
絶版車販売店であるモトジョイに対しては、レーサー製作やオリジナルパーツ製造で歴史と伝統のあるオーヴァーブランドを母体としているがゆえに、若干のハードルの高さを感じている絶版車ファンは少なくないかもしれない。だが車両販売/メンテナンス/レストア/カスタムなどあらゆるジャンルで“絶版車の楽しさ”を提供するため、幅広くユーザーを受け入れているのがモトジョイの大きな特長である。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:モトジョイ
レストア/整備/カスタム/販売など絶版車に関するすべての分野でサービスを提供
古いバイクを海外から輸入して販売する場合、車両によって程度の違いはあれ必ず整備が付随する。
元々のコンディション次第ではレストアが必要なこともあるだろう。あるいは最初からレストアを前提とした車両製作もある。ひと言で“絶版車専門店”といっても、実際にはショップごとに得意とするジャンルがあり、ユーザーは自分の目的に適したショップ選びを行うことになる。
そうしたジャンルやカテゴリーに縛られず、しかし深い専門性を持ち、さらにユーザーフレンドリーな敷居の低さを併せ持つのがモトジョイだ。バイク好きやカスタム好きにとっては、オーヴァーレーシングプロジェクツを母体とするというバックボーンだけで緊張感が走るかもしれないが、販売車両は大手中古車サイトにも掲載されており、車種検索でも容易に見つけることができ、諸費用を含めた販売価格も明朗。
またショールームに併設した整備工場では、販売車両の整備やレストア、ユーザーから依頼されたメンテナンスや修理が日々行われている。さらにその隣りでは、オリジナルフレーム製作やクラシックレーサーの組み立ても行われているが、気難しさや近寄りにくさはない。車両購入から整備、レストアやカスタムなど、絶版車でやりたいことがあるユーザーは相談してみると良いだろう。
続々誕生するクラシックレーサー
オランダから輸入したエグリフレームにCB500Fエンジンを搭載したオリジナルレーサーを製作中。吸気はオリジナルマニホールドによるストレートポート化。完成後はアストライドでセッティングを行った上で販売する予定。
オリジナルレーサーのOV-41以降、CADでデザインしてヒノキ材を木型として、佐藤会長自身がアルミタンク製作も行っている。展開したアルミ板をタッピングビスで木型に固定しながら溶接を行うそうだ。
CBXメンテナンスは実績豊富
車両販売は国内外から調達するベース車両によって左右されるが、一時期はCBX専門店といって過言でないほどホンダ6気筒の整備やカスタムを行っていたモトジョイ。純正部品の販売終了などで苦労する面もあるが、現在もCBXユーザーからのメンテナンス依頼は途切れることはなく、24バルブヘッドがオーバーホールを受ける光景も日常的だ。
ビモータkb1もレストア中
販売に向けてレストア中のビモータkb1。「整備でも出せるぐらいコンディションは良かったのですが、完成後に『あそこも直しておけば…』と思うぐらいならレストアしようと。ビモータを求める方なら、隙なく仕上がっている方が良いでしょう」と佐藤会長。ベース車の段階で購入を決めれば、ユーザーの好みに応じた仕上げをオーダーできる。
カスタム済み、登録済み車両ならお買い得
【KAWASAKI GPZ750F】●本体価格:220万円
1.0mmオーバーサイズピストンを使った腰上オーバーホールや、CRキャブ/メガホンマフラー/ウオタニSPIIフルパワーキット/ウェインレイニー仕様のライムグリーンペイントなど、フルカスタムが施されたGPZ750F。これらのカスタムは2年前に総額200万円をかけてモトジョイで行ったもので、前オーナーの車両買い換えに伴い販売されることとなった。内容を見ればリーズナブルなのは間違いない。
【HONDA CB750F】●本体価格:225万円
スペンサーカラーの外装とアップタイプの集合マフラーが目を惹く、CB750Fベースのカスタムマシン。外観だけでなく、メインハーネス交換やウオタニSPIIフルパワーキット装着など、絶版車のアキレス腱となる電装系もアップデート。純正仕様で乗るかカスタムするかはユーザーの好みによるが、将来的にカスタムを考えてベース車を購入するなら、方向性が合った完成済み車両を手に入れた方が絶対にお買い得。このカスタムもモトジョイで行ったものだ。
【SUZUKI GS750E】●本体価格:165万円
ステータス性では900や1100が上なのは確かだが、扱いやすさではナナハンの方が分があるというライダーは少なくない。ここで紹介している車両は、そうした観点から佐藤会長がチョイスした3台だ。中でもこのGSは、素性の良さを生かして整備を行った逆輸入車両で、各部の自然なヤレ感を含めて未再生の良さが感じられる。点火系はウオタニSPIIフルパワーキット装着済みなので安心。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
車種別専用パーツのラインナップも豊富なキジマ バイクメーカーが開発するニューモデルは、ビギナーからベテランに至る幅広いニーズに応えるべく仕様を決定しているが、それでもすべてのライダーの希望を叶えられる[…]
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむホンダのモンキー&ゴリラ シフトアップ製88ccキットを組み込み、ノーマルキャブのままでセッティング変更せずに普通に走ることができた、6ボルト仕様の初期型黄色ゴリ[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
現代の耐久レーサーはヘッドライト付きのスーパーバイクだが…… 近年の耐久レーサーは、パッと見ではスプリント用のスーパーバイクレーサーと同様である。もちろん細部に目を凝らせば、耐久ならではの機構が随処に[…]
高回転&高出力主義の権化 250クラスでも高性能な直4を望む声が高まっていた’80年代前半、スズキが世界初の250cc水冷直4エンジンを搭載した量産車、GS250FWを投入。以降、ヤマハ、ホンダが追随[…]
0.1ps刻みのスペック競争 日本史上最大のバイクブームが巻き起こった1980年代は、世界最速を謳う大型フラッグシップや最新鋭レーサーレプリカが次々と市場投入され、国産メーカー間の争いは激化の一途を辿[…]
250ccを思わせる車格と水冷2スト最強パワーに前後18インチの本モノ感! 1979年、ホンダはライバルの2ストメーカーに奇襲ともいえる2スト50ccの、まだレプリカとは言われてなかったもののレーシー[…]
ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク 323選 1960年代から1990年代に発表された数々の銘車たち……そのうち300台以上を厳選、年式変遷や派生モデルを含め紹介。 大型やマルチはも[…]
人気記事ランキング(全体)
最新モデルはペルチェデバイスが3個から5個へ 電極の入れ替えによって冷却と温熱の両機能を有するペルチェ素子。これを利用した冷暖房アイテムが人気を博している。ワークマンは2023年に初代となる「ウィンド[…]
アウトローなムードが人気を呼んだフルフェイスがついに復活! 6月3日付けでお伝えしたSHOEIの新製品『WYVERN(ワイバーン)』の詳細と発売日が正式に発表された。 1997年に登場したワイバーンは[…]
バイクツーリングにおすすめの都道府県ティア表 バイクツーリングの魅力は、ただ目的地に行くだけでなく、そこへ至る道中のすべてを楽しめる点にある。雄大な自然が織りなす絶景、心地よいカーブが続くワインディン[…]
水冷Vツイン・ベルトドライブの385ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収める中国のバイクメーカー・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが、新種のオ[…]
東洋の文化を西洋風にアレンジした“オリガミ”のグラフィック第2弾登場 このたびZ-8に加わるグラフィックモデル『ORIGAMI 2』は、2023年1月に発売された『ORIGAMI』の第2世代だ。前作同[…]
最新の投稿記事(全体)
STIチームのウェアを身にまとった、かわいいぬいぐるみ ご存知とは思いますが、STIはモータースポーツへの参戦や技術支援、車両開発などを行っているスバルのグループ企業です。 その技術を活かし、市販車用[…]
N360の輸出用モデルが「N600」 そもそも、ホンダN600は国内で大ヒットとなったN360の輸出用モデル。当時、安価なわりに痛快なパフォーマンスでエヌッコロ、Nコロなどとニックネームを付けられ、若[…]
真夏の激闘を前に意気込みを聞く! ヨシムラの『ツーリングブレイクタイム』はその名のとおり、ツーリング中の立ち寄りスポットとしてヨシムラジャパンが主催しているイベント。2009年の初開催以来、すでに60[…]
「サスペンション」と聞くと、レースシーンで活躍する”走りに特化したパーツ”というイメージを持たれるかもしれません。 確かに、レースの世界においてはサスペンションのセッティングがタイムに大きく影響するた[…]
「いくっしょ、モビショー! 」を合言葉に、未来へのワクワクを体験 ジャパンモビリティショー2025で掲げられているのは、「ワクワクする未来を、探しに行こう! 」というコンセプト。「みんなが[…]
- 1
- 2