●文:ゴー・ライド編集部(小川浩康) ●写真:コイ ●取材協力:勝間田しげる画伯
東京からほど近い神奈川県秦野市。雄大な丹沢を背に緑に恵まれた自然スポットで溢れる秦野市は、市内の至るところから水が湧いているという名水百選の地でもある。そんな秦野の名水で入れたコーヒーを飲みたいと、無類のコーヒー好きであるオフロードマシン総合誌『ゴー・ライド』編集長・オガPが立ち上がった。目指すは秦野の林道内にあるという名水の湧き出るポイント。ファンティックキャバレロ500ラリーで名水を求めて秦野の林道へ向かったオガPの林道ツーリングレポートをお届けするゾ!
名水が数多く湧き出る地・秦野の林道へ
東京から東名高速道路を1時間ほど走ると、神奈川県秦野市に到着する。この秦野市は神奈川県で唯一の盆地で、その地下は天然の水がめ(地下水盆)になっていることもあり、秦野市内の至るところから地下水が湧いている。しかもその湧き水は、”名水百選”にも選ばれているという。
同じく秦野市内のヤビツ峠にある湧き水「護摩屋敷の水」は20年以上前に行ったことがあったが、秦野市内に湧き水スポットが点在しているとは知らなかった。無類のコーヒー好き(吉田栄作リスペクト)である筆者(ゴー・ライド編集長オガP)としては、その名水でコーヒーを淹れなければなるまい。
…ということで、名水で淹れたコーヒーを飲むために、今回の相棒=ファンティックキャバレロ500ラリーで秦野へと向かったのだ!
林道の途中に湧く名水を目指す
さっそく秦野に詳しい勝間田画伯(『ゴー・ライド』にてマンガ『ゴーインにマイウエイ』好評連載中)に連絡し、「弘法の清水」と「竜神の泉」を紹介してもらった。「弘法の清水」は秦野市中心部にあってアクセスしやすく、そのまま飲むこともできる手軽さが魅力とのこと。
そしてもう一方の「竜神の泉」は、なんと林道の途中に湧いているという! しかも約5kmほどの林道には、ダートも残っているという!! 東京からほど近い秦野だが、筆者がオフロードマシンに乗り始めた30年前には、秦野を含めた丹沢周辺の林道はほとんど通行止め。当時は奥多摩や伊豆半島に足繁く通っていたこともあって、この辺りの情報がスッポリ抜け落ちていたのだが、そんなミッシングリンクを繋げるためにも早速ゴー・ライド!
[A] 伝説の湧水「弘法の清水」
空海(弘法大師)が杖を突き刺した先から湧いたという伝説の湧水・弘法の清水(秦野盆地湧水群)。水無川通りのauショップを目印にして行ける。住宅地の中に湧いており、まわりに駐車場などはないので、迷惑にならないよう口を潤したら即退散しよう。
[B][C] 秦野戸川公園
今回の林道ツーリングのお目当て=名水「竜神の泉」へ続く林道は戸川林道と呼ばれており、神奈川県立秦野戸川公園がその入口だ。ここから水無川に沿うように、戸沢の出合駐車場まで約6km伸びている。
[D] 風の吊り橋
秦野戸川公園から約400m直進し、「風の吊り橋」の下を通って戸川林道の入り口へ。
[E] 戸川林道→竜神の泉
水無川沿いの林の中を抜ける戸川林道へ足を踏み入れると、すぐに舗装路からダートへと切り替わる。見晴らしは利かないものの、走るごとに少しずつ標高が上がっていき、山の奥深くへ進んでいく感じが冒険気分を高めてくれる。その路面はウォッシュアウトされ、ワダチや小石が散見されるものの基本的にはフラットなので、ビギナーでも走破できるだろう。
そして、ラリー500の太いトルクと軽快な車体は、思ったとおりにコーナーをクリアしやすい。飛ばさなくてもマシンコントロールが楽しく、冒険気分をさらに高めてくれる。林道ツーリングでの人車一体感をしみじみと味わいつつ、目的地の「竜神の泉」に到着した。
[F] 戸沢の出合駐車場
戸川林道は「竜神の泉」の先へと延び、しばらく進むと河原の広場へ下りられる。コーヒーブレイクに絶好の場所だ。だが、今回はここではコーヒーを淹れず、持参した袋麺も食べずに引き返した。
勝間田画伯おすすめの蕎麦を食べたいのと、コーヒーは家でちゃんと淹れたほうが美味しいからだ。というわけで、アウトドアグッズを極力持たず、ダートを走ることにほぼ専念するマイ林道ツーリングは、無事帰宅をもって完了した。
[G] 手打ちそば さか間
旅先では美味しい蕎麦を食べたい。「手打ちそば さか間」の鴨せいろ(1400円)は、殻付きと殻なしで挽いた2種類のそばが味わえ、鴨肉もジューシーで美味だった。
【帰宅後のお楽しみはコレ!】「竜神の泉」で汲んだ名水を沸かして、豆を挽いて、コーヒーを淹れました。旅先で淹れたコーヒーも美味しいけど、飲む前にちゃんと豆を挽きたいというのが、筆者の数少ないこだわりです! ひと口飲んだだけで分かるほど、コーヒーがまろやかになって美味しかった!! 細君にも好評だったので、水を汲みに行くことを口実に、また戸川林道へ行こうと思った次第。 [写真タップで拡大]
名水林道ツーリングで見えたキャバレロ500ラリーのオフ性能
キャバレロスクランブラー250と500には乗ったことがあるけれど、ラリー500は今回のツーリングが初めて。小変更なので乗り味は予想の範疇と思っていたのだけれど、いい意味で覆された。
シート高はスクランブラーから40mm高い860mm。エキゾーストパイプの取り回しで車体幅がやや広くなっていることもあって、身長172cmの筆者は片足のつま先が着く程度だ。しかし、車体の重心位置が低く、跨った状態での取りまわしに重さを感じないので、ミドルクラスのマシンとしては足着き性は悪くないと感じた。
さらに、軽快さを感じさせてくれるのがエンジンのレスポンスの良さ。アイドリングからちょいアクセルを開けると、500ccの太いトルクが素早く立ち上がり、コーナー立ち上りの加速もアクセル操作だけで決まる。高速道路を含めた舗装路では、振動も少なく軽快なハンドリングで、それでいてダート走行ではハンドルが振られることがなく、狙ったラインを外しにくい。
スクランブラーでも林道走行は可能だったけれど、ラリー500はもっとスムーズにマシンコントロールが決まるのだ。「竜神の泉」へ向かう林道をまさに軽快に走っていると、ラリー500の乗り味はオフロードマシンそのものだと感じられた。
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