
SNSや動画配信サービスの普及により、バイクの情報に触れる機会はかつてないほど増えている。そうした中で今、昭和や平成を駆け抜けた「旧車」たちが世代を超えて再評価されているという。バイク買取サービスを手がける「バイクブーン」とプラスト株式会社が行った共同調査によれば、多くの人が現代のバイクにはない“情緒的な魅力”を旧車に見出している実態が明らかになった。現代ライダーたちのリアルな意識に迫る。
●文:ヤングマシン編集部 ●外部リンク:バイク買取サービス「バイクブーン」、バイク意識調査2025
バイクに目覚めるきっかけは「身近な存在」と「エンタメ」
この調査は2025年12月10日~16日に、バイクに興味がある20~59歳の男女420名を対象に実施された。そこでわかったのはまず、現代のライダーたちが何に突き動かされてバイクの世界に足を踏み入れたのかだ。バイクに興味を持ったきっかけとしてもっとも多かったのは「家族・友人が乗っていた」の44.3%であった。
これに続くのが「映画・ドラマ・漫画・アニメ」の35.5%、そして「移動手段としての利便性」が30.2%となっている。自由回答では「格好いい」「機械的な興味」「いじりやすさ」といった声も上がっており、単なる足としての道具ではなく、メカニカルな魅力や所有する喜びが、今もなおライダーを惹きつける大きな要因であることがわかる。
また、近年では「芸能人・YouTuberの影響」も20.5%と一定の存在感を示しており、メディアの形が変わっても、誰かの楽しそうな姿が新たなファンを生む構図は変わっていない。
現場が感じる「旧車ブーム」の圧倒的リアル
昨今、中古車市場における価格高騰などが話題となっているが、実際に「昔のバイクが人気になっている」と感じている人はどの程度いるのか。同調査によれば、「強く感じる(21.7%)」と「なんとなく感じる(46.9%)」を合わせると、全体の約7割に達することが判明した。
この実感の背景には、SNSや動画コンテンツで旧車を目にする機会が増えたことに加え、街中で実際に走っている姿を見かけるといった日常的なシーンの積み重ねがあるようだ。
一方で、SNSなどの接触頻度によって実感の度合いには差が出ており、昭和・平成のバイクは一部のマニアックな世界から、より広い層にとっての「なんとなく気になる存在」へとそのポジションを変えつつあると言える。
性能より「味」。ライダーが求める情緒的な魅力
では、なぜ現代において昭和・平成のバイクがこれほどまでに支持されるのか。その魅力の核心を探ると、数値化できない「感覚的な価値」が浮き彫りになる。調査結果でもっとも多かった回答は「デザインがかっこいい」の53.8%であった。
注目すべきは、それに続く理由が「音や雰囲気が好き(43.8%)」や「今にはない“味”がある(43.6%)」といった、極めて主観的かつ情緒的な要素である点だ。一方で「最新モデルより個性がある」と答えた人は21.4%に留まっており、新旧の優劣を競うというよりは、旧車が持つ独特のノスタルジーや雰囲気に、多くの人が抗いがたい魅力を感じていることがうかがえる。
スペックや合理性だけでは語れない、説明のつかない「惹かれる何か」こそが、旧車人気を支える太い柱となっているのだ。
YouTubeが牽引するバイクライフと情報収集
情報の得方も時代とともに変化している。バイクに関する動画やSNSコンテンツで、もっとも視聴されている媒体は「YouTube」で、ちょうど半数の50.0%に達した。
しかし、YouTube一強というわけではなく、「TV・配信ドラマ・映画(25.5%)」、「TikTok(21.4%)」、「Instagram(19.5%)」と、多様なプラットフォームが併用されている実態も見て取れる。
詳細なメカ解説をじっくり楽しむ層から、短いクリップでバイクの雰囲気をライトに楽しむ層まで、ライダーたちは自分のスタイルに合わせて情報を使い分けているようだ。この多角的なメディア接触が、旧車を含めたバイク文化への関心を多層的に広げる役割をはたしている。
次に乗りたい一台。多様化するライダーの価値観
最後に、ライダーたちが今後どのようなバイクを求めているのかを探ってみよう。乗りたいタイプとして上位に挙がったのは「ネイキッド(33.1%)」、「アメリカン(32.6%)」、「スーパースポーツ(27.1%)」という王道のカテゴリーだ。
しかし、内訳を細かく見ると「旧車」を挙げた人が21.2%、「スクーター」が22.1%、さらには「EV(8.3%)」や「トライク(6.4%)」といった選択肢にも一定の関心が寄せられている。
自由回答では「SRのようなバイク」「レーサーレプリカ」「サイドカー付き」など、具体的なモデルやスタイルへの憧れが散見され、排気量やジャンルという既存の枠に囚われない、極めてパーソナルな価値観でバイク選びをしようとする姿勢がうかがえる。
バイクは今、単なる移動の道具を超え、自己表現やライフスタイルの一部として再定義されているといえそうだ。昭和・平成の名車たちが放つ「味」を楽しみつつ、EVのような次世代の技術にも目を向ける。そんな多様で豊かなバイクライフが、これからの時代を象徴していくことだろう。
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