
●文:ライドハイ編集部(根本健) ●イラスト:藤原らんか
ひとつのカム/ふたつのカム
カタログや試乗記事の最後に掲載されているスペック(仕様)で、エンジン形式の最初に「DOHC」とか「OHC」と表記されているのはご存じのはず。 このDOHCは「ダブルオーバーヘッドカムシャフト」の略で、カムシャフトが2本あって、通常は1本のOHC(もしくはシングルの1本を表すSOHCと表記されることもある)より高度な、高回転高出力エンジンの仕様であるとアピールしている。
現代のエンジンはOHC(SOHC)が基本の仕様。燃焼室の上に1本のカムシャフトが配置され、このシャフトに偏心カムで盛り上がった部分があり、そこをロッカーアームが表面をなぞって、吸気と排気のバルブをそれぞれ押し開けたり閉じたりを繰り返している。
ロイヤルエンフィールド650ツインの分解スケルトンで、気筒あたり吸気2本+排気2本の4バルブと、クランク回転から1/2に減速されたタイミングチェーンでカムシャフトが駆動されている仕組みがイメージできると思う。
クランク2回転=ピストン2往復で吸気/圧縮/燃焼/排気の1行程となる、そもそもの仕組みもおわかりだろう。
ふたつの膨らみが高回転高性能のシンボル
この4ストロークエンジンを高出力化するには、高回転つまり燃焼の回数を増やせば良いことから、レーシングエンジンはピストンなど往復運動するパーツを小型化して慣性抵抗を減らす多気筒にする歴史を刻んできた。
そうなると、高回転で往復するバルブをカムで直に押したほうが追従しやすいので、吸気バルブ用と排気バルブ用にそれぞれカムシャフトがある仕様が開発されたのだ……
※本記事は2022年6月14日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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