時代と共に言葉は変化していきますし、新しい言葉は生まれるのと反対に、使われなくなった言葉も出てきます。ここでは1960年代生まれの筆者が、かつてはよく使ったはずなのに、最近とんと耳にしなくなった懐かしいバイク用語を振り返りたいと思います。
●レポート:山本晋也 ●写真:ホンダ/スズキ/ヤマハ/八重洲出版 ●編集:モーサイ編集部(中牟田歩実)
エンジンが止まっちゃう「エンコ」
まず、現在50代の筆者でもあまり使った記憶がなく、主に上の世代の諸先輩が使っていた言葉が「エンコ」です。エンジンが止まってしまった状態を示すものです。
現在でも、クラッチ操作を失敗するなどしてエンジンを止めてしまうと「エンストした」などと言いますが、「エンコ」が主に示すのはそうしたミスによるエンジン停止ではなく、故障によってエンジンが動かなくなってしまった状態です。燃料がなくなった場合は「ガス欠」という言葉を使いますから、「エンコした」といえばエンジンが故障したという意味です。
その語源は、「エンジン故障」を縮めたという説と、「座る」の幼児言葉で、ぐずった幼児などが動かなくなることを示す「えんこ」に由来するという説がありますが、いずれにしてもエンジンの故障が頻発していた時代だからこそよく耳にした言葉といえるでしょう。
技術の進歩によりめったにエンジンが壊れることがなくなった現在では、そもそも使う機会が少なくなり、結果として死語状態となったといえるのではないでしょうか。
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