【2スト名車】ヤマハ(YAMAHA)RZ250【1980~1982】:ライバル比較試乗から垣間見えた圧倒的な性能

【2スト名車】ヤマハ(YAMAHA)RZ250【1980~1982】:ライバル比較試乗から垣間見えた圧倒的な性能

現在では名車の称号を得ているものの現役時代のRZはどんな評価を得ていたのだろうか。その実情を知るべく、このページではデビュー当時のヤングマシン記事を振り返ってみたい。


●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU

ライバル勢を圧倒する抜群のコーナリング性能

’80年代初頭のヤングマシン紙面には何度もRZが登場しているが、デビュー当初のRZ250の実情を知る素材としてここで選択したのは、’80年11月号に掲載したライバル2車との比較試乗。

ちなみにその2車とは、’78年に登場したスズキRG250Eと、RZと同年にデビューしたホンダCB250RSで、各部の構成やスペックを知ると、RZのライバルとしては力量不足のように思えるものの、裏を返せばその事実は、RZの構成と性能が突出していたことの証明と言えるだろう。

計13ページに及んだ記事の中で、最初に目を引くのは、筑波サーキットのラップタイムと、ゼロヨンのタイムである。単純な加速や最高速では、ライバル勢との差がわずかだったRZだが、トータルでの運動性能が問われるサーキットでは見事に圧勝。こういう特性だったからこそ、RZは当時のプロダクションレースで大人気を博したのだ。

もっとも、この記事をまとめたテスターは、すべての面においてRZを認めていたわけではなく、文中では以下のような苦言も呈している。

「RGとCBのエンジンが、かなり低い回転域からでも加速が効くのに対して、5000rpm以下のRZはせいぜい125ccクラスの実力だろう」

「モノクロス式リヤサスペンションの特性なのだろうか、中途半端な速度でコーナーに進入すると、RZはどんどんバンクするばかりで、インに付けないことがある。そういう点ではRGのほうが、クセがなくてナチュラル」

「RZは走る場所が限定されるバイクで、信号と交通量が少なく、大小のコーナーが適度に存在する良質な舗装路でなくては、本質は満喫できない」

なかなか厳しい意見だが、確かにRGやCBと比較すれば、RZの低速トルクは十分ではなかったし(’83年以降のRZ250Rは、排気デバイスのYPVSを採用して問題を解消)、新時代のリヤサスはまだ未成熟だったのかもしれない。ただし、“走る場所が限定される”という評価に関しては、RZはそこまで守備範囲が狭くはない、という反論を述べたい人もいるだろう。

さて、続いて紹介するのは高評価の話で、以下の言葉はいずれもサーキットと峠道で得た印象である。

「6000rpmから高回転へ向かって、スムーズにエンジンが吹け上がる様子は、これぞ現代の2ストロークという印象。この感触は4ストロークでは得られないし、回し切って使うときの気分は、やっぱり痛快無比だ」

「コーナーの大小を問わず、RZはブレーキングしながら方向転換のきっかけをつかんだ瞬間から、即座にフルパワーをかけることができる。こういった感触は、今回取り上げた2台のライバルだけではなく、GSX400やCB750Fでも得られないだろう」

「ハイスピードコーナリング中のRZは、優秀なトーンアームがレコードの盤面を動いていくように、正確に路面をトレースする。コーナーの入り口から出口まで、ステップが路面に接地したままで走り抜けても、接地音が多少変化するに過ぎない。RGでそのペースについていこうとすると、固定式ステップの接地で後輪が持ち上がってしまうし、それ以前の段階から前後タイヤがずるずると滑り始める。CBはいったん姿勢を決めてしまえば、コーナリング中の車体は安定しているものの、パワーをかけていく際はRZよりデリケートなコントロールが必要だ」

いずれも、RZの本質を把握したうえでの言葉だが、以下に紹介する序文のほうが、わかりやすさでは上かもしれない。RZは当時の日本市場の最大排気量だった、ナナハンを打ち負かすほどの運動性能を備えていたのだ。

「誰よりも速く走ることを望む君は、今日も峠道へ行こうとしている。バックミラーをひょいと見ると、RZが映っている。どうやらヤツもそこへ行くらしい。君が400に乗っているなら、悪いことは言わない。先に行かせてやりたまえ。750に乗っているなら、峠道に辿りつくまでに力いっぱい走りなさい。じゃないと、君が3つ目のコーナーをクリアする頃には、淡いブルーの排気煙が残っているだけで、ヤツの音さえ聞こえないだろうから」

ヤングマシンのテストでも好記録をマーク

デビュー当初のライバルだった、スズキRG250E/ホンダCB250RSとの比較試乗で、RZは抜群の潜在能力をいかんなく発揮。すべての要素で、ライバルを上回る数値をマークした。もっとも、ヤングマシン’80年11月号で試乗記を担当したテスターは、RZの汎用性の低さに異論を呈し、“不特定多数のライダーに安易に薦められるモデルではない”と記している。

【YAMAHA RZ250(水冷2サイクル並列2気筒)】■最高出力35ps/乾燥重量139kg

【SUZUKI RG250E(空冷2サイクル並列2気筒)】■最高出力30ps/乾燥重量126kg

【HONDA CB250RS(空冷4サイクル単気筒)】■最高出力25ps/乾燥重量128kg

0-200m0-400m400m地点の速度筑波ラップタイム筑波・最高速度
ヤマハRZ2509秒 7114秒 94136km/h1分15秒 82142km/h
スズキRG250E9秒 8815秒11135km/h1分17秒 36138km/h
ホンダCB250RS10秒1016秒 42121km/h1分18秒 76130km/h

【350の速さも別格だった】RZ350は、ヤングマシン’82年7月号のテストで0-400m加速13秒77、筑波サーキットのラップタイムは1分12秒31をマーク。ホンダCBX400Fなど、同年代の4スト400をすべて寄せ付けない記録をマークしている。

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