’21モトGP開幕:’20シーズン振り返り

モトGP2020プレイバック【ドゥカティ/KTM/アプリリアのマシンを振り返る】

ドゥカティ〈デスモセディチGP20〉経験豊富なドヴィツィオーゾでも、旋回性を高めるには至らず

  • #04 A.ドヴィツィオーゾ(4位)
  • #43 J.ミラー(7位)
  • #9 D.ペトルッチ(12位)
  • #5 J.ザルコ(13位)
  • #63 F.バニャイヤ(16位)
  • #53 T.ラバト(22位)

’20シーズンは3チームを擁し、かろうじて’07年以来となるコンストラクターズタイトルを獲得したドゥカティ。アンドレア・ドヴィツィオーゾが1勝を挙げたものの、表彰台は2回のみでランキングは4位。ジャック・ミラーは4度表彰台に立ったが未勝利で、ランキング7位に終わった。

かねてよりドヴィツィオーゾはデスモセディチの旋回性に難があることを指摘していたが、GP20でも解消されなかった様子。エッジグリップが向上したとされるミシュランの新型リヤタイヤに対応できず、不調の谷から抜け出せなかった。

’21シーズンは経験豊富なドヴィツィオーゾが離脱し、ファクトリーチームは26歳のジャック・ミラーと24歳のフランチェスコ・バニャイアで戦う。いずれも勢いのあるライダーだが、開発能力という点では若干の不安が残る。

本来は新機軸の採用に積極的なメーカーだが、レギュレーションの制約が厳しいことも災いしている。

ドゥカティ デスモセディチGP20

KTM〈RC16〉ペドロサ&レッドブルパワーでポテンシャルアップを果たした

  • #44 P.エスパルガロ(5位)
  • #88 M.オリベイラ(9位)
  • #33 B.ビンダー(11位)
  • #27 I.レクオナ(20位)

アルミツインスパーフレームが一般的なモトGPにあって、スチールパイプのトレリスフレームを使い続けるこだわりのメーカー。過去の技術的資産を生かし、量産車との連携も深められることが狙いだが、剛性面ではかなりの不利を抱えているものと見られていた。

’20シーズンは第4戦チェコGPでファクトリーチームのブラッド・ビンダーがいきなり初勝利を挙げると、第6戦スティリアGPと第15戦ポルトガルGPでサテライトチームのミゲール・オリベイラが2勝をマーク。想像以上に高いポテンシャルを見せつけた。

開発能力に定評があったダニ・ペドロサを開発ライダーとして招き入れたことで、マシンの仕上がりがひときわ向上し、好調につながったと見られる。

タイトルスポンサーであるレッドブルとは密接な関係にあり、資金もかなり潤沢と噂されているKTM。日本メーカーもうかうかしていられない勢いがある。

KTM RC16

アプリリア〈RS-GP〉徐々にまとまりのよさを見せるもエンジンパワー不足が深刻

  • #41 A.エスパルガロ(17位)
  • #38 B.スミス(21位)

’15年の最高峰クラス復帰以来、表彰台に立てていないアプリリア。’20年型のRS-GPはエンジンと車体を刷新した。

エンジンは’19年途中からV字バンクを72度→92度へと変更。これにより「複数の点火時期を選べるようになり、マフラーの選択肢も増えた」とテクニカルディレクターのロマーノ・アルベシアーノはコメント。エンジンそのもののパフォーマンスアップというより、パッケージング全体を見直す中でのVバンク角変更だったようだ。

かなり大型のウイングレットを装着するなど、車体の開発にも積極的に取り組んだRS-GPだが、エースライダーのアレイシ・エスパルガロが望むほど大幅な進歩は得られなかった。

徐々にバランスを整えて終盤の2戦ではシングルフィニッシュを果たしたものの、改善点は山積み。トップチームと接戦を見せる場面もあったが、深刻なパワー不足を解消する必要がある。


※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

最新の記事