
1992年に「プロジェクトBIG-1」思想のもと誕生し、400ccネイキッド市場の牽引役となったホンダ「CB400 SUPER FOUR」。発売から約3年間で累計4万4000台以上を記録したベストセラーの足跡を辿りつつ、1995年に走りの性能を徹底的に追求して投入された特別仕様モデル「CB400 SUPER FOUR バージョンR」のメカニズムと技術的ファクトを解説する。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:ホンダ
「プロジェクトBIG-1」が生んだ400ccネイキッドの基準「CB400SF」
1992年4月、ホンダは「新しい時代にふさわしいホンダのロードスポーツモデルはどうあるべきか」を追求した「プロジェクトBIG-1」の思想に基づき、「CB400 SUPER FOUR」を世に送り出した。水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒の「NC23E」型エンジンをダブルクレードルフレームに搭載し、市街地でのイージーな扱いやすさからワインディングでの軽快なフットワークまでを高次元でバランスさせたモデルだ。
発売開始から約3年間で累計4万4000台以上を販売し、1994年単年でも年間1万4000台以上の登録数を記録するなど、中型ネイキッド市場において不動のベストセラーとして君臨した。大容量18Lのフューエルタンクと力強いスタイリング、最高出力53PS/1万1000rpmを発揮するエンジン特性は、ライダーに扱いやすさと所有する満足感を提供する基本骨格となっていたのだ。
“走り”を愚直に追求したスポーツバージョン「バージョンR」の誕生
このベストセラーをベースに、よりスポーティな走りを求めるライダーに向けて1995年3月10日に投入されたのが「CB400 SUPER FOUR バージョンR」だ。バージョンRは単なる外観のマイナーチェンジにとどまらず、エンジン内部から排気系、電装系にいたるまで全面的なチューニングが施された。
排気系には従来の4-1集合から4-2-1集合エキゾーストパイプを採用し、質感の高い艶消しブラック仕上げの軽量アルミサイレンサーを組み合わせた。
電装系には、スロットル開度とエンジン回転数に応じて理想的な点火時期を供給する電子制御点火装置「PGM-IG」を新たに採用。さらにバルブタイミングとバルブスプリングの変更により、最高出力53PSの発生回転数を従来の1万1000rpmから1万2000rpmへと1000rpm高回転化。
さらに、二次減速比の見直しを行い、リアのドリブンスプロケットを従来の42Tから45Tへとショート化。これにより低中速域からのレスポンス性を直接高めていた。
角型ビキニカウルと専用シャシー!サーキットを見据えた本格足まわり
外観上のアイコンとなったのが、新開発の「フューチャーフォーカスバルブ(H4ハロゲン)」と6分割マルチリフレクターを組み合わせた角型ビキニカウルの標準装備だ。高速走行時におけるライダーへの風圧を軽減し、夜間走行時の前方照射性能を確保している。
フレーム構造にも走りの性能を高める改修を実施。左右のダウンチューブ間にクロスパイプを追加してフレーム剛性を向上させるとともに、キャスター角を従来の27°15′から26°45′へと立たせるセッティングを実施。リアショックの全長を5mm延長して車体姿勢を前傾化させ、軸距(ホイールベース)を標準モデルの1.455mから5mm短縮した1.450mと設定した。
これらの足まわり変更により、ワインディングにおける旋回性と路面追従性を直接向上させている。1995年7月15日には、質感の高い「スターライトシルバー」のカラーバリエーションが追加発売され、スポーツ志向のライダーから強い支持を集めた。
時代を超えて受け継がれるCBのスポーツDNA
1995年に登場したCB400 SUPER FOUR バージョンRは、実用性と扱いやすさを第一とした標準モデルに対し、エンジンの高回転化や足まわりの車体姿勢変更まで踏み込んだファクトリーカスタムであった。翌1996年には丸型ヘッドライトを採用した「バージョンS」へと派生し、その走りの思想は後の「HYPER VTEC」搭載モデルへと着実に引き継がれていくこととなる。
カタログスペックの変更にとどまらず、排気効率、点火タイミング、フレーム剛性という物理的ファクトをひとつずつ積み上げて構築されたバージョンRの血統。その歴史的な技術仕様と走りの追求姿勢は、時代を超えた現在においても、ホンダのヨンヒャクネイキッドが誇るアイデンティティとして色褪せることなく燦然と輝いている。
HONDA CB400 SUPER FOUR VERSION R (1995model) COLORS
【HONDA CB400 SUPER FOUR Version R】●オレンジ
HONDA CB400 SUPER FOUR / VERSION R (1995model) SPECS
| 項目 | 諸元 |
|---|---|
| 車名 | CB400 SUPER FOUR / CB400 SUPER FOUR バージョンR |
| エンジン型式 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒(NC23E) |
| 総排気量 | 399cc |
| 最高出力(標準車) | 53PS / 1万1000rpm |
| 最高出力(バージョンR) | 53PS / 1万2000rpm |
| 最大トルク | 3.7kgm / 1万rpm |
| 点火方式(バージョンR) | 電子制御点火装置(PGM-IG) |
| 排気管構造(バージョンR) | 4-2-1集合排気管 + アルミ製軽量サイレンサー |
| 全長×全幅×全高(標準車) | 2.085m × 0.735m × 1.080m |
| 全長×全幅×全高(バージョンR) | 2.080m × 0.720m × 1.125m |
| 軸距(標準車 / バージョンR) | 1.455m / 1.450m |
| 車両重量(標準車 / バージョンR) | 193kg(乾燥173kg) / 195kg(乾燥175kg) |
| 燃料タンク容量 | 18L |
| タイヤサイズ | 前=110/70-17 54H / 後=140/70-17 66H |
| メーカー希望小売価格(標準車) | 58万9000円(※発売当時) |
| メーカー希望小売価格(バージョンR) | 60万9000円(※発売当時) |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
300km/h時代を拓いた怪鳥の誕生 1997年にキャブレター式のバイクで世界最速と言われたCBR1100XX Super Blackbird(以下、XX)がデビューしました。カワサキZZR-1100[…]
コスパも高い! 新型『CUV e: 』が“シティコミューターの新常識”になる可能性 最初にぶっちゃけて言わせてもらうと、筆者の私(北岡)は『EV』全般に対して懐疑的なところがある人です。カーボンニュー[…]
全クラス制覇から常勝への軌跡 創業者の本田宗一郎が1954年にマン島TTレースに出場宣言。59年に125クラスに初参戦し、6位・7位・8位に入る快挙を成し遂げ、ここから世界GPに本格参戦。なんと196[…]
スーパーカブC125特別仕様車がタイで登場 タイのホンダ系列プレミアムブランド「CUB House」から、上質なカラーリングとレザーシートをまとった特別仕様車「スーパーカブC125 “ザ・クラフティ・[…]
GB350を初体験 今回一緒に走るのはミクさん。2人でバイクを交代しながら千葉県の手賀沼周辺を走っていただきます。胡桃さん、これまでスポーツバイクが興味の中心だったのでGB350とGB350 Sをマジ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
300km/h時代を拓いた怪鳥の誕生 1997年にキャブレター式のバイクで世界最速と言われたCBR1100XX Super Blackbird(以下、XX)がデビューしました。カワサキZZR-1100[…]
世代交代の象徴となったロッシの優勝 ヴァレンティーノ・ロッシが17歳という若さで、初めてWGPにデビューしたのが1996年のこと。アプリリアのファクトリーライダーとして前述のRS125Rでフル参戦。マ[…]
世界初、独自機構を貫いたキャブレター式ターボの誕生 1981年の東京モーターショーに、XJ650をベースとしたターボ車が出展された。会場には電子制御式フューエルインジェクションとキャブレターの2種類が[…]
80年代ターボブームを駆け抜けた近未来フォルムと先進装備 XN85は、空冷4気筒エンジンを搭載する「GS650G」をベースにスズキが作り上げたターボチャージャー搭載モデルである。当時の日本ではターボ車[…]
世界初にして国産唯一の市販ロータリーバイク、スズキ「RE-5」の誕生 ロータリーエンジンは、ドイツの発明家フェリクス・ヴァンケル氏が考案した、おむすび型のローター(ピストン)が回転して動力を生み出す方[…]
人気記事ランキング(全体)
サビて固着したネジやナメて外せなくなったネジを簡単に外せる デイトナから発売されている「バイク用ショックドライバーセット(品番:95392)」は、錆びついて固着したボルトや、ネジ緩み止め剤が塗布された[…]
従来の2気筒から新設計3気筒へ!劇的進化を遂げた新型「Ryker」 BRPジャパンが国内に展開するカンナムシリーズの中で、よりカジュアルに3輪アドベンチャーを楽しめるモデルとして支持されてきた「Ryk[…]
ザガートの名がつくだけで売れ行きがまったく違う とにかく、アストンマーチンが100周年にかけた情熱はすさまじいもので、DBS GTザガートとDB4 GT ザガートのセット販売をはじめ、ハイパーカーと呼[…]
欧州での人気を背景により本格的なオフロードモデルに進化 2025年にフルモデルチェンジを行ったキャバレロラリー500最大のトピックは、従来モデルから大幅な見直しが図られた車体構成にある。これまでのラリ[…]
ワークマン最大のカジュアルショップがイオンモール川口に誕生!! Workman Colors(ワークマンカラーズ)はワークマンが展開する多数のウエアやグッズのなかで、従来のメイン商材だった作業着(ワー[…]
最新の投稿記事(全体)
荒野を駆け抜けた友情と青春!『機甲創世記モスピーダ』が放つタイムレスな魅力 1983年10月から1984年3月まで全25話が放送されたタツノコプロ制作のTVアニメ『機甲創世記モスピーダ』。謎の宇宙生命[…]
+35馬力のために、ハードウェアを全替えするポルシェの執念 3.6リッターの水平対向6気筒ツインターボ、いわゆるレンシュポルトの血筋「メッツガーユニット」を搭載し、415馬力を発揮。これだけでも当時の[…]
「プロジェクトBIG-1」が生んだ400ccネイキッドの基準「CB400SF」 1992年4月、ホンダは「新しい時代にふさわしいホンダのロードスポーツモデルはどうあるべきか」を追求した「プロジェクトB[…]
MotoGP日本グランプリにハーレーがやってくる! まず注目したいのが、2026年からスタートした新たな世界選手権「Harley-Davidson Bagger World Cup(ハーレーダビッドソ[…]
サーキット専用「AMB 001」を経てついに解禁!公道を駆けるロードスター 英国の四輪ラグジュアリーブランドであるアストンマーティンと、伝統の二輪メーカーであるブラフシューペリアの提携が生み出した「A[…]
- 1
- 2






































