2000年頃から、タクシーや輸送運搬といった稼働時間が長く運行頻度が高い営業車の事故把握を目的に装着が始まったドライブレコーダー(以下、ドラレコ)。最近では、いわゆる”あおり運転”の厳罰化等によってクルマへの装着率は5割を超え、バイクへも急速に普及し始めています。
そこで今回は、ドラレコを製造販売するメーカーとして、ライダーの支持を集める株式会社ミツバサンコーワの黒崎さん(以下、ミツバ)と株式会社デイトナの矢嶋和弘さん(以下、デイトナ)に、メーカーから見たライダーの商品に対する反応や安全意識、ライダーが求めている機能についてお話を伺いました。※敬称略
●記事提供:MOTO INFO(初出2022年5月30日)
バイク用ドラレコの普及状況(普及率)とライダーの自衛意識
MOTOINFO編集部(以下、編集部):バイク用のドラレコは普及しているのでしょうか?
ミツバ:煽り運転の問題が顕著化してから、ひとたび事故にあうと転倒のリスクが非常に高いライダーにとって、自衛意識と共にドラレコの注目度も高まりました。
2019年の時点でライダーの約3割がバイク用ドライブレコーダーを所有しているというデータがあり、現在は約5割程度にまで増えているというアンケート結果もあるようです。もしもの事故やトラブルに備える「自衛」を目的とした利用はもちろん、ツーリング時に旅の思い出として録画をし、それをさらにSNSへ投稿する「楽しみ」目的で利用されているライダーもいます。
デイトナ:クルマでは装着率はそれでも5割前後と言われ、バイクの場合は以前から保有しているライダーを含めると、全体でまだそこまでは及ばないと思われます。しかし、ETCやナビの黎明期と同様に走行に便利なツールであるとライダーに認識されることで、ライダーへの普及とともに低価格化や商品の選択肢の増加は間違いなく、今後バイク用ドラレコ市場は伸長するのではないかと予想しています。
YouTubeなどといった動画共有サイトにアップされる様々な動画を見て、ドラレコの重要性について認識が広がっているのが最近の傾向です。
編集部:ドラレコを装着するライダーの意識やプロフィールについて教えてください。
ミツバ:昨今ますます増加している40~50代を中心としたいわゆる”リターンライダー”から、SNSに投稿された映像に影響を受けて装着する若年層まで、年齢を問わず幅広い層のライダーに利用されています。
デイトナ:傾向としては、バイク購入と同時につけるユーザーも増えているようですが、車種はスクーターからビッグバイクまで幅広く装着されています。自らの運転も記録されるため、運転を自制する意味でも装着しているという人も少なくありません。
編集部:今後の市場動向の期待(今後も拡大?任意保険へのメリット?)について教えてください。
ミツバ:バイクは特にコロナ禍では密にならない移動手段とみられることもあり、今や、実用、趣味・レジャーとして注目を集めています。また、フードデリバリーをはじめとした宅配需要の増加に伴って業務用バイクが活躍するシーンも多くなり、バイク用ドラレコ市場は今後も拡大するのではないかと見ています。実際にお客様より、事故の係争時にドラレコの記録画像が決め手となり、早期解決に繋がったとの声も頂いています。
デイトナ:ひとつはやはり、任意保険でのドライブレコーダー特約割引のバイクへの設定が期待として大きいです。また、車速センサーカプラー対応(車体からの社則情報を取り込める接続端子が標準で車体に着くようになる)により、トンネルなどGPSが使用できない場面でも正確な情報が記録できるようになる期待があります。
編集部:バイク用ドラレコは、どのくらいの価格帯や機能の商品が人気なのでしょうか?
ミツバ:証拠能力として有用であるGPS搭載モデルの需要が高いようです。弊社ラインアップでは比較的高価格帯(3万円台)ではありますが、前後2カメラ+GPS搭載モデルである商品(EDR-21G)が売れ筋です。無料の専用アプリを使って、スマートフォンなどの端末と本機を無線LANで接続できるので、いつでもどこでもスマホアプリで録画した映像の閲覧・保存ができます。
今月より、さらに防塵・防水性能を高めつつコンパクト化した商品(EDR-22G[前後2カメラ+GPS搭載]、EDR-22[前後2カメラ])の2機種が新発売となりますので、さらに人気を集めるのではないかと考えています。
デイトナ:直近の動向では2万円~3万円台で、前後2カメラ、防水・防塵でGPS機能付き、かつ夜間でも鮮明に撮影できる高画質カメラを備えたコンパクトなユニットが売れ筋ですね。
動画をすぐ確認したいユーザーにとっては、本体ユニットに内蔵されたWifiと専用アプリを使って、録画した動画をすぐにスマホに保存したり、SNSなどで共有したりすることも可能です。安心して装着できるように取り付けステーや電源の取り出しユニットなども用意して、より装着しやすい工夫をしています。
現在販売されているバイク用ドラレコは、防水・防塵機能やスマホ連携、取付けの簡易化、ワンタッチ操作など、技術開発は日進月歩で進化しています。そのため、販売店で意見を聞いたり実際に使われている方の評価などを参考にしたりしながら、実機の操作性チェックとともに自分のバイクや用途に合わせてしっかりと機能を確認する必要があります。
また、最近クルマ用ドラレコで頻繁に言われるのは、トラブル時の動画が保存できていないケースが増えているそうです。記録可能なデータ容量に限りがあるため自動上書き設定にしてあるがゆえに、重要な動画も上書き消失してしまうというもの。
もしもこれからドラレコを装着しようと考えているのであれば、装着しただけで安心せず、ドラレコの設定や記録映像の保存方法についてしっかりと把握しておく必要があります。
万が一の事故に備えた自己防衛としてドラレコによる動画記録は非常に重要ですが、同時に自分の運転が記録されていることによる自制効果も安全運転意識の向上には効果的であり、ドラレコ装着は様々な面で有用であると言っても過言ではありません。
株式会社ミツバサンコーワ
https://www.mskw.co.jp
株式会社デイトナ
https://www.daytona.co.jp
自動車用の映像記録型 ドライブレコーダー装置について – 国土交通省 自動車局(令和2年12月)
https://www.mlit.go.jp/monitor/R2-kadai01/15.pdf
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