[バイク雑学] 鋳造も鍛造もまとめて“キャストホイール”と呼ぶのは、じつは正しくなかった件


●文:ライドハイ編集部(伊藤康司)

鍛造ホイールは“キャストホイール”ではない

バイク用のホイールは、大別すればスポークホイールとキャストホイールの2種類、と思っている方が多いのではないだろうか。カスタム好きな方なら「他にもカーボンホイールがあるよ」というかもしれないが、おおむね正解…でもなかったりする。

問題なのはキャストホイール。キャスト=Castingとは“鋳造”のことで、溶かした金属を型に流し込んでつくる製造方法を指している。バイクの鋳造ホイールについては、1970年代中頃にカスタムパーツとして登場し、後半にメーカー純正採用が始まり、レースに使われるようになったのは1980年代中頃からだ。そして現在は多くのロードスポーツモデルがキャストホイールを履いている。

ところが、1990年代頃から“鍛造”製法によるバイク用ホイールが開発されるようになった。

見た目からは分かりにくいが、鍛造ホイールは鋳造ではないから、キャストホイールではないのである。

総じてキャストホイールと呼んでしまいがちだが、製造方法で呼び名は変わる

鍛造とは、熱した金属を叩いて圧力を加えながら成型する製造方法。イメージで言えば刀鍛冶の作業だ(実際は成型金型に何千トンものプレスで圧力をかけて製造する)。叩くことで、金属結晶を微細化しつつ方向が整って強度が高くなるため、鋳造ホイールより軽量化や高剛性化が望める。

とはいえ、鋳造より製造コストがかかるので、現状ではレース用やカスタムを除けば、限定モデル等のプレミアムなバイクのみに装備される高性能ホイールという位置づけだ。

その鍛造製法は英語で「FORGED」と呼ぶ。ということは、鍛造ホイールは“フォージドホイール”となる。だから、冒頭メインカットにあるカワサキ ニンジャZX-10RRのホイールをキャストホイールと呼んだら間違いなのだ……

※本記事は2021年11月8日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。