
「日本でアメ車が売れないのは車検制度がネックだ! 」などとトランプ大統領が吠えまくっていますが、いっそのこと大統領パワーで車検制度そのものを崩してもらえないでしょうかね(笑)。なんとなれば、改造車天国のアメリカのように“日本のクルマ好き“がもっと活発になるというもの(?! )。たとえば、今回ご紹介するようなホンダN600のように小粋なクルマだって増えるはず。こんなクルマが走っていたら、思わず写メを撮りたくなるのは決して筆者だけではないはずです。
●文:ヤングマシン編集部(石橋 寛) ●写真:RM Sotheby’s
N360の輸出用モデルが「N600」
そもそも、ホンダN600は国内で大ヒットとなったN360の輸出用モデル。当時、安価なわりに痛快なパフォーマンスでエヌッコロ、Nコロなどとニックネームを付けられ、若者から絶大な支持を受けたもの。
1966年の東京モーターショーで発表され、翌1967年より販売が開始されると、ライバルよりもかなり安い31万3000円(埼玉製作所狭山完成車工場渡し)という価格で、飛ぶように売れたとのこと。
空冷2気筒エンジンは当時としては破格の31ps/3.0kgf-mというパワーを叩き出し、最高速115km/hはとても軽自動車の枠に収まるものではありませんでした。
ちなみに、筆者は知人からポンコツながらも譲り受け、エンジンをビリビリと震わせながら走らせたものの、下り坂コーナーの入口で見事な前転をきめた経験があります(笑)。フロント、というかオーバーハングヘビーな設計らしいキャラクターだと、今では頬の緩む(? )思い出です。
そんなN360が輸出されたのは1968年のこと。ちなみに、600といってもオープン2シーターのS600は4気筒DOHCであり、こちらは2気筒SOHCのまま。それでも、43ps/5.2kgf-mまでパワーは向上し、最高速は130km/hとカタログに記載されています。
今回ご紹介するのはN360の輸出版、N600で、しかも魔改造された「カスタムバージョン」。チョップトップされていてもN600だとわかってしまうところが作者の腕前、センスを感じさせてくれます。
欧米人にとって驚異だろう”マイクロミニ”をさらに短く
ところで、全長3100mmというと現代の軽自動車規格より300mmも短く、それでいて4人乗りを実現していたN600、欧米人にとっては驚きのマイクロミニだったに違いありません。
それを、あろうことか前後を縮めて2人乗りのオープンカーに改造したというのが、こちらの魔改造エヌッコロ(笑)。
製作者については詳らかにされていませんが、ちょうどリヤシートにあたるパートをカット、10インチ(約24センチ)ほど前後長が短くなっている模様。
ルーフも”お正月のやんちゃマシン”同様に大胆なカットで、四隅のピラーは影も形もありません(笑)。それでいて、トランクルームはしっかり残すという使い勝手をおろそかにしていないのが憎いところ。
野暮ったいスタイルながら、まとまり感のあるソフトトップ。大人が乗っても十分なヘッドスペースが確保されています。
スペースの都合でしょうか、ノーマルシートは外されてベンチシート化されています。イエローのストライプを加えたところもセンス良さげ。
バランスよく仕上げたセンスとテクニックにも脱帽
また、ドアを省いてサイドシルを切り欠く手法はサンドバギーやビーチカーでお馴染みの手法。シート高にもよりますが、ちょっとしたスピードでもジェットコースター並みのスリルが味わえること間違いなさそうです。
さらに、フロントウインドウもきれいさっぱり省かれて、アクリル板が簡単にネジ留めされているだけ。スカットルからほぼ垂直に立ち上がっており、はたしてこれで130km/hの風圧に耐えられるのか大いに心配です。
一方で、ソフトトップの出来栄えはさほど悪くは見えません。アマチュアらしい骨組みではありますが、しっかりヘッドスペースを確保しているだけでなく、マイクロミニなスタイルにマッチしているところは敢闘賞を差し上げたいほど。
マイクロミニオープンを思いついたこともリスペクトですが、ここまでバランスよく仕上げたセンスとテクニックにもまた脱帽でしょう。
リヤエンドも辛うじてノーマルスタイルを維持。それにしても、スクリーンの垂直具合には驚くよりも笑いが出てしまいます。
トランクスペースはシート下を使うことでそれなりの容量を実現。ふたりで海辺にドライブぐらいなら、十分こなせそう。
この冗談みたいなN600が堂々と公道を走れるアメリカ
そして、アラスカ州のナンバーが付いている通り、アメリカではこの冗談みたいなN600が堂々と公道を走れるのです。
エンジンはもちろん、ライトや補機類までしっかり稼働するとオーナーが豪語。
不思議なことは、ここまでハチャメチャにカスタムされていてもフロントフェイスを見るまでもなく「もしかしてN600…なのか?! 」みたいな見当がついてしまうところかと。
オークションでの落札価格は2420ドル(約36万円)と安いのか高いのか判断しにくいものですが、こんなカスタムカーが手に入るどころか、一般道で走れるアメリカのことが羨ましくてなりません。
全体の1/2はエンジンルームというのが分かるかと。あたかも遊園地のゴーカートですが、公道走行可能というのが驚きです。
空冷2気筒エンジンを横置き、このオーバーハングのおかげで前転、転びやすいからエヌッコロの名を頂戴したのでしょうか?!
やってることは大胆、かつ冗談じみていますが、細部の仕事はわりときちんとしています。開口部の処理など、このとおりの丁寧さです。
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