8,800円のフルフェイスヘルメット アストン GTB600試用レビュー
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
以前アストンヘルメットのGT-1000Fを紹介しました。カーボン+特殊塗装を採用しながら2万8,800円という価格に驚かされました。
そんなアストンヘルメットのラインナップをチェックしていると、トリコロールの格好良いカラーリングを採用しつつ9,800円というビックリプライスのフルフェイスヘルメットを発見。
※原稿執筆時の2/12現在は1,000円オフクーポンも発行されている!
普通自動二輪免許の取得時に用品店で「一番安くて400ccに乗れるヘルメットを下さい!」と店員に告げたところ、紹介されたのはシールドもついていないストリートジェットヘルメットでしたが、価格は1万円ぐらいしました。
今やフルフェイスヘルメットが1万円以下で買えちゃうのか・・・と驚きつつ、アストンヘルメットの代理店ハトヤさんにお願いして製品をお借りしました。
1万円以下で買えるフルフェイスヘルメットの性能はどんな感じなのか?チェックしてみます。
GTB600の付属品とカラーバリエーション
付属品はヘルメットを入れる袋のみというシンプルなもの。ただこの袋がなかなか高級感があります。
比較的厚手の生地を採用していて、ヘルメットが当たる内側は柔らかく起毛処理されていて手触りは最高。
入り口はアジャスターが用意されているので、しっかりと閉めることができます。
カラーバリエーションはベーシックなブラック、ホワイト、艶消しブラックの他に艶消しブラックとホワイトをベースに豊富なカラーバリエーションが用意されています。
しかも単色モデルとグラフィックモデルで価格が違わないのもポイント。
日本メーカーの場合、単色とグラフィックモデルで価格が違うのは当たり前。筆者もヘルメット工場に見学に行ったことがありますが、グラフィックモデルは単色モデルに比べて手間が増えるので、価格差があるのは当たり前だと思っていました。
恐らく仕入れの価格も違うものと思われますが、ハトヤさん太っ腹です。
もちろん規格はSG、PSC規格を取得しており、ヘルメット後頭部にステッカーが貼られています。
GTB-600の見ため
今回はトリコロール貸してくださいとカラー指定しました。ブルー系が好きな筆者ですが、トリコロールカラーも大好きです。
実際に見てみるとグラフィック部分は微妙な段差があるので、工程としては白いヘルメットにデカールを張ってクリアで仕上げていると思われます。
細部をチェックしていると塗装の下に埃が入っているところが一か所見受けられました。筆者はもともと塗装製品を扱っていましたが、カウル一個塗装したって多少入ります。
気になる人はコンパウンドとペーパーで磨けば取れると思います。9800円の商品で塗装にケチをつけてはいけません。ベースのホワイトもデカール部分の発色も高級感があります。
アストンのロゴは額の部分に立体エンブレム、サイドと後ろ側にも入っていますが、サイド部分は色の切り替えがあり凝ったデザインです。後頭部にはGTB600と商品名も入っています。
後頭部の上部には控えめながらエアスタビライザーもついています。
サイドから見た下部分は一段絞られたエッジの効いたデザインで、帽体をコンパクトに見せている印象です。
シールドに関してはリペア品が用意されていますが、スモークやミラータイプが用意されていないのは残念です。
GTB-600の機能性
頭頂部に一か所、口元に一か所開閉可能なベンチレーションを備えますが、頭頂部左右には常に解放されたベンチレーションもあります。
口元のベンチレーションは比較的大きめですが、トップのベンチレーションはかなりコンパクト。どれぐらい走行風が入ってくるのかは後半でお伝えします。
アウトレットは後ろ側に三か所。金属製のメッシュからレーシーな雰囲気を感じます。
インナーシールドはヘルメット左側のくちばし型のボタンを手前に引くことで飛び出してくる仕組み。収納時には奥に押せば引っ込みます。
脱着できないノーズガードとの隙間は僅かなので、インナーシールドを出している時は視界のほとんどをカバーできそうです。
インナーシールドボタンの邪魔にならないようにインカムを装着すると、シールドベースの少し下側ぐらいがベストポジションになりますが問題なく装着することができました。
顎紐はインナーシールド付きの多機能型ヘルメットに多いラチェット式バックルを採用しています。顎紐の位置によっては首に当たって違和感を感じるモデルもありますが、GTB600は問題ありませんでした。
GTB600の内装
GTB600の内装はトップ、チークパッド左右、チンカーテンが取り外し可能です。
チンカーテンを外す際には下淵部分のゴムが織り込まれているので、調整しながら引っ張らないと引っかかって外せない事があるので要注意。
肌が触れる部分の素材には起毛処理された肌触りの良い素材が採用されていますが、全面にアストンのロゴがプリントされている点も個性的です。
トップ内装はしっかりとクッション性がありますが、ヘルメット側を見てみると一部に金属のような素材のメッシュが貼られておりスパルタンな雰囲気です。
チークパッドはかなり厚めで30mmの表記が入っていました。今回はMサイズをお借りしましたが、帽体は一つ、内装でサイズ調整しています。
耳の上側クッションが薄くなっているのは眼鏡のツルを入れやすくする為でしょう。
内装を外した帽体側にはスピーカーホールがありました。ノギスで計ってみたところ直径は40mm、深さは5mmといったところ。大型のスピーカーだと収まりが悪いかもしれません。
GTB600の重さ
今回はGTB600のトリコロールカラーMサイズの重さを測定してみました。
ヘルメットは塗装の仕方などで重さが変わるので、ある程度重さに個体差があります。また単色よりもグラフィックモデルの方がステッカーや塗料の量が多いので重くなります。
GTB600の重さは1688gでした。LやXLは内装が薄く更に軽いはず。
一般的なインナーバイザー付きヘルメットの平均的な重さといえるでしょう。
GTB600のサイズ感
筆者は国内ヘルメットメーカー製品はMサイズを愛用しています。フィッティングもしており前後左右にクッションを追加しているので実質S~Mの間といったところ。
GTB600もMサイズを着用してみましたが、多少ゆとりを感じました。
安価なヘルメットの場合、脱着を重視したサイズ感になっていることが多いので、GTB600も意識しているのかもしれません。
チークパッドもしっかりフィットしているものの、締め付け感は弱めなので、インカムを使って通話しながら走行する際も話しにくい事はありません。
チンカーテンがもう少し大きければパーフェクト
試乗車輛はNMAX155。天気は曇りで風がやや強めのシチュエーションでGTB600を使ってみました。
まず最初に感じたのはチンガード下に装着されたチンカーテンがコンパクトで、巻き上げの風が入ってしまうという事です。
指一本分ぐらい隙間があるので、走行中に絶えず下からの巻き上げの風が入ってきます。。
また今回インカムは装着しないで走行しましたが、スピーカーホールがむき出しの状態のため、巻き上げた風が耳の脇の方まで流れます。そのため静粛性という点ではイマイチ。
シールドの視界は一般的なフルフェイスヘルメット同等といったところで、歪み等はありません。
開閉は5段階で可能で、シールド左淵の突起を指でかけてあげる形です。センターロックが苦手という人は嬉しいポイントではないでしょうか?
インナーバイザーの出し入れもグローブをしたままで違和感なくできます。ほぼ視界の全てがスモークになるので顔を見せたくないという人にも最適です。
ある程度走行してからベンチレーションも開けて走ってみましたが、口元は下からの巻き上げの風が入ってきているので変化を感じません。
上側は当初下道では効果を感じないと思っていましたが、少し下向きにして上をのぞき込むようなレーシングポジションにしてみたところ風の流入量が増えました。
セパハンの前傾バイクだと自然にこのポジションになるので効果を感じやすいかもしれません。
また高速道路で80km/hぐらいで巡行した際には直立ポジションでもしっかり風が入ってくるのを感じました。
空力に関してはスポーツタイプのフルフェイスヘルメットなので、下道高速道路共に全く問題ありませんでした。
パーフェクトではないけど倍の金額でも納得のクオリティ
流石に3万円以上のヘルメットと比べれば性能やクオリティ的には見劣りする部分もありますが、1万円でお釣りがくるヘルメットとしては最強のコスパ製品。
メインで使うヘルメットとしてはもちろんですが、パートナー用のヘルメットとして追加購入する際などにも最適です。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
最近DtoCというビジネスモデルが注目を浴びています。 既存の商品流通は、工場が生産したものをメーカーがパッケージ化し、小売店が販売するというもの。 3社が利益配分するため販売価格は必然的に高くなりま[…]
コスパの高さで人気のコミネから新作フルフェイスヘルメットが登場 コミネがヘルメットを販売しているのを知っていますか? 筆者は恥ずかしながら知らず、新作のヘルメットが発売されるというニュースを見て「え?[…]
バイク業界で働き始めて10年以上たちますが、コミネがヘルメットを販売していることを知ったのは2022年、つまり去年の事です。 初めてコミネのヘルメットに触れたのはスポーツジェットタイプで、youtub[…]
スペイン、バルセロナを拠点にするヘルメットメーカーLS2はコスパに優れた製品をラインナップしています。 カーボンを採用したレーシングヘルメットが7万8650円。同じくカーボン採用のツーリングヘルメット[…]
先日初めてチンガードを脱着することで、ジェット、フルフェイス二通りの使い方ができるヘルメットを経験しました。 夏場は涼しいジェット、冬になったら視界が広く暖かいフルフェイスヘルメットとして使えるので最[…]
最新の関連記事(ヘルメット)
見る角度によって印象が異なるカラフルなグラフィックが特徴 MotoGPに昇格した2013年から在籍したホンダを離れ、2024年からグレシーニ・レーシング(ドゥカティ)に移籍したマルク・マルケス選手だが[…]
ソリッドカラーながらも鮮やかな原色はライダーの闘争心を燃やす! MFJ公認だからモトクロスやエンデューロといったオフロードレース参戦にも最適で、林道ツーリングでもその性能を如何なく発揮する本格派オフロ[…]
落ち着きと華やかさを併せ持つアンスラサイトメタリック Z-8はSHOEIフルフェイスヘルメットのラインナップの中でも幅広く使えるモデルで、市街地走行やツーリングを中心にサーキット走行会などにも対応する[…]
首都圏のバイク用品店 3店舗で開催 去る1月25日(土)、東京都と埼玉県のバイク用品店3店舗において、アライヘルメット プレゼンツによるMotoGPライダー小椋藍選手のトークショー&サイン会が実施され[…]
カワサキモータースジャパンは、SHOEIとのコラボレーションモデル『カワサキ X-Fifteen ESCALATE(エスカレート)』を2025年1月8日より全国のカワサキプラザ限定で予約受付を開始する[…]
人気記事ランキング(全体)
カワサキUSAが予告動画を公開!!! カワサキUSAがXで『We Heard You. #2Stroke #GoodTimes #Kawasaki』なるポストを短い動画とともに投稿した。動画は「カワサ[…]
もう走れるプロトがある! 市販化も明言だ 「内燃機関領域の新たなチャレンジと位置づけており、モーターサイクルを操る楽しさ、所有する喜びをより一層体感できることを目指している。走りだけでなく、燃費、排ガ[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
根強い人気のズーマー 2000年代、若者のライフスタイルに合ったバイクを生み出すべく始まった、ホンダの『Nプロジェクト』。そんなプロジェクトから生まれた一台であるズーマーは、スクーターながら、パイプフ[…]
「日本の旗艦が世界を討つ」 今から約半世紀前の1959年は、ホンダがマン島TTレースおよび世界GPに挑戦を開始した年だ。 同年、戦後より国民の移動手段として補助エンジンや実用二輪車を製造販売してきたホ[…]
最新の投稿記事(全体)
ユーロ5+に対応したビッグボクサーはブラッシュアップしたルックスで登場 R18は、BMWモトラッド史上最大排気量となる1802cc空油冷水平対向2気筒エンジンを搭載するクルーザーだ。2024年モデルで[…]
スズキGT750 概要:対CBフォア、愛称”ウォーターバッファロー” 1969年に発売されたカワサキ マッハIIIに対抗するかのように、並列3気筒を選び、なおかつ750ccの大排気量と水冷を採用したの[…]
※記事中の画像のキーパターンは加工してあります ホコリや汚れを呼ぶ潤滑スプレー 鍵を差すときに動きが渋いなーとか、引っ掛かるなーと感じたことはありませんか? 家の鍵や自転車の鍵、倉庫の南京錠など、身の[…]
見る角度によって印象が異なるカラフルなグラフィックが特徴 MotoGPに昇格した2013年から在籍したホンダを離れ、2024年からグレシーニ・レーシング(ドゥカティ)に移籍したマルク・マルケス選手だが[…]
2ストローク初心者に知っておいて欲しいこと 日本国内では製造中止から18年経った、2ストロークエンジンのオートバイ。未だに人気が衰えないどころか、半ば伝説化していて、若いライダーの注目も集めているとか[…]
- 1
- 2