軽快感と鼓動感が新生ザッパーの魅力

カワサキ Z650RS 待望の試乗!【往年のZスタイルをカジュアルに楽しむ!】

空前の大ヒットとなったZ900RS。2017年の東京モーターショーで発表されて以来、その勢いは衰えることを知らない。年々販売台数を増やしているにもかかわらず発表される新車は争奪戦で、近年のバイクブームの一翼を担っている。そして今シーズン、その大人気の意匠を継承する新たなZが登場。649ccの並列2気筒エンジンを搭載するZ650RSにようやく試乗することができた。


●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:冨樫秀明 ●外部リンク:カワサキ

2021年の9月に欧州で発表されたZ650RS(右)。往年のZ650(左)のコンセプトは『コンパクトで軽いZ』。ナナハン(Z2)よりも速いバイクとして開発された。

憧れのZが身近な存在に!

カワサキZ-RSシリーズ第二弾、Z650RSにようやく試乗することができた。2021年の9月に発表され、1970年代のザッパー(ZAPPER)の現代版として登場。ザッパーとはバイクが風を切って走る音の『ZAP』からきており、市街地の信号から信号の間を速く走れて、軽くてパワーのあるバイクのことだった。

1972年に登場したZ1は、加速&最高速ともに最速、世界一の性能を誇る大型ザッパーとして開発。その後、1976年に652ccの空冷4気筒エンジンを搭載したZ650が登場。『コンパクトで軽いZ』として誕生し、このエンジンを搭載したモデルがザッパー系として親しまれ、Z750FX-IIからは排気量を拡大。その後、GPZ750、ゼファー750、ZR-7などに派生しロングセラーエンジンとなった。

2021年の9月のZ650RSのローンチも当時のZ650の存在をアピール。キャンディーグリーンのタンクがそのイメージを強く継承する。

今回、試乗のためにお借りしたのはZ誕生50周年記念の火の玉カラーだ。シチュエーションによって色味を変え、太陽光が当たるとキラキラと輝く。

キャンディエメラルドグリーン(101万2000円)
ティアドロップタンクや砲弾型のメーターなどZのスタイリングをきちんと継承した新生ザッパー。軽くてパワーのあるバイクというザッパーらしさを現代に蘇らせた。

メタリックムーンダストグレー×エボニー(101万2000円)
Zらしいスタイルを現代の感性でアレンジ。メーターリングやヘッドライトリング、ラジエターカバーをブラックアウト。市街地にもスッと溶け込みそうな雰囲気を持つ。

キャンディダイヤモンドブラウン(110万円)
Z650RSは記念すべきZ誕生50年の節目に登場したモデル。ど定番の火の玉カラーにゴールドホイールを組み合わせる。専用エンブレムやシート、グラブバーなども装備する。

新しいネオレトロZは『4気筒』でなく『2気筒』

カワサキは1972年に登場したZ1をリスペクトし、Zをきちんとブランディングしてきた。ここ最近特に感じるのはカワサキはメーカーが作りたいバイクとユーザーが欲しいバイクが極めて近いことだ。このZ650RSもそんな1台。憧れのZを身近な存在にしてくれた。

エンジンは幅の狭い649ccの並列2気筒。このコンパクトなエンジンが軽快なハンドリングを実現。68ps/8000rpmを発揮し、スロットル微開の過渡特性も作り込まれていて開けやすい。

ティアドロップ形状のタンクとネイキッドスタイルは遠くから見ると、正直車種がよくわからない。Z900RS? ゼファー? しかしこれはZらしさがきちんと継承されているということだ。

ちなみに今回試乗したZ650RSは50周年カラーだったためか、撮影中一般の方から注目を浴びることはほとんどなかった……。

キーをオンにしてセルを押す。「タッタッタッタッタッ……」小気味良いが我々世代にはZらしからぬエキゾーストノートでZ650RSはアイドリングを刻む。

でも、4気筒エンジンでなく、2気筒エンジンを搭載する新生Zは、多くのライフスタイルにフィットしそうな予感がする。

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