのあたりを意識して作られたのではないでしょうか。
ともあれ、大物芸能人となった今では決してやらないのでは? と思えるコスプレ姿は、とても貴重だといえるでしょう。
ホンダ スカッシュ(1981)×タモリ
1981年にホンダが発売したスカッシュは、全長1280mm/シート高653mmというスモールサイズの50ccスクーター。コンパクトなボディながら、ゆったりとしたフロアスペースや乗り心地を重視した大型シートを採用しました。
同時期に発売されたモトコンポと同様に、折りたたみ式ハンドルを採用したタイプもあり、軽い車体(車両重量49kg)などと相まって、クルマにも積載可能であることもセールスポイントでした。
また、街乗りはもちろん、クルマに積んでアウトドアでも気軽に乗れることから、「僕らのスニーカー。おもしろスクーター・スカッシュ」というキャッチコピーを使っていました。
そのスカッシュのテレビCMには、お笑い界の大物・タモリさんが登場。
今思い出すとちょっと笑えるのが、テレビCM内で話すタモリさんの「これからの時代は、こういった風のスクーターを乗るヤングがナウくなるんですね」というセリフ。
「ヤング」(若者という意味)や「ナウい」(新しいや流行するといった意味)などの言葉は、当時は当たり前に使っていましたが、今となっては死語。時代を感じさせます。
また、CMのラストには、タモリさんが、おネエ言葉風のイントネーションで「こういった風ぅ~」としゃべりながら、腰をくねらせバイクに乗るシーンもあります。今では芸能界の重鎮であるタモリさんですが、当時はまだ30歳代半ばで、お笑い芸人としてギャグを連発していた時代。
タモリさんのお笑い芸人としてのこうした一面も、今ではあまり見られなくなり、ちょっと寂しい気がします……
※本記事は2021年8月13日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
ホンダ・スズキと同じく、浜松で創業した丸正自動車製造 中京地区と同様に、戦後間もなくからオートバイメーカーが乱立した浜松とその周辺。世界的メーカーに飛躍して今に続くホンダ、スズキ、ヤマハの3社が生まれ[…]
80年代、80ccであることのメリットに、金欠ライダーは着目した 高校生が自動二輪中型免許(当時)を取ったはいいけれど、愛車をすぐ手に入れられるかは別問題。資金の問題が立ちはだかるのだ。2年ごとの車検[…]
ヤマハ AG200(1985年2月発売)「AGはAGRICULTURE=農業の略」 直訳すると車名は「農業200」だが、いわゆる農耕地での移動や運搬に使われるバイクのこと。ホンダのCTシリーズと成り立[…]
’80年代の国内市場は短命モデルの宝庫でもあった 若年人口の増加も手伝い、国内でのモーターサイクル販売需要も多かった’80年代。エンジンは空冷から水冷化が進み、サスペンションもフレームも日々進化が見ら[…]
6年連続トップ人気の軽二輪! レブル250の魅力を500と比べつつ検証 2017年4月、250/500が同時発売されたホンダのレブルシリーズは、登場当初、かなり異色のクルーザーモデルに感じられた。エン[…]
最新の関連記事(バイク雑学)
ミラーの奥に潜む影…覆面パトカーはどんな車種が多いのか まず押さえておきたいのはベース車両の傾向。国内で多く採用されているのは、トヨタ・クラウンや日産・スカイラインといった中〜大型セダンだ。いずれも街[…]
車両の種別と免許の関係が複雑な「あの乗り物」 1.信号無視車両を停止させる 白バイ新隊員としてひとり立ちし、しばらく経った頃の話です。その日も私は、交通量の多い国道で交通取り締まりをしていました。交差[…]
BADHOPが、自らの存在と重ね合わせたモンスターマシンとは すでに解散してしまったが、今も多くのファンに支持されるヒップホップクルー、BADHOP。川崎のゲットーで生まれ育ったメンバーが過酷な環境や[…]
元々はレーシングマシンの装備 多くのバイクの右ハンドルに装備されている“赤いスイッチ”。正式にはエンジンストップスイッチだが、「キルスイッチ」と言った方がピンとくるだろう。 近年はエンジンを始動するセ[…]
なぜ「ネズミ捕り」と呼ぶのか? 警察によるスピード違反による交通取り締まりのことを「ネズミ捕り」と呼ぶのは、警察官が違反者を待ち構えて取り締まるスタイルが「まるでネズミ駆除の罠のようだ」と揶揄されてい[…]
人気記事ランキング(全体)
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
レジェンド、筑波へ帰還! あの武石伸也(たけいし しんや)が帰ってくる! 2000cc+ターボ仕様のハーレーで、MCFAJ クラブマンロードレース2026 第1戦 筑波サーキットに参戦すると聞けば、足[…]
朝練と朝ラーで不安を克服 「昔から父がバイクに乗っているのを見ていたので、自分も乗ってみたいと思っていました。10年くらい前に二輪の免許を取ろうかな、って思ったことがあったんですが、結婚して子どもが産[…]
軽くて足つき抜群の相棒バイク 「バイクに乗りたいけれど、重くて取り回しが不安」「ちょっとコンビニに行くのに大型バイクを出すのは面倒」。そんな不満を感じたことはないだろうか。重いバイクは所有感を満たして[…]
スペンサーの世界GPでの大活躍がAMAレースの注目度を高めた 旧くからのバイクファンなら、だれもが“ファスト・フレディ”の愛称を知っているだろう。1983年に世界GP500でチャンピオンに輝き「彗星の[…]
最新の投稿記事(全体)
リスクを取りつつサーキットでトレーニングする小椋藍 アメリカズGPからスペインGPまでのインターバルで、日本では「オグラアイ前線」がズンズン北上し、レースファンの注目を集めた。筑波サーキット、モビリテ[…]
「酷暑日」を超える45℃の環境を演出!「君は生き延びることができるか!?」ショー まず会場には中央にファッションショー会場のようなステージが設けられ、それを囲むように2026年春夏新製品が展示されてい[…]
第1位:ホンダ CB1000F/SE 717票 堂々の1位に君臨したのは、ホンダが誇る新世代フラッグシップ「CB1000F」だ。往年の名車CB750FやCB900Fの熱き血統を受け継ぎつつ、現代の技術[…]
天才ライダー来日、CBの祭典開催へ 1980年代のバイクブームを牽引した天才ライダー、フレディ・スペンサー氏が来日。2026年4月26日に袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催される「CBファンミーティン[…]
©しげの秀一/講談社 峠ライダーだった主人公の巨摩 郡(こま ぐん)が、仲間との出会いやライバルたちとのバトルを経て、やがてWGP500のチャンピオンに輝くまでを描いた漫画「バリバリ伝説」(原作:しげ[…]







































