
モーターサイクルの歴史において、空冷Vツインエンジンは単なる動力源ではなく、ライダーの魂を揺さぶる「心臓」であった。しかし時代の波は容赦なく、その貴重な鼓動を過去のものへと追いやってきた。アメリカの伝説的ブランド、インディアン・モーターサイクルは時代に抗ってきたが、とうとう1890cc空冷Vツイン「Thunderstroke 116」を搭載するヘビーウエイトモデルの販売を2026年モデルで終了すると発表した。一つの時代の終焉を前に、名機が放つ圧倒的な魅力と、正規ディーラーで開催される粋な特別キャンペーンの全貌をお伝えしよう。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:インディアンモーターサイクル
1940年代の伝統と現代技術の結晶「Thunderstroke 116」
近年、世界的な排出ガスや騒音規制の強化により、大排気量の純空冷エンジンは絶滅の危機に瀕している。油冷や水冷機構を部分的に取り入れるメーカーが多い中、インディアン・モーターサイクルの「Thunderstroke 116」は、純粋な空冷方式を守り抜いてきた貴重な存在だ。
この116立方インチ(1890cc)の巨大なVツインエンジンは、1940年代の歴史的なサイドバルブエンジンをモチーフにデザインされている。独自のトリプルカム機構を採用することで特徴的なプッシュロッドレイアウトを実現し、美しく刻まれた冷却フィンとともに、工芸品のような圧倒的な造形美を誇っている。
しかし、その中身は決して懐古主義ではない。気筒休止機能や複数のライドモードといった現代の電子制御技術が惜しみなく注ぎ込まれており、大排気量Vツインならではの力強いトルクフィールと快適性を高次元で両立させている。スロットルを開けた瞬間に全身を貫く「あの鼓動感」は、効率化が進む現代のエンジンでは決して味わえない、ライダーの感性に直接訴えかける究極のベネフィットである。
ヘビーウエイトモデルの終幕と、受け継がれる系譜
この名機を長年支えてきたツーリング・バガーファミリーのうち、「Roadmaster」と「Springfield」シリーズの空冷ヘビーウエイトモデルが、ついに2026年モデルをもって新車としての歴史に幕を下ろす。ちなみに日本市場におけるChieftainはすでに2024年モデルで終了済みだ。
今後、インディアンのヘビーウエイトモデルは、バガーレースで培われた技術を誇り、高回転域まで伸びる出力特性を持つ新世代の水冷Vツインエンジン「PowerPlus」へと中核を移行していく。
時代の進化としては必然の流れかもしれないが、あの重厚でクラシカルな佇まいを持つ空冷ヘビーウエイトを新車で手に入れられるのは、文字通り「今が最後のチャンス」なのだ。一部のモデルやカラーはすでに完売しているという事実が、猶予のなさを物語っている。
なお、すべての空冷モデルが消滅するわけではない。Sport ChiefやChief Vintageといった「Chiefファミリー」においては、引き続きThunderstroke 116搭載モデルの販売が継続される。空冷Vツインの灯火は、形を変えながらも確かに受け継がれていく。
「自ら風を生み出す」。心意気が光る『空冷うちわ』
この歴史的転換点にあたり、Polaris Japanは全国の正規ディーラーにて「永遠の鼓動、空冷 HEAVY WEIGHT Final Beatキャンペーン」を2026年7月18日(土)より開催している。
特筆すべきは、来店者に用意された限定ノベルティの『空冷うちわ』だ。「自ら風を生み出し、涼を得る。人類最古にしてもっとも身近な空冷システム」という少しのユーモアと、去りゆく空冷エンジンへの深い敬意が込められたこのアイテムには、純空冷エンジンとインディアン・モーターサイクル125周年記念ロゴがデザインされている。
永遠の鼓動を、あなたの記憶とガレージに
空冷エンジン特有のメカニカルな存在感や鼓動は、数値やカタログスペックでは決して測ることのできない、所有者だけの特権だ。キャンペーンの『空冷うちわ』は各店舗でなくなり次第終了となる。いつか見に行こうと思っていた方は、迷わず週末に正規ディーラーへ足を運ぼう。そして、その手にうちわを持ちながら、実車のThunderstroke 116が放つ圧倒的なオーラと「永遠の鼓動」を自らの肌で感じ取ってみてはいかがかな。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(インディアン)
アールデコを全身で体現するベースモデル「チーフ ヴィンテージ」 インディアン・モーターサイクルの基幹モデル「チーフ」シリーズのラインナップにおいて、ひときわ古典的な情緒を漂わせるのがベースモデルの「チ[…]
1気筒4バルブ、100年前にOHVメカニズムを確立 まずはその心臓部が驚きの塊です。排気量1000ccの空冷V型2気筒エンジンなんですが、なんと1気筒あたり4バルブ、前後合わせて計8つのバルブを持つO[…]
ハーレーとインディアンの混成チームで、ほうとうと大型バイクイベントを巡る河口湖ツーリング ツーリング当日から遡ること1週間前。週間天気予報は雨マーク。降水確率も高く中止になるに違いない、と編集部はたか[…]
125周年の幕開けを告げる「伝説」の帰還 インディアン・モーターサイクルは創業125周年を祝う記念行事をスタートさせたが、その象徴として選ばれたのが、この「チーフ ヴィンテージ」だ。 「チーフ」という[…]
愛車は1290スーパーデュークRという「素人」のチーちゃん! ヤングマシン最新動画は、人気の新型車試乗。JAIAの2025試乗会ということで、最新の輸入バイクに試乗しました。 しか~し、今回は出演者に[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
尾道発の気鋭ビルダー!サトマリモーターサイクルが魅せるメタルワークの系譜 広島県尾道市に拠点を置く「SATOMARI MOTORCYCLE(サトマリ・モーターサイクル)」は、ビルダーの佐藤勇作氏が20[…]
既存の四輪店舗にバイク用品専門店を新設 カー&バイク用品のリユース専門店「アップガレージ」を全国展開するアップガレージグループは、2026年9月19日(土)、大阪市住之江区に「アップガレージライダース[…]
荒野を駆け抜けた友情と青春!『機甲創世記モスピーダ』が放つタイムレスな魅力 1983年10月から1984年3月まで全25話が放送されたタツノコプロ制作のTVアニメ『機甲創世記モスピーダ』。謎の宇宙生命[…]
本棚の奥にガレージ出現!?「遊べる本屋」の真骨頂 雑多に積み上げられた書籍、POPの毒のある言葉、そしてサブカルチャーの濃密な空気感。「遊べる本屋」の代名詞を持つヴィレッジヴァンガードは、行くたびに新[…]
名神高速ICからすぐ!京都・東山の観光拠点として絶好のロケーション 高速道路を走り抜け、京都の街へ降り立つライダーにとって、宿までのアクセスの良さは重要なポイントだ。「COCO VILLA 京都清水寺[…]
人気記事ランキング(全体)
下町の匠が挑む新ジャンル!丸ハンドルと全天候型ボディを持つ「Blue Jay」 スーパーコンピュータの冷却配管部品やオリンピック競技用機材などを手がけてきた西川精機製作所。同社が開発した「Blue J[…]
国土交通省の「性能等確認」に適合!エレグラン G-classが勝ち取った安全の証明 エレモーズが展開する特定小型四輪のフラグシップモデル「エレグラン G-class」が、2026年8月27日付で国土交[…]
レーサーの姿と技術を公道へ持ち込んだRG250Γ 1983年3月に発売されたRG250Γ(ガンマ)は、ひと目でレーシングマシンを連想させるスタイルによって、当時のライダーに強烈な衝撃を与えた。車名の「[…]
漆黒のスタイリングへ刷新!エボニー×メタリックカーボングレーを纏う最新2027年モデル カワサキの「Z」シリーズにおいて、ジャストサイズな車体と余裕ある排気量で支持を集める「Z500」に、最新の202[…]
空力特性と軽さを備えたネオクラシックフルフェイスが新規追加! 新製品の『HYUGA』は、オージーケーカブトの持ち味である空力特性と軽さはそのままに、デュフューザーなどを備えないシンプルな帽体形状を特徴[…]
最新の投稿記事(全体)
漆黒のスタイリングへ刷新!エボニー×メタリックカーボングレーを纏う最新2027年モデル カワサキの「Z」シリーズにおいて、ジャストサイズな車体と余裕ある排気量で支持を集める「Z500」に、最新の202[…]
イタリア発ストリートファイター「ステルス500」が126万5000円で日本国内販売開始! ファンティック・モーターのフラッグシップストリートモデル「ステルス500」が、日本国内での出荷および予約ユーザ[…]
ユーロ5+対応とDOHC化で進化。新型エンジン最大の見どころとは 今回の動画で最も大きなテーマとして取り上げられたのが、新型キャバレロラリー500に採用された新開発エンジンである。 動画冒頭で野口氏は[…]
サーキットを沸かせた主役は間違いなく長島哲太 レースを終えた日曜日、多くのメディアの取材を終えると、時間はもう午後7時を回っていた。暗くなったパドックで荷物をバッグに詰めながら長島哲太(DUNLOP […]
尾道発の気鋭ビルダー!サトマリモーターサイクルが魅せるメタルワークの系譜 広島県尾道市に拠点を置く「SATOMARI MOTORCYCLE(サトマリ・モーターサイクル)」は、ビルダーの佐藤勇作氏が20[…]
- 1
- 2


































