8,800円のフルフェイスヘルメット アストン GTB600試用レビュー
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
以前アストンヘルメットのGT-1000Fを紹介しました。カーボン+特殊塗装を採用しながら2万8,800円という価格に驚かされました。
そんなアストンヘルメットのラインナップをチェックしていると、トリコロールの格好良いカラーリングを採用しつつ9,800円というビックリプライスのフルフェイスヘルメットを発見。
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普通自動二輪免許の取得時に用品店で「一番安くて400ccに乗れるヘルメットを下さい!」と店員に告げたところ、紹介されたのはシールドもついていないストリートジェットヘルメットでしたが、価格は1万円ぐらいしました。
今やフルフェイスヘルメットが1万円以下で買えちゃうのか・・・と驚きつつ、アストンヘルメットの代理店ハトヤさんにお願いして製品をお借りしました。
1万円以下で買えるフルフェイスヘルメットの性能はどんな感じなのか?チェックしてみます。
GTB600の付属品とカラーバリエーション
付属品はヘルメットを入れる袋のみというシンプルなもの。ただこの袋がなかなか高級感があります。
比較的厚手の生地を採用していて、ヘルメットが当たる内側は柔らかく起毛処理されていて手触りは最高。
入り口はアジャスターが用意されているので、しっかりと閉めることができます。
カラーバリエーションはベーシックなブラック、ホワイト、艶消しブラックの他に艶消しブラックとホワイトをベースに豊富なカラーバリエーションが用意されています。
しかも単色モデルとグラフィックモデルで価格が違わないのもポイント。
日本メーカーの場合、単色とグラフィックモデルで価格が違うのは当たり前。筆者もヘルメット工場に見学に行ったことがありますが、グラフィックモデルは単色モデルに比べて手間が増えるので、価格差があるのは当たり前だと思っていました。
恐らく仕入れの価格も違うものと思われますが、ハトヤさん太っ腹です。
もちろん規格はSG、PSC規格を取得しており、ヘルメット後頭部にステッカーが貼られています。
GTB-600の見ため
今回はトリコロール貸してくださいとカラー指定しました。ブルー系が好きな筆者ですが、トリコロールカラーも大好きです。
実際に見てみるとグラフィック部分は微妙な段差があるので、工程としては白いヘルメットにデカールを張ってクリアで仕上げていると思われます。
細部をチェックしていると塗装の下に埃が入っているところが一か所見受けられました。筆者はもともと塗装製品を扱っていましたが、カウル一個塗装したって多少入ります。
気になる人はコンパウンドとペーパーで磨けば取れると思います。9800円の商品で塗装にケチをつけてはいけません。ベースのホワイトもデカール部分の発色も高級感があります。
アストンのロゴは額の部分に立体エンブレム、サイドと後ろ側にも入っていますが、サイド部分は色の切り替えがあり凝ったデザインです。後頭部にはGTB600と商品名も入っています。
後頭部の上部には控えめながらエアスタビライザーもついています。
サイドから見た下部分は一段絞られたエッジの効いたデザインで、帽体をコンパクトに見せている印象です。
シールドに関してはリペア品が用意されていますが、スモークやミラータイプが用意されていないのは残念です。
GTB-600の機能性
頭頂部に一か所、口元に一か所開閉可能なベンチレーションを備えますが、頭頂部左右には常に解放されたベンチレーションもあります。
口元のベンチレーションは比較的大きめですが、トップのベンチレーションはかなりコンパクト。どれぐらい走行風が入ってくるのかは後半でお伝えします。
アウトレットは後ろ側に三か所。金属製のメッシュからレーシーな雰囲気を感じます。
インナーシールドはヘルメット左側のくちばし型のボタンを手前に引くことで飛び出してくる仕組み。収納時には奥に押せば引っ込みます。
脱着できないノーズガードとの隙間は僅かなので、インナーシールドを出している時は視界のほとんどをカバーできそうです。
インナーシールドボタンの邪魔にならないようにインカムを装着すると、シールドベースの少し下側ぐらいがベストポジションになりますが問題なく装着することができました。
顎紐はインナーシールド付きの多機能型ヘルメットに多いラチェット式バックルを採用しています。顎紐の位置によっては首に当たって違和感を感じるモデルもありますが、GTB600は問題ありませんでした。
GTB600の内装
GTB600の内装はトップ、チークパッド左右、チンカーテンが取り外し可能です。
チンカーテンを外す際には下淵部分のゴムが織り込まれているので、調整しながら引っ張らないと引っかかって外せない事があるので要注意。
肌が触れる部分の素材には起毛処理された肌触りの良い素材が採用されていますが、全面にアストンのロゴがプリントされている点も個性的です。
トップ内装はしっかりとクッション性がありますが、ヘルメット側を見てみると一部に金属のような素材のメッシュが貼られておりスパルタンな雰囲気です。
チークパッドはかなり厚めで30mmの表記が入っていました。今回はMサイズをお借りしましたが、帽体は一つ、内装でサイズ調整しています。
耳の上側クッションが薄くなっているのは眼鏡のツルを入れやすくする為でしょう。
内装を外した帽体側にはスピーカーホールがありました。ノギスで計ってみたところ直径は40mm、深さは5mmといったところ。大型のスピーカーだと収まりが悪いかもしれません。
GTB600の重さ
今回はGTB600のトリコロールカラーMサイズの重さを測定してみました。
ヘルメットは塗装の仕方などで重さが変わるので、ある程度重さに個体差があります。また単色よりもグラフィックモデルの方がステッカーや塗料の量が多いので重くなります。
GTB600の重さは1688gでした。LやXLは内装が薄く更に軽いはず。
一般的なインナーバイザー付きヘルメットの平均的な重さといえるでしょう。
GTB600のサイズ感
筆者は国内ヘルメットメーカー製品はMサイズを愛用しています。フィッティングもしており前後左右にクッションを追加しているので実質S~Mの間といったところ。
GTB600もMサイズを着用してみましたが、多少ゆとりを感じました。
安価なヘルメットの場合、脱着を重視したサイズ感になっていることが多いので、GTB600も意識しているのかもしれません。
チークパッドもしっかりフィットしているものの、締め付け感は弱めなので、インカムを使って通話しながら走行する際も話しにくい事はありません。
チンカーテンがもう少し大きければパーフェクト
試乗車輛はNMAX155。天気は曇りで風がやや強めのシチュエーションでGTB600を使ってみました。
まず最初に感じたのはチンガード下に装着されたチンカーテンがコンパクトで、巻き上げの風が入ってしまうという事です。
指一本分ぐらい隙間があるので、走行中に絶えず下からの巻き上げの風が入ってきます。。
また今回インカムは装着しないで走行しましたが、スピーカーホールがむき出しの状態のため、巻き上げた風が耳の脇の方まで流れます。そのため静粛性という点ではイマイチ。
シールドの視界は一般的なフルフェイスヘルメット同等といったところで、歪み等はありません。
開閉は5段階で可能で、シールド左淵の突起を指でかけてあげる形です。センターロックが苦手という人は嬉しいポイントではないでしょうか?
インナーバイザーの出し入れもグローブをしたままで違和感なくできます。ほぼ視界の全てがスモークになるので顔を見せたくないという人にも最適です。
ある程度走行してからベンチレーションも開けて走ってみましたが、口元は下からの巻き上げの風が入ってきているので変化を感じません。
上側は当初下道では効果を感じないと思っていましたが、少し下向きにして上をのぞき込むようなレーシングポジションにしてみたところ風の流入量が増えました。
セパハンの前傾バイクだと自然にこのポジションになるので効果を感じやすいかもしれません。
また高速道路で80km/hぐらいで巡行した際には直立ポジションでもしっかり風が入ってくるのを感じました。
空力に関してはスポーツタイプのフルフェイスヘルメットなので、下道高速道路共に全く問題ありませんでした。
パーフェクトではないけど倍の金額でも納得のクオリティ
流石に3万円以上のヘルメットと比べれば性能やクオリティ的には見劣りする部分もありますが、1万円でお釣りがくるヘルメットとしては最強のコスパ製品。
メインで使うヘルメットとしてはもちろんですが、パートナー用のヘルメットとして追加購入する際などにも最適です。
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