●文:モーサイ編集部(阪本一史)
アエルマッキを傘下にしたことで、1970年代も多数の小排気量車を展開
ハーレーダビッドソンといえば“大排気量/Vツイン”というイメージを抱く人が多いだろう。
だが、ハーレーダビッドソンの創業は1903年。ビル・ハーレーとアーサー&ウォルターのダビッドソン兄弟の若者3人が最初に作りあげたバイク(試作第1号車)は、自転車のような形のフレームに116cc単気筒エンジンを搭載したものだった。
その後、試作車を発展させた405cc単気筒エンジンのバイクを量産車として販売するわけだが、最初から大排気量Vツイン専業のメーカーだったのではなく、多くの歴史あるバイクメーカー同様に、シンプルな構造のエンジンからバイク作りをスタートしたのである。
最初にVツインエンジンのモデルが登場するのは1909年のこと。「5-D」と呼ばれるモデルで、811ccで7馬力を発揮した。
ただし、その後もエントリーモデルとして自社製単気筒エンジン搭載車をラインアップしていたほか、1960年にイタリア・アエルマッキの株式を50%取得してからは、アエルマッキ製モデルをベースとした2スト/4スト小排気量車を多く市場に投入していく(1970年代前半にアメリカでミニバイクブームが起こったことも後押しした)。
1974年には、アエルマッキの残り株式50%をAMF-ハーレーダビッドソンが取得して完全傘下に収めたが、1978年にアエルマッキはイタリア・カジバに買収される。
アエルマッキとの関係が途切れて以降、Vツインエンジンがハーレーダビッドソンの主流となっていくのだが…。本記事では前回の「1950〜1960年代編」に続き、1970年代以降の“Vツインじゃないハーレー/クルーザーじゃないハーレー”を紹介しよう。
ハーレーダビッドソン BAJA(1972年)
アエルマッキの2ストロークモデル・M125をベースにボアダウンして、排気量を98ccとしたオフロードモデルが「BAJA(SR100)」だ。
フロント21インチホイール/アップマフラー/5速ミッションなどの本格的な装備で、実際の走行性能も高かった。多くのレースシーンで活躍し、グリーンホーンエンデューロなどでは優勝を飾っている。
ハーレーダビッドソン SHORTSTER(1972年)
1970年代前半にアメリカで沸き起こったミニバイクブーム。ハーレーはカジュアルなモデルとして人気のあったアエルマッキM-65のフレームや65ccの2ストローク単気筒エンジンを流用し、前後10インチホイールのミニバイク「SHORTSTER」をデビューさせた。
65ccの「X-65」は800台生産されたが、翌1973年からは排気量を90ccにアップした「X-90」が登場している。
ハーレーダビッドソン SX-125(1974年)
1968年に、2ストローク125ccのオフロードモデル「ラピード」がデビュー。そのラピードの進化版が「SX-125」で、5速ミッションや分離給油方式を備え、SX-125からはモトクロッサーRC譲りのダブルクレードルフレームを採用。車体も大柄となり、さらに安定性向上が図られた。リヤスプロケットは57T/71Tと大小のサイズが選べた。
※本記事は2021年8月11日公開記事を再編集したものです。*本記事は2008年発行『GREATEST HARLEY1903-2008 ハーレーダビッドソン105周年とVツインの100年』(八重洲出版)の内容を編集/再構成したものです。
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