Z900RSよりも27kg軽く、さらに圧倒的にスリム
サイドスタンドを払った瞬間に軽さに驚き、跨って細さに驚く。ポジションはアップライトで着座位置は想像よりもかなり高い。そして、とにかく軽いのだ。
それは650ccの排気量以上に軽く感じさせてくれる質量で、その存在が一気に身近になる。重量は50周年モデル同士を比較するとZ900RSよりもZ650RSの方が27kgも軽い。走り出すとさらに軽快さをアピールしてくる。それは排気量の差もあるがエンジン形式の差とタイヤサイズによるところが大きい。4気筒エンジンより圧倒的に幅の狭い2気筒エンジンと後輪の180サイズ(Z900RS)と160サイズ(Z650RS)の差が軽さを生み出す。
市街地を軽快に駆け抜け、高速道路へ。180度の不等間隔爆発エンジンは、低中速で豊かなトルクを披露。ツインらしい鼓動感が市街地でも気持ちいい。50km/h、6速でも巡航可能な一方、車線の合流でスロットルを大きく開けると高回転までストレスなく回っていく。この吹け上がりと回せる感覚はとても気持ちが良い。ミドルクラスの特権ともいえる面白さである。
近年の並列2気筒は270度クランクの不等間隔爆発エンジンが多いが、Z650RSは不等間隔ではあるものの昔からある180度。低速では270度ほどのパルス感はないが、程よい鼓動感を発揮しながら高回転まで一気に吹ける。とても気持ちが良い。この日はZ900RSとのツーリングだったが、リッタークラスにも十分ついていける。
軽快なハンドリングを武器に、自由自在にコーナーを駆け抜ける
ワインディングで印象的だったのは、ハンドリングがとてもフレンドリーなこと。どこにも難しさを感じさせず、これなら気軽に走り出せる。まだまだこの日は肌寒く、まずは少しタイヤを揉むように走り始める。3000rpmあたりでシフトアップ。高いギヤを使い低い回転でスロットルを大きく開けながら後輪にトラクションを与えていく。その領域でもとてもトルクフルでタイヤのグリップを感じやすい。180度クランクならではのスムーズな吹け上がりを楽しむ。
ハンドリングはツインらしく、向き変えが素早いスポーツ性を披露。ヒラヒラと思い通りのラインをトレースすることができる。ネイキッド特有のライダーを急かさない大らかなハンドリングで、Zらしさを上手にまとめている。
まあ、当然なのだがブレーキやサスペンションの機能は価格なり。ライダーの操作にどこまでも応えてくれるフィーリングではないが、そこは車体とハンドリングの軽さがフォロー。進入できちんと向きを変えて、なるべく早くバイクを起こしてスロットルを大きく開けてツインエンジンのトラクションを味わう。粘り強いトルク特性を持つエンジンはそんな操作にきちんと応えてくれる。
68psはワインディングでも扱いやすさが光る。キャリアのあるライダーならそこそこスロットルを大きく開け、ツインエンジンらしいビートを聴きながら走れるはず。エンジンを回すと跳躍するようなそのビートがライダーを刺激し、4気筒とは異なる爽快感を教えてくれる。
そして全域で扱いやすいエンジンと、軽さが生み出すフレンドリーなハンドリングの組み合わせは、バイク趣味をより身近なモノにしてくれるに違いない。
印象的だったのはライダーが走っている姿や跨っている佇まいが良いことだ。市街地でもワインディングでも絵になりやすい。これってとても大切なこと。ここでもカワサキの上手さ、Zの存在感の強さを思い知る。こんなバイクなかなかない。
Z650RSで、往年のZをカジュアルに楽しんでみてはいかがだろう。
KAWASAKI Z650RS / 50th Anniversary[2022 model]
主要諸元■全長2065 全幅800 全高1115 軸距1405 シート高800(各mm) 車重190kg(装備)■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 649cc 68ps/8000pmm 6.5kg-m/6700rpm 変速機6段 燃料タンク容量12L■キャスター24°/トレール100mm ブレーキF=φ300mmダブルディスク+2ポットキャリパー R=φ220mmディスク+1ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●価格:110万円[101万2000円] ●色:茶×橙[緑、灰] ●発売日:2022年4月28日 ※[ ]内はSTD
動画【カワサキ Z650RS】蘇るザッパー!兄貴分Z900RSとも徹底比較だっ!〈丸山浩×小川勤 対談も〉
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Z650RS 概要 '18年の登場以来、大ヒットを続けているZ900RSの弟分。兄貴分は並列4気筒だが、こちらは並列2気筒エンジンを積むストリートファイター・Z650がベースで、鋼管トレリスフレームの[…]
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