
正しく作業すればボルトやナットの頭をなめることはないはず。というのは、きれいなバイクしか触れたことがない人のセリフだ。固着やサビ、角が潰れたボルトが当たり前の旧車や絶版車は、通常の工具では対処できない場面も珍しくない。旧車や絶版車を相手にすることが多いサンデーメカニックなら準備しておきたいレスキューツールを紹介しよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:山下工業研究所
ナットツイスター:ツイスト形状がガッチリ食いつけばボルト/ナット/なべ小ネジにも使える
開口部から底部に向かって内径が狭まる特殊なツイストが食い込むことで、角が潰れたボルトやナットをしっかり捉えて緩めることができる。差込角1/4インチのRS2127/6、3/8インチのRS3127/8セットとも、各ソケットごとにサイズ設定はあるが、ダメージの状況はまちまちなので、実際にフィットするサイズを選択すること。
【ナットツイスター レールセット】●税抜希望小売価格:2万7600円(RS3127/8) 1万7600円(RS2127/6)
◆傷んだネジを緩める花びら形状のソケットは複数のメーカーが製造しており、コーケンはナットツイスターの登録商標で製品化している。開口部の鋭い刃が左回転でボルトやナットに食い込み緩める。
ボルトツイスター:下穴を開けてねじ込めば、途中で折れたボルトが抜ける
六角頭に食い込ませるナットツイスターに対して、頭部が折れたボルトやビスを抜き取るのがボルトツイスター。原理はエキストラクターと呼ばれる工具と同じだ。
この製品は、ラチェットハンドルやエクステンションバーで回せるのが特長。ネジサイズがM6の場合は先端3mmサイズが適合し、φ3.2〜3.5mmの下穴を開けてから左回しにねじ込んで緩める。
【ボルトツイスター レールセット】●税抜希望小売価格:8080円(RS3129/6-L32) 8690円(RS3129/6-L60)
◆抜き取るネジの太さや作業環境に応じて、適合ネジ径はM5〜M33の9サイズ、全長は32/37/60/75mmの設定がある。確実に抜くには、事前に浸透潤滑剤を十分にスプレーし、折れ残ったボルトの中心に下穴を開けるのがコツ。
インパクトロックナットバスター:固着したボルトやナットをインパクトレンチで一気に回す
花びら状の刃を食い込ませてハンドツールで左回しするナットツイスターでも食いつきが悪い相手に対して、インパクトレンチのトルクとスピードで一気に緩めるのがこちらのソケット。
差込角1/2インチで二面幅18〜27.5mmに対応するRS14124/7は、おもに破損したホイールナットの抜き取りを想定して開発された製品。
【インパクトロックナットバスター RS14124/7】●税抜希望小売価格:2万2700円
◆ナットのような雌ネジが刻まれたテーパー状のソケット内側は、インパクトレンチで回すことで滑らず確実に食い込み抜き取ることができる。
スタッドボルト抜き:3つのコロがしっかり食いつき、スタッドボルトを確実に緩める
クランクケースやシリンダーヘッドのスタッドボルトを抜き取る際、ダブルナットを回すスパナを振るスペースがない場面で便利。内蔵された3本のローラーはソケットを回すとスタッドボルトに接し、緩め方向に力を加えるほど強く食いつく。4100Mシリーズはメガネレンチで回せるので、スタッドボルトを貫通させて根元を掴むこともできる。
【インパクトスタッドボルト抜き】●税抜希望小売価格:4480円(14100M-6) 4480円(14100M-8)
◆ハンドツールでは滑ってしまうほど固着したボルトを緩める際、インパクトレンチで駆動できる。サイズ設定は左の4100mシリーズと同じだが、ソケット全長が48mmと短く、強度や耐久性が高い。
【スタッドボルト抜き】●税抜希望小売価格:3710円(4100M-5) 3710円(4100M-6) 3710円(4100M-8)
◆4100M-5の適合ボルト径は4.7~5mm、4100M-6は5.6~6mm、4100M-8は7.6~8mm。
アタックドライバー:絶版車や旧車をいじるなら絶対に用意しておきたい打撃工具
押しつけながら回すのがドライバーの基本だが、さび付いて固着したビスを緩める際はどうしても十字穴から浮きがちになるため、ハンマーによる打撃で一気に回転力を加えるアタックドライバーが有効。
六角ビットは二面幅5/16インチ(8mm)で、一般的なソケットビット(1/4インチ)より強度が高く、ビットホルダーを取り外せば差込角3/8インチのソケットを取り付けることができる。
【AG318A アタックドライバーセット】衝撃を緩和するラバーグリップ付きドライバーのセット。メッキ剥離予防のため、後部の打撃部は黒染め処理となっている(AN318Aも同様)。●税抜希望小売価格:1万500円
【AN318A アタックドライバーセット】●税抜希望小売価格:8320円
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
走行回数の多さと模擬レースのセットでコストパフォーマンスの高さは折り紙付き 絶版車やクラシックマシンでサーキットを走行してみたいが、レースに参戦するほどではない。あるいはクラシックレースにエントリーし[…]
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
創業60年以上の老舗メーカーの強力アルカリクリーナーに注目 モータリゼーションの先進国・アメリカでは早くから洗車やディテーリング産業が確立しており、より短時間で効率よく愛車を輝かせるためのケミカル製品[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
バイクキャビン:小型エアコンを装備すれば抜群の環境に! 難しく考えることなく、手っ取り早く購入できるガレージとして高い人気を得ているのが、デイトナが取り扱う各種シリーズ製品だ。 全モデルに共通している[…]
最新の関連記事(工具)
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
動きが渋い鍵穴に潤滑剤はNG! ・・・の前に ちょっと前に「キーの回りが渋くなってきた鍵穴に、潤滑剤を吹きつける(注入する)のはNG!」という情報がネット上で広く流れました。その理由は一時的に動きが滑[…]
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる 向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前[…]
やっぱり「素手」が好き! いきなりですが、筆者はかなりの作業を素手で行っています。ていうか、素手が大好きです。ボルトを回すにしても、工具を持って締め付けるにしても、とにかく手先にダイレクトに伝わる感覚[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
エアインパクトレンチ:手のひらに収まるサイズで500Nmを発揮。狭い場所で活躍する力自慢 ガレージにエアコンプレッサーを導入したら、まず揃えておきたいのがエアブローガンとエアゲージ、そしてインパクトレ[…]
ソケットセット:ツールキャビネットの引き出しにそのまま収まるトレイ付きZ-EALセット ラチェットハンドルもソケットも、専門メーカーのノウハウを注入して開発されたZ-EAL。その代表的アイテムをセット[…]
創業60年以上の老舗メーカーの強力アルカリクリーナーに注目 モータリゼーションの先進国・アメリカでは早くから洗車やディテーリング産業が確立しており、より短時間で効率よく愛車を輝かせるためのケミカル製品[…]
空気圧のチェック。「適正圧」には意味がある タイヤの空気圧管理、ちゃんとやってますか? この「ちゃんと」管理ってとこに、実は落とし穴があるんですよね~。たとえば、空気圧が低いとグリップ力が低下したり、[…]
バイクキャビン:小型エアコンを装備すれば抜群の環境に! 難しく考えることなく、手っ取り早く購入できるガレージとして高い人気を得ているのが、デイトナが取り扱う各種シリーズ製品だ。 全モデルに共通している[…]
人気記事ランキング(全体)
カワサキの新世代モビリティが大阪万博で公開 2025年日本国際博覧会、通称「大阪万博」のカワサキブースで、未来のオフロードビークル「CORLEO(コルレオ)」が注目を集めている。バイクのように乗車する[…]
「その時、スペンサーになれた気がした」 MVX250Fの上位モデルとして400版の発売が検討されていたが、250の販売不振を受け計画はストップ。この心臓部を受け継ぎ、NS250Rの技術を融合したモデル[…]
日本でもっとも人気の高いジャンル=ネオクラシック プロポーションの枷を覆す【カワサキ Z900RS】 まず、現代のバイクと昔のバイクではプロポーションがまったく違うんです。昔のバイクはフロントタイヤが[…]
バイクキャビン:小型エアコンを装備すれば抜群の環境に! 難しく考えることなく、手っ取り早く購入できるガレージとして高い人気を得ているのが、デイトナが取り扱う各種シリーズ製品だ。 全モデルに共通している[…]
〈WEBIKE FESTIVAL〉2024.10.19 SAT. ロングウッドステーション(千葉県長柄町) 【X500 ヒデヨリさん】「見た目など、あえてハーレーらしさを捨てたチャレンジ精神の塊のよう[…]
最新の投稿記事(全体)
長距離ツーリングがさらに楽しくなる進化 発売は、2021年2月25日。2021年モデルでは、大型二輪AT限定免許でも乗れるDCTのみのラインナップとなった。シリーズ共通で55Wスピーカーを採用。イコラ[…]
筑波サーキットにH-D Xたちが集合 H-D Xでのサーキット走行をおすすめしたい。X350はあきらかにXR750をモチーフとしたデザイン。「スポーツライディングを楽しんでほしい」というメーカーからの[…]
2層構造ポリエステル生地が生み出すドライ性能 「ドラスティックドライ」シリーズの最大の特徴は、独自に開発された2層構造のポリエステル生地にある。この特殊な生地構造は、肌に接する内側の層と、外側の層で異[…]
2ストエンジンの新時代を切り開いた名車 1980年代中頃、スズキのガンマ、ホンダのNSと、高性能レプリカが矢継ぎ早に出揃い、大ヒットを記録していた。 この潮流をみたヤマハはRZ250Rにカウルを装着し[…]
都市型イベント「My Yamaha Motorcycle Exhibition」開催へ ヤマハは、2025年9月20日に桜木町駅前(神奈川県横浜市)にて「My Yamaha Motorcycle Ex[…]