
溶接は楽しいものです。マジで楽しい。なんたって鉄がドロッと溶けてくっついちゃうんですもの! それはもう魔法のよう。それをずっと楽しみたいから、思わず溶接工として20年も働いちゃうぐらい。そんな鉄をくっつける楽しさの一例をレポートいたします。溶接に興味がある方の一助になればこれ幸いかと!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
鉄は錆で崩れゆくのが宿命か
古いバイクの部品、そのほとんどは鉄でできています。であるがゆえに錆びやすく、そしてレストアともなると出くわすのがこれ。
サビが進行すると腐食で穴が開いてしまったり(↑)極めつけはコレ(↓)だ。
サイドスタンドが途中で折れてしまったりします!
これは外側からというより、塗装されていない内側に溜まった湿気から発生したサビで、ぐずぐずに劣化してしまった模様。
下の方に湿気が溜まったのでしょうか。上のほうは程度がいいのですが、下側が見事になくなってます。
こうなってしまうと当然ながらサイドスタンドとしての機能を果たしません。って言うか、ほぼゴミ確定ですよね。普通ならここで詰んでしまうところですが、これぐらいだったら怖くありません。
なぜかって?溶接ができれば、これを復活させることができるから、です!
溶接で直す手順
まずはサイドスタンドを切断します。
気持ち的にはできるだけ残してちびちび切りたいところですが、折れてるところの付近はサビで相当薄くなってしまっているので、できるだけ肉厚が残ってるところまでざっくりと切っちゃいましょう。強度の確保のためにも思い切りが大切!
サイドスタンドの太さを測ったところ、約19mmだったので、失われてる部分のパイプはΦ19.1mmのメッキパイプを使います。ちなみにこれは規格品の太さで、ホームセンターの電材コーナーや、農業で使う支柱などの売り場に売っているので、かなり手に入りやすい材料です。奇遇にもサイドスタンドと肉厚が同一でした。
そしてここで単純にパイプを繋ぎ直すのではなく、追加したいのが「芯金」。パイプ同士を溶接で繋げたとしても、強度が確保できる保証がありません。そこで芯金を入れることでかなりの強度を確保することができます。
ところで芯金と言えば、無垢材を旋盤などで精密に削って、パイプの内側にすっぽり入るものを制作するのが理想なのですが、今回はあくまでDIYがテーマなので、そんな七面倒臭いことはしません。
使うはコレだ。高ナット!
こちらもホームセンターなどで手に入る、高さのあるナットです。ミリ規格とインチ規格がありますが、そのぶんバリエーションが豊富なので、現物合わせでチェックすれば、内径にぴったりなものが見つかるはず。なにせナットなので強度もバッチリ。
ハンマーでコンコンと叩き入れるぐらいのクリアランスが理想ではありますが、今回はまさにジャストフィット。
パイプをかぶせると、理想的な芯金になってくれました(よっしゃ、よっしゃ! 幸先ヨシ♪)。
さて、ここから仮止めである「点付け」をしていくのですが、サイドスタンドと新しく切り出したパイプの隙間をちょっと開けておきます。ぴったりくっつけて溶接しがちなのですが、今回はがっちりとした芯金が入っているので、むしろそれをベースに溶かし込みたいので、パイプの隙間を開けた状態で溶接していきます。
イメージとしては、高ナットを溶接で溶かして、そこから溢れたトロトロの液状の鉄をパイプにとろりと乗せるかんじ!「トロトロの鉄」・・・っていうとなんかイメージしにくいかもしれませんが、実際、溶接って金属がデロンデロンに溶けるんですよ。その世界が面白いのなんのって!
ノンガス半自動溶接でくっつける
ここからいよいよ溶接です。
使うのは100Vで動くノンガス半自動溶接「EENOUR MIG120S」。とてもシンプルでリーズナブルな溶接機なのですが、個人的にこのフィーリングが好きで愛用しております。サイドスタンドをバイスに固定して、しっかりアースを接続。
高ナットを狙う感じで、バチバチっと点付け。
表と裏の2箇所、または120度ずつずらした3点溶接をして、そこでパイプがちゃんとまっすぐくっついてるかチェックします。
この段階で曲がっていたとしても、ハンマーで軽く叩くことでまっすぐに矯正できるので、直せるうちにしっかりチェックしておきます。オッケーであれば、本溶接行っちゃいましょう。
高ナットが芯金として仕込まれているので、パイプだけの時よりも強めの電流で溶接できます。高ナットを先に溶かしてパイプをくっつけていくイメージで。これは連続じゃなくても断続溶接でも問題なし。綺麗に溶接するよりも、しっかり溶かし込む方を優先でやると、後々安心です。なんたって荷重のかかるサイドスタンドですからね!
パイプ同士を溶接したら、溶接をしっかりチェックしましょう。溶接ビードはとろけるようにパイプにくっついていれば、まず間違いなく溶接できていますが、アークが断続的になってしまったり弾いてしまったりして団子状になっている時は強度が確保できないので、面倒かもしれませんが、きちんとグラインダーで削って再溶接することを強くおすすめします。
繰り返しになりますが、サイドスタンドは力のかかる部品なので、しっかり溶接しておきたいですね。むしろ穴が空きそうなぐらい強く溶接してる方が、しっかり溶け込んでいる証です。
最後に「お皿」をくっつける
最後にサイドスタンドが地面に接する部分の「お皿」を作ります。
今回は折れてないノーマルのサイドスタンドがあったのでそちらを参考にしますが、もし参考にするサイドスタンドはなかった場合は、一度実車に取り付けてみたりして、どれぐらいの長さで、そしてどの角度で地面に設置するかを測りましょう。
サイドスタンドが長ければバイクが起き上がりますし、短いとその分バイクが寝ます。長さも重要な要素なので、もし好みがあれば、ここで調整することも可能です。また、長さに関しては後で取り付けるお皿が足されるので、その厚みを引いておくこともお忘れなく。
以上のことをチェックしたら、パイプにけがき線を入れて斜めに切断します。
ちなみに今回は、いろいろな端材が入っている箱の中から二枚のワッシャーを組み合わせて、お皿にすることにしました。
ちなみにホームセンターのボルトナット売り場に行けば、似たような大きなワッシャーが売っているので、それを使ってもいいかもしれません。また、建築資材の売り場に行けば、円形だけでなく四角の板も売ってますので、そこら辺はお好みでどうぞ!
お皿を溶接する時は、パイプとワッシャーの肉厚が違うので、ちょっと難しいかもしれません。コツとしては、高ナットとの溶接と同様に、まずは厚みのあるワッシャーの方を溶かしてから、そこから溢れてくる溶けた鉄をパイプの方に寄せてくイメージ(←これで伝わるかな~?)。
逆に厚みのあるワッシャーの方をしっかり溶かさないとくっつきにくいので、ちょっと攻めの強さぐらいがちょうどいいかもしれません。
サイドスタンド復活!
そんなわけで、こうなりました!
いや~ゴツくなりましたねぇ~!!
美しく見せるのであれば、溶接痕(ビード)を平滑に削ればスッキリとした姿にできるのですが、個人的にはビードを思いっきり残す方が好みだったりします。なんというか、この・・・「直したぞ!」感がまた良いのですよね。筆者にとっての溶接とは「つけることを楽しむ」←コレです!!
溶接は楽しいゾ♪
サイドスタンドと同様に、サビで痛んでいたスイングアームも、ご覧の通り切り出した板を当てて溶接することで復活しました。ノーマルよりも肉厚があるので、重くなってしまいましたが、むしろ強度がアップロしたと思えば結果オーライかと。
酷くサビてしまった鉄部品、途中で折れようとも・・・穴が開いたとしても・・・工夫次第で、溶接すれば復活することができる!
これがね~。もう、たまらなく楽しいのですよ。価値を失ってしまった部品が自分の手で復活するなんて、もう愉快じゃないですか。一度でもこの快感を知ってしまうと、溶接はやめられないのです。
初めてやってうまくできないのは、溶接も運動も同じこと。やはり練習は必須なのですが、あれこれ考えながら数をこなせば、才能とか関係なく覚えることができると思うので、興味ある方はぜひともチャレンジしてみてください!これは師匠の言葉ですが「技術は邪魔にならない」←です。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
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