ハーレーダビッドソンやインディアンが強い北米のクルーザー市場に、1801ccの空油冷フラットツインで勝負を挑むBMW。日本にもR18/クラシックの派生モデル「R18トランスコンチネンタル」と「R18B」が上陸した。激しい雨が降る中、車重440kg(!)のトランスコンチネンタルをメインに試乗した模様をレポートする。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:BMWモトラッド
’22 BMW R18トランスコンチネンタル
[◯] Vツインとは対照的なドイツ流を貫いた走り
信じられないだろうが、ウルトラリミテッドに代表されるハーレーダビッドソンのグランドアメリカンツーリングファミリーは、峠道でバンク角の少なさをうらめしく思うほど、あの巨体にしてスポーティな性格を内包している。そして、当カテゴリーに正攻法で挑んだBMW。「R18トランスコンチネンタル」の走りは、やはり運動性において一切妥協はなかった。
このR18トランスコンチネンタル、ハーレーと同様にフォークを逆オフセット&スランテッドアングルとした専用設計のフレームを採用する。巨大なフェアリングとトップケースによって常に高重心感は付きまとうが、動き出してしまえば操舵は軽快であり、それでいてグラッとくる恐さはない。ハンドリングは、軸距が1720mmもあるので(ウルトラリミテッドは1625mm)旋回力こそ高くはないが、倒し込みや切り返しの操作に対するレスポンスは良好だ。荷重に応じてリヤの車高を自動的に調整する電子制御サスペンションのおかげもあって、乗り心地は非常に優秀。ウェット路面でも接地感は薄れることがなく、安心してクルージングすることができた。
1801ccの空油冷フラットツインは、セッティングも含めて先に登場したR18と共通で、ライディングモードは元気のいい順にロック/ロール/レインとなっている。R18でのロックモードはレスポンスが過敏に思えたが、車重が約100kg重いトランスコンチネンタルは、その一発ごとの力量感を楽しめるだけの余裕がある。反面、レインモードは雨の中でもやや物足りなさが…。エンジンフィール自体は、スロットル開閉時のトルク感を強調しているものの、高速巡航中はフラットツインらしくジェントルそのもの。脈動感/熱量/メカニカルノイズなどで常に存在を伝えてくるハーレーのVツインとは対照的で、ここで好みが大きく分かれそうだ。
防風効果はBMWだけあってほぼ完璧で、走っている限りほとんど雨に濡れることもない。また、標準装備のACC(アクティブクルーズコントロール)もR1250RTと同様に作動はほぼ完璧で、高速道路では必ず使いたいと思うほどだ。装備について不満らしい不満はない。
[△] クルーザーを望む人に好まれるかは未知数だ
ハーレーのツーリングファミリーは、フレーム剛性やサスセッティングなど年々モダンになってきているが、それでも適度な”ユルさ”が残されている。R18トランスコンチネンタルはそれが非常に少ないため、この真面目さが受け入れられるかが気になるところ。
[こんな人におすすめ] 正攻法で勝負。この新モデルで起死回生なるか
R1200CやK1600Bなど北米市場を強く意識したモデルを投入し続けてきたBMW。起死回生を図って発売したのがこのR18トランスコンチネンタルであり、クラシカルな外観に最新の電子制御デバイスをフル装備する手法はまさに正攻法だ。期待しかない。
[参考] R18B:30kg軽いバガーは軽快な走りが魅力
R18トランスコンチネンタルに対し、レッグシールドなど外装の一部を省略してバガーらしいクールなスタイルとしたのが「R18B」だ。トップケースがない分だけ高重心感が少なく、また車重が30kgも軽いのでハンドリングは軽快。ただし、ショートスクリーンによって風や雨がダイレクトにヘルメットに当たるので、その分だけ快適性は減じられる。
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