[旧車レストア] 1983 ホンダGB250クラブマン:まずは素性確認と始動確認準備から〈連載第1回〉

旧車レストア|ホンダGB250クラブマン

近所のバイクショップのショーウインドウに飾られていた車両に一目惚れし、店主と交渉し購入したホンダGB250クラブマン。購入してから初めて気づいたのは、ツインキャブ/ツインマフラーだったこと。一代限りで終わったE型。でもよーくみると、何かがおかしい…?


●文/写真:モトメカニック編集部(宮下豊史) ●外部リンク:丸中洋行

いつかは乗ってみたかったGB250クラブマンを衝動買い

ショーウインドウ越しに見ただけで衝動買いしたGB250クラブマン(1983)。購入したのは、個人売買でもジャンク屋でもなく、町のバイク屋さんでした。本来ならば修理をした後の販売になりますが、筆者の素性を明かしたところ、無理を聞いてくれて現状販売してもらえました。

納車の際に初めてまじまじと眺めましたが、自分から金額を提示したのにもかかわらず、若干後悔するほどの手強そうな個体。しかもツインキャブ/ツインマフラーの初期モデル(E型)でした。

フレームまわりのサビとエンジンの腐食がひどい。しかし、ガレージまで5分ほどの道のりを押して帰ったところ、ブレーキの引きずりもなく、各部の固着もないので、スムーズに動く!! よって、思いのほか簡単なメンテで復活できるかも? と期待大。実走行481kmにも驚きましたが。

購入後、なにか変だと思いWEBで情報収集したところ、中期モデルのH型のタンクとウインカーが装着されていた。ショップに聞くと、近所の米屋の納屋で長期放置されていた車両だが、細かな整備歴は流石に覚えていないとのことだ。

GB250クラブマンは、筆者が中型自動二輪免許を取得した際に、初めてのバイクとして候補に上がった車種。いつかは乗ってみたいバイクの1台でした。過去にGB400TT/SR400を乗り継いだことはありましたが、250ccの空冷シングルエンジンは初体験(オフロード車は除く)。

エンジンもフレームもまったく違いますが、今流行りのGB350のご先祖にあたる車両なので、公道デビューが今から楽しみでなりません。

まずはガレージ内で状態確認をします。当時物のシングルシートカウルも含め、外装パーツはキレイですが、なにか違和感を感じます。その原因はガソリンタンク。銀色ですが、微妙に色味が合っていません。

WEBで各年式の外装色(とくにデカール)を確認すると、1989年から1991年に生産されていたL型のタンクでした。ショップの大将から聞いた元オーナーの情報によると、新車で購入後、箱根へ行き、その非力さからすぐにSR400を購入し、乗らなくなった長期放置車とのこと。

おそらくは、放置していた車両を一度再生しようとし、サビだらけだったタンクを交換したのでは? と推測。しかし、ウインカーも変更されている点とライトリムの傷から察するに、転倒が原因で交換したのかもしれません。

次に、ガソリンタンク内を確認。燃料キャップから覗く範囲にサビは確認できませんでした。強烈に腐った匂いもしないので、状態は良さそう。

キャブレターから燃料ホースを外し、コックをONにすると、黒褐色のガソリンが流れ出てきます。コック側のドレンボルトを外して中を見ると、汚れと小さなサビを確認できました。

タンクからコックを取り外し、燃料を全部出しきったところ、小さなサビの破片も確認できました。その後、中を乾燥させファイバースコープで覗いてみると、若干の点サビを発見。榮技研のタンククリーナーの出番ですね。始動確認をした後に、作業をすることにします。

次に始動準備に移ります。まずはエアクリーナー。こちらも経年劣化しているので、NTB製の新品に交換します。

バッテリーも死亡しており、BSバッテリーに交換。旧バッテリーに貼ってあった覚え書きによると、2014年に交換されています。長期放置と復活を交互に2回重ねた車両だと推測。とはいえ極低走行車。走りに魅力がない車種なのかと少々不安になります。

その次はキャブレターのオーバーホールですが、エンジンや電装品の状態確認をしてから手をつけます。はたしてクランキングはするのでしょうか? 次回に続きます。

外装は年式の割に綺麗だが、アルミ製のクランクケースカバーなどの表面腐食がひどい。距離は驚きの481km! ショップの大将から聞いた購入時のオーナーエピソードを聞いたところ、実走行なのは間違いないようだ。

フレームのサビがひどいので、エンジンの状態を確かめた後に、粉体塗装をすることに決定!!

ブレーキマスターが固着していたので、ショップの倉庫に転がっていたキムコのロゴ入りマスターを装着した様子。押し歩きでの引きずりはない。当時オプションだったシングルシートカウルとスクリーンが装着されている。

タイヤの刻印から1994年14週目の生産だとわかる。つまり新車からは一度交換されているようだ。そのタイミングでタンクを交換し復活させたのでは? と推測。

エアクリーナーは、経年劣化からの変色は見られるが、煤やゴミが大量に付着していないきれいな状態。純正より安価で同じ性能のNTB製規格部品に交換する。

タンクは若干の凹みと傷があるが、外観はきれい。給油口から覗く範囲では中もきれい。燃料が若干残っていたので排出するが、腐った匂いはない。コックのドレンと排出した燃料に若干のサビを確認できた。

バッテリーを交換して始動性を確認

始動確認をしたいので、バッテリーを新品に交換。用意したのは丸中洋行が取り扱うBSバッテリーだ。初期充電の重要さ大事なので、自分も実行。テスターで図ると電圧値は12.53Vと十分ではあるが、念のため初期充電を行った。古いバッテリーには“2014年10月”と記載があったので、タイヤ交換をした後にバッテリーを交換したことが窺える。バッテリーを保持するスチール製のケースもサビだらけ。バッテリー端子も腐食していたので、ブラシでこすり、クリーナーと接点復活剤でケア。そしてバッテリーを装着。

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