
アメリカ最古のオートバイメーカーであるインディアンが、創業125周年を記念した世界限定125台の至宝「チーフ・ヴィンテージ・スタージス・SDエディション」を発表した。伝説のスタージス・ラリーの原点にオマージュを捧げたこの稀少車は、日本市場にはわずか5台のみが抽選販売される。アールデコ様式の美を極めたベースモデルの魅力を振り返りつつ、その特別なディテールを紹介しよう。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:インディアンモーターサイクル
アールデコを全身で体現するベースモデル「チーフ ヴィンテージ」
インディアン・モーターサイクルの基幹モデル「チーフ」シリーズのラインナップにおいて、ひときわ古典的な情緒を漂わせるのがベースモデルの「チーフ ヴィンテージ」だ。その美学は1940年代から1950年代のモーターサイクル黄金期を範としており、工業デザインの歴史に名を残すアールデコ様式の優美なスタイリングが全身に息づいている。
何より目を引くのは、風になびくスカートのようにエレガントにタイヤを包み込むスカートフェンダーだ。通常なら重々しさを感じさせる装備だが、タイヤの外周を覆う中央部を絞り込み、左右に溶接したパネルを一体成型することで、細く筋肉質なスタイリングを完成させている。
さらに、1947年型から継承されるフロントフェンダーの「イルミネーション・ヘッドドレス」や、宙に浮いたようなデザインのフローティング・ソロシートが、タンクからリアフェンダーへと流れる流麗なラインを美しく際立たせている。
車体重量は327kgに達するが、スタンドから車体を起こした瞬間や実際に走り出したときの軽快さに圧巻。前後16インチのワイヤースポークホイールを履き、リアタイヤの幅を他の兄弟モデルより細身の150サイズに設計したことで、ニュートラルで極めて軽快なコーナリング性能を実現している。
右手をひねれば、排気量1890cc(1896cc)の挟角49度空冷V型2気筒エンジン「サンダーストローク116」が、低回転域から156Nmという強烈なトルクを叩き出し、ツインらしい力強いパルス感と共にお腹に響く排気音を伴って豪快に加速していく。ルックスは往年のクラシックそのものだが、4インチ液晶画面やクルーズコントロール、3つの走行モードなどを備え、現代のツーリングを快適に楽しむための装備にも抜かりはない。
スタージス・ラリーの伝説とオマージュを詰め込んだ「SDエディション」
この極めて完成度の高いクラシック・クルーザーをベースに、インディアン創業125周年を記念して世界限定125台のみが仕立てられた至宝の逸品が、「チーフ・ヴィンテージ・スタージス・SD エディション(Chief Vintage Sturgis, SD Edition)」だ。
モデル名にある「スタージス」とは、現在アメリカで毎年数十万人を集める世界最大のモーターサイクル・ラリーの聖地である。その原点となった1938年の第1回集会は、地元のインディアン・モーターサイクル正規ディーラーと伝説的なクラブが企画したもので、わずか9名のライダーと約200名の観客から歴史が始まった。このイベントで先駆者たちが駆ったマシンや情熱にオマージュを捧げたのが、この限定車なのだ。
外観は、1930年代のインディアンを彷彿とさせる「クラシック・インディアン・モーターサイクル・レッド」と「クリーム」の美しいツートーンペイントを纏い、タンクには伝統のマルチカラー・ヘッドドレスロゴが鮮やかに踊る。サイドプレートに誇らしく描かれた「56」のナンバーグラフィックは、当時のサウスダコタ州スタージスでレーサーたちがレースバイクに直接手描きしていた数字を忠実に再現したものだ。
さらにエンジンに目を向ければ、1940年代の往年の意匠を想起させる「ヘリテージ・エンジン・フィニッシュ」が奢られている。ブラックシリンダーをベースに、シルバーに塗装仕上げされたシリンダーヘッドやプッシュロッド・チューブが怪しく光り、空冷サンダーストローク116の持つ巨大な存在感を視覚的にもさらに大きく際立たせている。
創業125周年を記念するシリアルナンバーバッジも装備。世界でたった125人のためのコレクターズアイテムであることを証明している。
差額50万円超の価値を検証!日本ではわずか5台の極めて狭き門
ここで、通常仕様であるベースモデルと、この記念限定モデルの仕様差を比較しておこう。
ベースの「チーフ ヴィンテージ」は、日本国内で338万円から348万円(税込)で販売されている。ボディカラーは単色の「ブラックメタリック」または「インディアンモーターサイクルレッド」の2種類で、エンジンも通常のブラックとシルバーのシンプルな構成だ。
対する「チーフ・ヴィンテージ・スタージス・SD エディション」の価格は398万円(税込)。最大で60万円の差額が存在するものの、その分、インディアンの歴史上最もアイコンとされる赤とクリームの専用ヘリテージ塗装、1940年代エンジンフィニッシュ、シリアルナンバープレート、手書き「56」グラフィック、さらにはRIDE COMMANDシステムを搭載した101mm(4インチ)の円形タッチスクリーン・ディスプレイがすべて特別標準装備となるのだ。これらは他車と並んだ際、圧倒的な個性と威厳を放ち、所有する喜びを満たしてくれるだろう。
この世界限定125台のうち、日本市場に導入されるのはわずか「5台」のみ。争奪戦は必至だが、公平を期すために専用Webフォームを通じた事前登録制の「抽選販売」が採用されている。デリバリーは2026年11月頃の予定だ。
事前登録の受付期間は2026年9月30日(水)まで。応募者の中から10月中旬に厳正な抽選が行われ、当選者には正規ディーラーから直接連絡が届く。
インディアン125年の歴史が誇る栄光とアールデコの造形美が融合した、文字通りの動く芸術品。その5本の黄金の鍵を手に入れるための挑戦は、ヘリテージを愛するすべてのバイク乗りに開かれている。気になるなら、事前登録という運命のファーストステップに踏み出そう。
INDIAN MOTORCYCLE Chief Vintage Sturgis, SD Edition [2026 model]COLOR
【INDIAN MOTORCYCLE Chief Vintage Sturgis, SD Edition】●ClassicIndianMotorcycleRedAndCream
INDIAN MOTORCYCLE Chief Vintage Sturgis, SD Edition [2026 model]SPECS
| 項目 | 諸元 |
|---|---|
| エンジン | 空冷4ストロークV型2気筒OHV 2バルブ サンダーストローク116 |
| 排気量 | 1890cc(1896cc) |
| 最大トルク | 156N・m(15.9kgf・m)/3300rpm |
| 変速機形式 | 6速MT |
| 車体サイズ | 全長2441×全幅887×全高1175mm |
| 軸間距離(ホイールベース) | 1626mm |
| シート高 | 686mm |
| 車両重量 | 327kg(計測条件:重量) |
| タイヤサイズ | 前=130/90B16 / 後=150/80B16 |
| 主要装備 | RIDE COMMAND搭載101mm(4インチ)円形タッチスクリーンディスプレイ/ワイヤースポークホイール/スカートフェンダー/イルミネーションヘッドドレス/ヴィンテージソロシート/ヴィンテージハンドルバー |
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