
ハーレーダビッドソンのプレミアム復刻シリーズ「Icons Motorcycle Collection(アイコンコレクション)」から、ELECTRA GLIDE HIGHWAY KING(エレクトラグライド ハイウェイキング)が新登場。1968年のFLHエレクトラグライドからインスパイアされ、1960年代のセンスやノスタルジー、そして現代のグランドアメリカンツーリングの快適性とテクノロジーを融合させた。そのライドフィールはいかに…!? 高速道路を使って、長い距離を走ってみた。
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:長谷川徹 ●外部リンク: ハーレーダビッドソンジャパン
1968年式FLHをオマージュしたエレクトラグライドハイウェイキング
見るからにゴージャスであり、威風堂々とした佇まい。高速道路を流せば「キング オブ ハイウェイ」と異名を持った。
時代はインターステートハイウェイ(州間自動車道)の整備が一気に進んだ1960年代。
1956年にアイゼンハワー大統領が成立させた連邦補助高速道路法によって、建設規格を全国的に統一した高速道路網が全米に広がった。
大陸横断を前提に開発され、高速クルージングを悠然とこなしたのが、FLHエレクトラグライドだ。1965年にエンジンの始動をボタンひとつで行えるセルスターターを装備し、翌1966年にはパンヘッドだった心臓部をOHV第3世代に当たるショベルヘッドに刷新している。
どれほどに羨望の眼差しが向けられたことだろう。模型や玩具にもなり、1968年公開のフランス映画『あの胸にもういちど』では、主演のマリアンヌ・フェイスフルが銀幕の中で活き活きと乗った。
ウィズハーレー編集部保管、1968年のカタログ。カラーリングやタンクバッジが忠実に再現されていることがわかるだろう。当時、74OHVモデルの最上級がフットシフトのFLHFBで、ハンドシフトのFLHBも選べた。価格は同じで1800ドルだった。
そして今、日本の大動脈である新東名高速道路を120km/hで巡航しているのが、1968年式FLHをオマージュした「エレクトラグライドハイウェイキング」だ。プレミアム復刻シリーズ「アイコンコレクション」として世界限定1750台で発売された。カラーは写真のハイファイオレンジ(1000台)と、ハイファイマゼンタ(750台)の2色が設定され、日本に上陸するのはそれぞれ114台のみ。生まれながらにして、極めて希少価値の高いプレミアムモデルである。
手の込んだペイントは誰の目にもすぐ留まり、サービスエリアのパーキングスペースに駐めれば、観光バスからおりてきた団体旅行のおじさまだったり休憩中のサラリーマンらから「いいですねぇ」と、しみじみと話しかけられる。
たとえオートバイに興味がなくとも、とびきり贅沢なラグジュアリー仕様であることが、ひと目でわかるのだろう。
「ハーレーダビッドソンです」と答えると「やっぱりねぇ」と相手は納得して、どこか嬉しそうに頷く。なかにはスマートフォンで写真を撮る人もいる。
休憩していると、隅々まで見たくなる。クロームのスチールレースホイールにホワイトウォールタイヤが組み込まれ、さらにディープフェンダーがノスタルジックな雰囲気を強調している。ヘッドライトの両側には現代のオートバイではもう見なくなった補助灯が並び、トリプルライトのフロントマスクとなっている。随所に施されたクロームの光沢がなんとも上質で、真っ青な空がそこに映り、覗きんでいる自分の顔は魚眼レンズで撮った写真のように歪んでいるから面白い。
タンクコンソールにあるノブを回し、イグニションが入るのを確かめてからスタートボタンを押す。半世紀以上前、セルスターターが搭載された際は、さぞかしハイテクであったのだろう。誇示するため車名にまでし、まさか50年以上が経ってもモデル名として残るとは、当時の名付け親が知ったらさぞかし驚くだろう。
合流車線から本線へ再び戻っていく。ミルウォーキーエイト114は滑らかに回りつつ、歯切れのよい鼓動をしっかりと携えている。早めにシフトアップし、低い回転域でゆったりと回るロングストロークエンジンの味わいを堪能しよう。
片側3車線、もっとも左の車線をトレーラーの後ろについて走ると、トップ6速80km/hでわずか1900rpm、真ん中の車線に出て2300rpm=100km/h、そして制限速度120km/hも2900rpmでしかなく、まだ余裕たっぷりだ。
まさに現代版・ハイウェイキング。しかし、なぜ1968モデルがオマージュの対象に選ばれた? それはハーレーダビッドソンの第1章終焉を意味する。翌年からはAMFの傘下へ。1968年は特別な年で、ハーレーダビッドソンにとって大きな意味を持つのだ!
コンソールインサートに、Icons Motorcycle Collectionの専用グラフィックとシリアルバッジをレーザーエッチング。取り外しができるウインドシールドは、ペイントカラーと同色のティンテッドロアを採用する。電子制御によるライダーセーフティ機構を標準装備するほか、ツインショックのリヤサスペンションを持つのは、グランドアメリカンツーリングの基本車体構成として他のモデルと変わらないが、シート下にスプリングを備え、路面からの振動に対する緩衝装置として機能する。大きな段差を乗り越えると、サドルとともに身体が上下動し、乗り心地もノスタルジックだ。
バディシートを再現したソロサドルは、790mmと比較的高めのシート高だが、乗車するとスプリングで沈み込み、身長175cmのライダーなら両足を地面に下ろしてもカカトまで着地できる。片足立ちなら着座位置がわずかにズレて、足つき性に不安はない。
動画解説はコチラ
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』のお買い求めはこちら↓
ウィズハーレーの最新記事
フリーマーケットやフードコンテンツも楽しめる名物イベント 群馬県を代表するSUBARUの工場脇の公園には、バイクとテントで埋め尽くされている。初めてこのイベントを訪れた人は、その規模感に驚くのでないだ[…]
ロードグライド131RRか? いいや違う、 さらに上回る143だ クラッチミートするや否や、極低回転域から図太いトルクでロードグライドの巨体が力強く押し出される。クイックシフターのアシストもあり、ス[…]
アイポートの広いフルフェイス:BULLITT CRF 1970年代のBELL STAR(ベル・スター)ヘルメットを彷彿とさせるクラシカルなデザインで、どんなバイクにもマッチするだろうスリムなシルエット[…]
ハーレー乗りじゃなくても大歓迎! ブルースカイミーティングは、ハーレーオーナーのみならず、ライダー/ノンライダーに関わらずどなたでも大歓迎のカルチャーイベント。 北陸初の開催となる今回は、景勝地の東尋[…]
「ハーレーダビッドソン東大阪」と「AELLA」が共同開発 ブラックに塗装されたメガホン形状のサイレンサーは、ハーレーダビッドソン東大阪と京都のカスタムパーツメーカー「AELLA(アエラ」)が共同で開発[…]
最新の関連記事(新型バイク(外国車/輸入車))
アルプスと砂漠、過酷なフィールドをテーマにした2つの個性 タイガーファミリーは、トライアンフのアドベンチャー性能を純粋に表現するモデルだ。俊敏なミドルクラスの900から威風堂々としたリッター超クラスの[…]
アプリリアの伝統を受け継ぐ、全ルート走破型スクーター SR GT 400は、ミドルクラスながらマルチパーパスを意識したアドベンチャースクーターだ。街中での俊敏なレスポンスはもちろん、林道ツーリングでも[…]
QJ LOVER Kayo が感じた ”リアルなQJ MOTORの魅力” を 毎月ここから発信していきます。 —— Let’s MOTOR Talk ! —— モデル・通訳として活動している時任カヨが[…]
革新メカERC装備の本格アドベンチャー EICMA2024、そして今春の東京モーターサイクルショーでも展示された「Concept F450GS」が、EICMA2025で正式モデル「F450GS」として[…]
気鋭のクルーザー専業ブランドによるカスタムクルーザー 以前に試乗記事などをお届けしたBENDA(ベンダ)がいよいよ本格上陸する。日本での輸入販売を手掛けるウイングフットより取り扱い開始が発表されたのだ[…]
最新の関連記事(新型クルーザー)
共通の仕様変更はわずかだがその効果は想像以上だった 2017年4月に発売され、翌2018年から軽二輪クラスのベストセラー街道をばく進中なのが、ホンダのレブル250だ。今年は一部の仕様変更とともに、待望[…]
QJ LOVER Kayo が感じた ”リアルなQJ MOTORの魅力” を 毎月ここから発信していきます。 —— Let’s MOTOR Talk ! —— モデル・通訳として活動している時任カヨが[…]
気鋭のクルーザー専業ブランドによるカスタムクルーザー 以前に試乗記事などをお届けしたBENDA(ベンダ)がいよいよ本格上陸する。日本での輸入販売を手掛けるウイングフットより取り扱い開始が発表されたのだ[…]
北米レブル300にEクラッチ仕様が登場 ホンダEクラッチが世界戦略進行中だ。欧州で人気のグローバル車・CBR650R/CB650Rを皮切りに、日本では軽二輪クラスのベストセラーであるレブル250に搭載[…]
スクランブラースタイルのCL500はカスタマイズも楽しい トラディショナルなスクランブラースタイルの大型バイクとして、2023年に登場したHonda「CL500」とはどんなバイクなのでしょうか? 筆者[…]
人気記事ランキング(全体)
距離もブランドも関係なし!50人同時通話を実現 EVA Rモデルは、EVANGELION RACINGをモチーフとした特別デザイン(初号機A/B、2号機A/Bの全4モデル)をまとい、ナイトランでも存在[…]
最新の安心感と46worksテイストを両立した「究極のコンプリートモデル」 この『#02』は、2024年に限定販売された初代モデルに続くコンプリートカスタムモデル。今まで46worksが得意としてきた[…]
未塗装樹脂の白ボケ原因とツヤを復活させる方法 黒かったものが白っぽくなってくると古臭く見えてしまいます。…いいえ、「白髪」ではなくて「黒樹脂(未塗装樹脂)パーツ」のオハナシです。 新車の頃は真っ黒だっ[…]
APトライク250って高速道路で通用するの? チョイ乗り系トライクとして知られるAPトライク125は、125ccという排気量ながら「側車付き軽二輪」という区分のおかげで高速道路を走れます。しかしながら[…]
防寒着に求められる3要素を網羅 真冬のバイク乗りにとって、防寒は死活問題だ。アウターで風を遮断しても、その内側、つまりミドルレイヤーやインナーの選択次第で、ツーリングの快適度は天と地ほど変わってしまう[…]
最新の投稿記事(全体)
スズキCNチャレンジのファクトリーマシンと同じウイングを装着(一部地域でオプション設定) スズキは今回、初代GSX-R750から40周年にあたる今年、「GSX-R1000」「GSX-R1000R」の復[…]
鮮やかなブルーでスポーティな外観に グローバルサイトでの2026年モデル発表、北米での正式発表に続き、英国でもスズキ「ハヤブサ」の2026年モデルが正式発表された。2026年モデルとしてレギュラーカラ[…]
背中をしっかり支える高反発スポンジを採用 本製品のバックレストパッドは、高密度かつ高反発のスポンジ素材が採用されている。柔らかすぎず、長時間寄りかかっていても型崩れしにくいため、腰や背中をしっかり支え[…]
ロング形状&凸面鏡で後方視界がしっかり確保できる KEMIMOTOのバーエンドミラーは、ロングアーム形状と広角な凸面鏡により、バーエンドミラーとしては後方の視認性が高い。ハンドルグリップの外側からしっ[…]
最新の安心感と46worksテイストを両立した「究極のコンプリートモデル」 この『#02』は、2024年に限定販売された初代モデルに続くコンプリートカスタムモデル。今まで46worksが得意としてきた[…]
- 1
- 2


























































