
スペインに本拠地を置く電動モーターサイクルブランドであり、かつては電動トライアル世界選手権でチャンピオンを獲得するなど、高い技術力に定評があるトロット(TORROT)。そのトロットが電動キッズバイクを開発し、モータリスト合同会社により日本へ導入された。今回、小学4年生の初心者ライダーにモトクロスとトライアルの2機種3台を試乗してもらった。
●文:ゴーライド編集部(小川浩康) ●写真:小泉裕子 ●協力:モータリスト
電動モーターサイクルブランド「トロット(TORROT)」
自転車製造メーカーとして1948年にスペインで創業したイリオンド社は、1950年代にフランスのテロット(TERROT)社のライセンスを取得し、モーターサイクルの生産を開始した。ところが本家テロット社が買収され、テロットブランドが消滅。イリオンド社はテロットを想起できるブランドとして「トロット(TORROT)」をスタートさせたのだ。
その後、モペッドや自転車のクロスバイクが高く評価されたが、1990年代に倒産。2011年にベンチャー企業がガスガス(GASGAS)を買収し、新生トロットとしてオフロードマシンと電動トライアルマシンを開発。電動トライアル世界チャンピオンを獲得するなど高い技術力を確立したが、ガスガスブランドをKTMに売却し、現在は電動バイクメーカーとして活動している。
そんな背景もあり、キッズ用とはいえその作り込みに妥協はなく、モトクロス/トライアルでフレーム形状を変え、小径タイヤと出力を抑えたモーターを搭載したミニサイズモデル「ワン」と、大径タイヤと高出力モーターを搭載したラージサイズモデル「ツー」の2タイプが設定されている。
[左]トロット トライアル ツー [中]モトクロス ツー [右]モトクロス ワン
トロット モトクロス ワン
【TORROT MOTOCROSS ONE】●価格:39万6000円
トロット モトクロス ツー
【TORROT MOTOCROSS TWO】●価格:49万5000円
トロット トライアル ツー
【TORROT TRIAL TWO】●価格:48万4000円
両タイプとも油圧式フロントサスペンション/ガス式リヤサス/前後油圧式ディスクブレーキ、モトクロスは前後にミシュラン スタークロスジュニアM53を履くなど、装備も本格的。さらにモーターの始動&停止/パワー特性/スロットルレスポンス/スピードリミッターなどをスマートフォンの専用アプリで設定/コントロールすることが可能。車体側に設置されたスイッチでモーター出力を半減することも可能なので、キッズライダーのレベルに合わせた乗り味にセッティングでき、高い安全性も確保しているのだ。ただし、ワンは30kg、ツーは40kgの最大体重が設定されている。
[左]フロントフォークは油圧式で、ストローク量は97mm。モトクロスワンとトライアルツーは95mm。作動性も良好だ。ブレーキは前後ともに油圧式ディスクで、確実な制動力を発揮する。[右]リヤショックはガス封入式で、プリロード調整が可能。ストローク量は125mm。モトクロスワンのみ85mmだ。
モーター出力は600〜1500Wで、最高速度は40km/h。モトクロスワンは350-850Wで、最高速度は32km/h。スロットル開け始めからパワーが立ち上がるので、パワー不足は感じない。モーターの上にバッテリーがあり、マスの集中化も実現。
モーター前方にパワーを半減するスイッチを装備。スマホアプリでもセッティング可能だ。
バッテリーは48V8.8Ah、モトクロス・ワン(左)は48V6.6Ah。ファンライドで連続1時間程度稼働できる。
スマホアプリのセッティング画面。アプリでバイクの電源をオフにできる。ハンドル右側には電池残量の表示とキルスイッチを装備。
ハンドル左側には、転倒時の暴走を防ぐリーシュコード付きキルスイッチを装備。何重にも設定された高い安全性もトロットの特徴だ。
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