軽量車体に68psの快活パワー! 新型カワサキZ650RSディテール解説〈エンジン&シャーシ編〉

新型カワサキZ650RSディテール解説〈エンジン&シャーシ編〉

●文:ヤングマシン編集部(宮田健一/沼尾宏明/編集部)

ベースモデルZ650のメリットを最大限に活かしている

新型カワサキZ650RSに搭載される649cc/水冷DOHC4バルブのパラツインエンジンは、まさに毎日付き合っていくには決定版といったフレンドリーさが魅力だ。そのセッティングは、3000rpm以下ではスムーズなパワー供給と太いトルクで発進加速や低速コントロールを容易に。日常でもっとも使うことになる3000〜6000rpmでパフォーマンスとフィーリングを最大限に発揮。そして6000rpm以上となっても、急激にパワーやトルクが落ち込むことなく気持ちいいライディング体験が続けられるように設計されたというもの。180度クランクを採用しており、同じ並列2気筒でも270度クランクのエンジンとは異なる、シャープで快活な吹け上がりを持っているのも特徴だ。

シャーシもまた軽量さとコントロール性に優れるベースモデルの良さを最大限に活かしながら、シートレールとホイールを変更することでRSならではのフォルムを実現。ベースモデルで15kgだったメインフレームは、13.5kgに仕上がっている。

こうして「姿はクラシック、だけど走りは最新、そして扱いやすさもピカイチ」という快速ネイキッドが見事に誕生。ミドルクラスの代表車を狙う。

【下は鼓動感、上は伸びやかなエンジン】6000rpmまでの低中速域では、鼓動感あふれる出力とトルクカーブでコントローラブルな出力特性を発揮。それを超えても突然低下することなく伸びていく。

【どこからでもついてくる出力特性】どこからでもついてくる出力特性はベース車譲り。扱いやすさではZ900RSを超えており、毎日乗る気にさせる気軽さが魅力だ。※画像は’17 Z650

マフラーはミッドシップのままとした】ベースのZ650と同じくミッドシップマフラーを採用し、スリムな外観とマスの集中化による軽快ハンドリングに貢献。ユーロ5にも対応だ。

【スリッパークラッチも標準】レバー操作力と制動時のバックトルクを低減するアシストスリッパークラッチも完備。ストップ&ゴーの多い市街地走行もラクラクだ。※画像は’17 Z650

【街中での快適性も考慮】車体左側面にはラジエーターファンのカバーを装着。渋滞時などにエンジンの熱気をライダーから遠ざけ、周辺部品の温度を低く保つ。

【ベースフレームはわずか15kg】写真左がRS、右がベース車のZ650。メインフレームはZ650の鋼管トレリスフレームをベースに開発された。RSのフォルムに合わせてシートレール形状を変更するとともに、Z650では15kgだったフレーム重量を13.5kgまで軽量化している。φ41mm正立フォークや単体重量4.8kgと軽量な湾曲スイングアームといった足まわりもベース車譲りだ。

【ハンドリングは最新】キャスター角24度/トレール100mmの設定はZ650から継承。最新解析で生まれたその軽快なハンドリングはZ650RSにもそのまま受け継がれており、走りの面では現代的デザインのライバルにも負けないはず。

【ホイールは変えてくれた!】ホイールは、RSらしくワイヤースポークを彷彿とさせる専用パーツが採用されている。ゴールド塗装はキャンディグリーンに採用され、残り2台はブラック。フロントにはφ300mmディスクと2ポットキャリパーをダブルで装着する。

【160ぐらいが軽快でマル】Z900RSのリヤタイヤは180/55ZR17だが、650ではひとまわりスリムな160/60ZR17を採用。軽快さを活かすためには、このくらいのサイズがベスト。タイヤにはダンロップのロードスポーツ2が採用されている。

〈参考〉ベース車両Z650インプレ by 丸山浩「ツインらしい鼓動感が実に心地良い」

Z650のエンジンは180度位相クランクを採用する649cc水冷パラツインで、最高出力は68ps。車重は189kgだ。シート高は790mmで乗車1Gでのサスの沈み込みが大きく、足着き性は圧倒的にいい。加えてクラッチレバーの操作力も軽く、走り始める前からハードルの低さに安心させられる。エンジンは、2000~3000rpm付近からスロットルをゆっくり開けた時の、ダダダダッというツインらしい鼓動感が実に心地良い。これを味わいたいがためにペースを落としたくなるほどで、優しいエンジンフィールだ。でも、大きく開ければ400ccクラスよりも断然速く、大型免許を取得したばかりのライダーをガッカリさせることはない。そのサジ加減が絶妙だ。ハンドリングは積極的に動くサスによって乗り心地がよく、ツーリング向きと言える。


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