200ps級・異形のネイキッドに昂る!!

ドゥカティ ストリートファイターV4S公道試乗インプレ【カワサキZ H2と比較|前編】

バーハンドルを装着したスポーツネイキッドの世界は、ドゥカティ ストリートファイターV4/Sの新登場でさらに過激化! いやぁマジでスゴい時代がやってきた…。ヤングマシンのテスター・丸山浩がこのカウルレス208psを、同じく200ps級スポーツネイキッド・カワサキZ H2と比較しながら徹底分析。前編はまずスペック比較から。

ドゥカティ ストリートファイターV4S公道試乗インプレ【カワサキZ H2と比較】
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【テスター:丸山浩】’90年代にはテイスト・オブ・フリーランス(現在のテイスト・オブ・ツクバ)の最高峰クラスにCB1000SF改で参戦して多数の優勝を飾り、”最強のネイキッド使い”としても有名に。ヤングマシンのメインテスターだ。

ドゥカティ ストリートファイター V4S

スーパースポーツのドゥカティ パニガーレV4をカウルレス&バーハンドル化したモデル。’20年のニューモデルで、日本では8月より販売が開始された。

【’20 DUCATI SREETFIGHTER V4S】主要諸元 ■軸距1488 シート高845(各mm) 車重199kg(装備) ■水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ 1103cc 208hp/12750rpm 12.55kg-m/11500rpm 変速機6段 燃料タンク容量16L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=200/60ZR17●価格:279万9000円

6軸IMUを装備。トラクションコントロールやコーナリングABS、スライド、ウイリーやエンジンブレーキ等の電子制御機構を搭載する。

左右2眼式のLEDプロジェクターヘッドライトに、V字状デイタイムランニングライトの組み合わせ。テールデザインはパニガーレV4から踏襲される。

STDがショーワ製BPFを採用するのに対して、上級版のV4Sはセミアクティブタイプのオーリンズ製NIX30フォークを装備。

V4Sはリヤサスも電子制御式。ショックユニットは、スタンダード仕様のザックス製からオーリンズ製のTTX36タイプに換装されている。

パニガーレV4と同じく、明るくて高解像度な最新世代のフルカラー液晶ディスプレイを採用。ロードとトラックの表示モードがあり、GPSラップタイマーなどのオプションにも対応する。

燃料タンクはパニガーレV4と共通で16L容量(パッドはオプション)。V4Sはステアリングダンパーもオーリンズ製の電子制御式だ。

試乗車のシートは、オプションのローシート(3万3759円)に換装されており、モノポストテールエンドセット(5万7288円)を装備。

【テスト車はオプション装着】試乗車は、公道走行対応のアクラポヴィッチ製チタンサイレンサーキット(87万6513円)や、カーボンファイバー製のカバーや各種プロテクション、前後マッドガードなど、合計118万9232円分のオプションパーツが装着された状態(2/3以上はマフラーの価格だが…)。車体は軽量化され、外観はさらに上質な雰囲気だ。

カワサキ Z H2

現行Zシリーズのフラッグシップとして、日本では’20年4月に販売開始。バランス型のスーパーチャージドエンジンは、スポーツツアラーのニンジャH2 SX用がベース。200psの最高出力をキープしながら、吸排気系や電子制御スロットルなどの変更で、低中速域でより操縦しやすい特性としている。一方で鋼管トレリスフレームやアルミ製スイングアームは、安定性と軽快感の両立を図りながら専用設計されている。6軸IMUを搭載し、ライディングモードは3タイプ。前後サスはショーワ製(フロントはSFF-BP)で、フロントブレーキはブレンボ製のM4.32モノブロックキャリパーだ。

【’20 KAWASAKI A H2】主要諸元 ■全長2085 全幅810 全高1130 軸距1455 シート高830(各mm) 車重240kg(装備) ■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 998cc 200ps/11000rpm 14.0kg-m/8500rpm 変速機6段 燃料タンク容量19L ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/55ZR17 ●価格:189万2000円

仕様比較

ライディングポジション

【ストリートファイターV4R】シートはパニガーレより10mm高く、ローシート装着時でも両足つま先がかろうじて接地する程度。ステップ位置は、パニガーレほど後ろではない。ハンドルはシートに対して遠く、肩幅よりやや広め。フロント荷重を掛けやすい。〈身長168cm/体重61kg〉

【Z H2】真下に足を下せる感覚で、両足の母指球までが接地する。ニーグリップ時に、メインフレームが膝の内側に当たるのが少し気になる。正統派のネイキッドポジションに近く、ハンドルはやや絞られてシートからの距離は遠くない。

電子制御システム:両車ともに充実。楽しさを生むカギに

2台ともに6軸IMU(慣性計測装置)を搭載し、この情報を活用した電子制御システムは極めて充実。走りにもたらす恩恵はとても大きい。

ストリートファイターV4Sのクイックシフターは、サクサクと気持ち良く決まり、エンジン音を含めてかなり快感だ。

ライディングモードはZ H2も3種類で、こちらにはレインモードもある。出力が約50%に抑えられるだけでなく、バンク時のトラクションコントロール介入もかなり早めで、雨でも安心して乗れる。

ストリートファイターV4Sにレインモードは存在しないが、じつは任意調整により最高出力を115psに落とせる裏技がある。過激な208psから、全体的にマイルドな出力特性となり、600㏄クラスのような扱いやすさ。ウェット走行用としてだけでなく、208psの操作に自信がないライダーが慣れるまで使うモードとしても機能しそうだ。ただし、低中回転域を使用しているぶんには、208ps仕様のまま市街地を走らせても、なんら乗りにくさは感じない。

次ページでは、テスター・丸山浩が高速道路&ワインディングの公道環境でストリートファイターV4RとZ H2を乗り比べる。200ps級スポーツネイキッドマシン同士の違いはいかに?


●文:田宮徹 ●撮影:長谷川徹 ●取材協力:ドゥカティジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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