アメリカンホンダは、ミニモト系の2023年および2024年モデルを発表した。日本でいうCT125ハンターカブは「トレール125」を名乗り、その他の地域の2023年モデルと同様に新エンジンを搭載。車体色はグリーン1色のみのラインナップとなる。ほかにも、日本では販売終了しているズーマーや、レトロスクーターとして人気のジョルノが、それぞれ現地名で発表されている。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
アメリカの改造バイクがはじまりだったハンターカブ=CTブランド
北米市場では「トレール125」を名乗るCT125ハンターカブだが、このシリーズ、元々は1960年頃にアイダホ州のディーラーがスーパーカブ50を改造し、この地域の険しい山岳地帯で使用するために販売したものが出発点。アメリカンホンダがこのマシンを日本に紹介したことで、1961年3月には正式にCA100Tトレール50が誕生することになった。
同じくアメリカでは1964年にCT200トレール900、1969年にCT70トレール70、そして1981年にはCT110が発売され、北米市場における約30年間でCTシリーズは72万台を超える販売台数に達している。
それからしばらく間を置くことになったが、2019年の東京モーターショーでCT125コンセプトが発表され、北米では2021年にホンダ「トレール125」が発売された。
今回発表された2023年モデルは、日本を含むアジアで先行デビューしている新型エンジン搭載モデルで、車体色はパールオーガニックグリーンを採用。190Wの発電能力やフルLED灯火類、四角いウインカーレンズ、オフロードでの使用に耐えるアンダーガードなどを備える。
マイナーチェンジ前のモデルと同様に、CTシリーズ伝統の自動遠心クラッチを搭載し、前に踏み込むとシフトアップする4速トランスミッションはボトムニュートラル式。停止時にはロータリー式として振る舞う。フロントフォークはφ27mm正立タイプでストローク109mm、リヤはツインショックでホイールトラベル96mmだ。
現地価格は3999ドル(日本円換算約53万5000円・4月21日現在)で、車体色はグリーンのみ。
HONDA TRAIL125[2023 U.S. model]
主要諸元■全長77.2 全幅31.7 全高42.7 軸距49.5 シート高31.5(各インチ) 車重256ポンド■空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 123.9cc 出力未発表 変速機4段 燃料タンク容量1.4ガロン■前後タイヤサイズ=80-90-17
日本でも販売されていた“ズーマー”が北米では「RUCKUS(ラッカス)」として生き残る!
ラッカスは49ccの水冷4ストローク単気筒エンジンを搭載する、日本でいう原付一種に相当するスタイリッシュなスクーターだ。特徴的なシート下スペースはスチールパイプに囲まれた“がらんどう”になっており、工夫次第ではけっこう大きめの荷物を搭載することも可能だ。一方で、隠れた車体メインフレームは見た目のイメージに反してツーピースのアルミ製ダイキャストを採用している。
前後ブレーキはドラム式で、トランスミッションはホンダVマチックによる無段変速を採用。メンテナンスフリーバッテリーや使いやすいパーキングブレーキなどを装備する。
日本では遊び心のある原付一種が買えなくなってしまったが、原付の定義が変わる可能性があるなら、またこんなバイクの登場にも期待したい。
現地価格は2899ドル(日本円換算約38万8000円・4月21日現在)で、車体色はブラックとベージュの2色をラインナップ。
HONDA RUCKUS[2023 U.S. model]
主要諸元■全長73.2 全幅28.9 全高40.4 軸距49.8 シート高28.9(各インチ) 車重194ポンド■水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 49.4cc 出力未発表 無段変速 燃料タンク容量1.3ガロン■タイヤサイズF=120/90-10 R=130/90-10
和名ジョルノは“メトロポリタン”として販売
北米では“ヨーロッパスタイル”と表現される丸みを帯びたレトロ風スクーターがメトロポリタンだ。日本ではジョルノの車名でお馴染みの、水冷80°前傾シリンダー・49.4cc4ストローク単気筒を搭載する原付スクーターで、大型のシート下スペースや、1リットルのボトルを収納できるインダッシュ収納、バッグの固定に便利な荷掛けフックなどを装備している。
現地価格は2649ドル(日本円換算約35万4000円・4月21日現在)で、車体色はマットクリーンとブルーメタリックの2色がラインナップされる。
HONDA METROPOLITAN[2023 U.S. model]
主要諸元■全長65.0 全幅26.4 全高40.7 軸距46.5 シート高28.3(各インチ) 車重179ポンド■水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 49.4cc 出力未発表 無段変速 燃料タンク容量1.2ガロン■前後タイヤサイズ=80/100-10
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
Honda & MAAN Motocicli Audaci presentano il "SuperCub 125X" 生産モデルから大幅に逸脱しない設計……だけど雰囲気は一変! 日本でも好評[…]
艶消しグレーをベースにメッキパーツとエンブレム、専用ロゴを配置 かつてホンダの空冷DOHCレーサーが“ミッキーマウスエンジン”と呼ばれた縁なのか(たぶん違うけど)、ディズニーとホンダのコラボレーション[…]
1967年型をオマージュしたチェック柄シート ホンダはタイで、モンキー125の2023年ニューカラーを発表した。2022年9月に欧州で発表された3色を同じもののようで、タータンチェック柄のシートとメタ[…]
タミヤの星のマークが付いていると、よくできたプラモと勘違いしそうになるとかならないとか 1/1スケールの玩具として家に飾っておくにはうってつけ! ……と思いきや実車のタミヤ仕様、その名は「DAX TA[…]
シートは赤の「マットアクシスグレーメタリック」だ! スーパーカブC125が最新エンジンに切り替わったのは、タイで2021年3月に発表されたのが最初。この時に追加されたニューカラーのマットグレーは日本で[…]
最新の関連記事(CT125ハンターカブ)
似てるなら、比べてみればいいじゃない?! 最近ネット界隈をザワつかせているバイクがある。その名もヤマハPG-1。ベトナムとタイで発売された、114cc・4速の横型エンジンをアンダーボーンフレームに積ん[…]
道具として優れるホンダ、バイクとの触れ合いを楽しめるヤマハ ヤマハの良心はアジアで息づいていた! そう感じさせたPG-1の試乗ではタイトル画像のようなキャラクターの違いが明らかになったが、各部のディテ[…]
一見するとハンターカブっぽいけど…… 前後16インチという見慣れないホイールサイズに自動遠心クラッチの横型エンジン、シンプルなアンダーボーンフレーム(※)にオフロードイメージのスタイル──。ヤマハがタ[…]
2023年12月31日の日本最北端・宗谷岬からレポートします!! 「走らねぇ豚は病気の豚だ」とは誰が言ったか知らないが、寒さや凍結路面をモノともせず走り回っているライダーがいる。しかも彼らは大晦日の日[…]
2022年に引き続き2023年夏も北海道に上陸!! 広大な大地でテスト走行 ホンダCT125ハンターカブのエンジンは1万回転以上回るらしい、という話を聞いた。ノーマルエンジンのレブリミットは8500回[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
長い歴史と抜群の知名度 日本の2輪業界では、ある分野でエポックメイキングなモデルが登場すると、他メーカーが似て非なる車両で追随・対抗するのが昔から通例になっている。もっとも一昔前と比べれば、最近は明ら[…]
いつかは乗ってみたかったGB250クラブマンを衝動買い ショーウインドウ越しに見ただけで衝動買いしたGB250クラブマン(1983)。購入したのは、個人売買でもジャンク屋でもなく、町のバイク屋さんでし[…]
※2024年3月にWEBヤングマシンで大きな反響を呼んだ記事をあらためて紹介します。こちらは第5位の記事です(初公開日:2024年3月24日)。 日本から50ccが消える日 骨肉のライバルも今は兄弟機[…]
ホークシリーズ登場後、すぐにホークIIIを投入。“4気筒+DOHC”勢に対抗したが… 1977年の登場から1〜2年、扱いやすさと俊敏さを併せ持つホークシリーズは一定の人気を獲得したが、ホークII CB[…]
ネモケンにかかってきた“1本の電話”からドラマが始まった 1986年の秋、ボク(根本健)のところへ、世界GPで闘うHRCワークスチームのボスである尾熊さん(以下 クマさん)から、電話があった。 「来春[…]
人気記事ランキング(全体)
どうもアイキョウです。ワークマンにはさまざまなレインウェアがあります。 雨の日でも通勤でバイクに乗るならワークマンのバイカーズという製品がオススメです。ワークマンレインウェアの中では高額な5800円な[…]
330円の万能ソケット買ったので試してみたい いつ頃からだろうか?100円ショップが100円だけではなくなってしまったのは。工具のコーナーも例外ではなく、100円、200円、500円、ものによっては1[…]
――はじめに、津久井高校の県内の位置付けや特色を教えてください。 熊坂:県立高校に移管される前も含めると、明治35年に始まった学校なので120年を超える歴史があります。全日制と夜間定時制の2課程ありま[…]
※2024年3月にWEBヤングマシンで大きな反響を呼んだ記事をあらためて紹介します。こちらは第3位の記事です(初公開日:2024年3月11日)。 バイクはオービスに引っかかることはない!? ウワサの真[…]
リスクの高いスポーツは社会に受け入れられない……? 3月末、日本にいた僕は東京モーターサイクルショー(TMS)にお邪魔しました。会場を回りながら肌で感じたのは、「レース、やばいぞ……」ということでした[…]
最新の投稿記事(全体)
精度向上と新たなシール開発で、今なお進化を続けるチェーン技術 芸術家であり科学者でもあったレオナルド・ダ・ヴィンチが15世紀に考案し、19世紀に現在とほぼ同様の形態で実用化されたローラーチェーンは、バ[…]
車体や外装だけでなく…メーターまでワンオフだ!! カワサキ・ニンジャZX-10Rエンジンをオリジナルのアルミフレームに搭載した“最強”のカタナ。兵庫県でECUチューニングなどを手掛ける10ファクトリー[…]
330円の万能ソケット買ったので試してみたい いつ頃からだろうか?100円ショップが100円だけではなくなってしまったのは。工具のコーナーも例外ではなく、100円、200円、500円、ものによっては1[…]
コースレコード更新、セカンドベストで2日目のポールポジションに 全日本ロードレース選手権第2戦が栃木県・モビリティリゾートもてぎで行われました。極寒だった開幕戦鈴鹿から、ようやく暖かくなってきましたが[…]
ホンダは3/22〜24の東京モーターサイクルショーで展示した2輪ニューモデルを、本社1Fのホンダウエルカムプラザ青山(東京都港区南青山2-1-1 Honda青山ビル1階)にて展示する。期間は4月26日[…]
- 1
- 2