バイクカスタムの真髄として確かな存在意義を持つ「合法マフラー」。その普及に取り組むマフラーメーカー8社が開発・販売している自信作を紹介。マフラーメーカーのパイオニア・ヨシムラは、常に先を見続けながらスピーディな製品開発を展開している。
●文:編集部 ●写真:富樫秀明 ●車両協力:ヨシムラジャパン、バイク館SOX 川口店 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
アジア拠点を活用して車両とほぼ同時にリリース
ヨシムラにとっては、レース用を除けばマフラーの法規対応は当然のことで、製品名にも「政府認証」の文字が入る。その上で性能や上質な音、部品や溶接の品質といった要件を高レベルで満たすのが同社製マフラーの特徴だ。
とはいえ、開発に妥協を許さないだけに、同社のマフラーは少しばかり発売に時間がかかるのも事実。ファンからすれば、欲しくても買えない時間は何とももどかしいに違いない。
それを覆すのがヨシムラの最新作、ADV150用のマフラーだ。車両は2月14日に国内発売されたばかりだが、早くも2種類のマフラーが開発を終え、受注もスタートしているのだ(現状はインドネシア仕様への対応だが、日本仕様もすぐに対応予定)。
このスピード開発を可能としたのは、タイの拠点「ヨシムラアジア」の存在だ。主に小排気量用マフラーを生産する同工場だが、昨年秋にADV150を入手(東南アジアでは先行発売)し、日本と連携して開発を進めていたのだという。アジア向けの車両が増加する昨今、現地の拠点を活用することでスピーディな製品展開に繋げているのだ。
ヨシムラにはこのタイ工場を日本に次ぐアジアの開発拠点に育てるという構想も持っており、日本人スタッフも常駐させて”ヨシムライズム”の伝承に挑んでいる。今回のADV用マフラーもその一環で、日本との共同開発でいち早く新製品をユーザーに届けるという新たなチャレンジでもある。
【アジアと連携してスピード開発】3年ほど前に本格稼働したヨシムラアジア。工作機械はもともと日本のヨシムラで使っていたものをそのまま使うこれは生産条件を揃えることで、日本と同品質の製品を作る工夫のひとつ。
話を製品に戻すと、エキゾーストパイプ径を拡大しつつ部分的に内径を絞る(=管長を伸ばすのと同等の効果がある)などで、全域でSTDを上回るパワーを獲得。さらにサイレンサーの張り出しをできるだけ抑えてルックスにも配慮し、STDと同感覚で着脱できるよう整備性にも考慮。超スピードリリースを実現しつつ、その作り込みに妥協はまったく感じられない。
インプレッション:内燃機関らしさが際立つ!
STDが「バボーッ」と一般的なスクーターの排気音なのに対し、サイクロンを装着したADV150は4スト単気筒らしいドゥルルルッというエンジンの燃焼感がハッキリ伝わってくる。黒子だったエンジンが、バイクの最重要部品としての存在感を主張してくるようで、加速と減速にメリハリが生まれ、後輪のトラクション感もより濃厚。それでいて市街地や渋滞路での扱いやすさもSTDに劣らない。音質は重厚なR-77Sに対し、GPマグナムは歯切れがよく快活。データ上は前者の出力がやや有利とのことだが、実走で明確な差異は感じられなかった。(中村友彦)
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