コスパを考えればシステムヘルメットもやっぱりコミネ HK-171FL試用レビュー
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
バイク業界で働き始めて10年以上たちますが、コミネがヘルメットを販売していることを知ったのは2022年、つまり去年の事です。
初めてコミネのヘルメットに触れたのはスポーツジェットタイプで、youtubeにアップしたところ、筆者のように「コミネがヘルメットを販売しているのを知らなかった」というコメントが多数ありました。
その後フルフェイスタイプもお借りしましたが、やっぱりコミネ。価格のわりに品質や性能が優れていてコスパの良さを感じさせてくれました。
今回はyoutubeの視聴者様リクエストでコミネのシステムヘルメット HK-171FLをご紹介します。
HK-171FLの付属品
HK-171FLの付属品は説明書、ヘルメット収納用の袋、清掃用の布の3点とシンプル。
収納用の袋はバイクが故障してしまった際など、ヘルメットを入れて道路に置いておくことで、三角板の代わりになるという優れモノ。
スクーター以外のバイクはまとまった収納スペースがないため、三角板を持ち歩いているという人は少ないはず。
万が一故障してしまった際にはバイクの近くに留まらずに安全な場所に避難する必要がありますが、高速道路などでは三角板を置くことが義務付けられています。
意外と知られていませんが、違反を切られないためにもコミネのヘルメットを使っていない人もおすすめしたい製品です。アマゾンなどで単品売りされています。
説明書はカラーで写真が多く見やすいのですが、商品の特徴が多くメンテナンスや使い方の部分は少ない印象です。
ホームページでもわかる情報は省いて、初心者が困りそうなインナーの脱着などが書いてあると更に良いかもしれません。
ただ注意書き一枚しか入っていないヘルメットメーカーもありますので、比べればかなり親切です。
ウエスはシールドなど細かい傷をつけたくない部分を拭くのに最適な柔らかいものなので、メンテナンス用に使いましょう。
HK-171FLの見ため
システムヘルメットは多機能なので帽体が大きくなりがち。加えてコミネのHK-171FLは2万4200円と安価なので、言及されていませんが帽体は1つで、内装でサイズ調整しているはずです。
ただ見た目には大きい感じはしません。各部エッジが効いたデザインになっていることが要因でしょう。
特に空気の流れを整えるための、リアスタビライダーに至るまでの前からの造形が特徴。それと後頭部の下側が絞り込まれている部分です。
また後頭部左右にはボタンのような金属パーツが埋め込まれておりデザイン上のアクセントになっています。
お馴染みコミネロゴは額部分にやや控えめなサイズで入っています。またサイドとリア部分にはデザイン違いのロゴも配されています。
商品名のHK-171FLは後頭部にミリタリー感あふれるフォントで入っていました。
カラーはマットブラック、パールホワイト、バサルトグレー、オリーブ、ガンメタの5色ですが、ミリタリー好きにはオリーブがお勧めです。
デザインのアクセントしてはチンガードの下部分などにカーボン柄が使われているのも嬉しいポイントです。
もちろん安全上の規格であるPSCとSG認証は取得済。後頭部下側にステッカーが貼られています。
HK-171の機能性
最大の特徴は顎紐の固定に使っているフィドロック社のマグネットバックルで、現在は国内ヘルメットメーカーではコミネだけが採用してます。
磁石の力で顎紐を固定する機構ですが、正直初めて使った際には「外れるのでは?」と少々不安になりました。
ですが赤い紐を引っ張らない限りは外れる気配がありません。ただこの点は実際に使ってみないと不安を解消するのは難しいかもしれません。
システムヘルメット最大の特徴、チンガードのオープン機構は、顎下の赤いボタンを押すことで行えます。一番上まで上げればロックされます。
顎下部分にはチンカーテンが標準で装備されているのも確認できました。厚みもしっかりしており、大きさも申し分なく静粛性に貢献しそうです。
インナーバイザーは左側下淵のレバー操作で開閉できる仕組みです。使い始めは少し硬さを感じましたが、何度か出し入れしたところスムーズに動くようになりました。
インカムの装着は下淵のゴムが内装の方まで回り込んでいるので、クリップタイプで装着するのは難しそう。両面テープで装着する場合はレバーを避けて少し後ろ側に装着する形になりますが、後ろ側はエッジが立っているので厚めの両面テープを使うなど工夫が必要になりそうです。
インナーバイザーとシールドに関しては紫外線を94%カットするUV380が採用されており、シールドはオプションでスモーク、シルバーミラーを用意。スモークは2750円。シルバーミラーは3300円です。
ベンチレーションは口元に一か所、頭頂部左右に一か所ずつですが、頭頂部は一つのレバーで左右が開閉する形になっています。
口元のベンチレーションは開けるとシールド方向に外気が導入される仕組みです。密閉度が高そうなので、曇り止めフィルムなどを貼らないとすぐに曇りそうですが、ベンチレーションである程度対応できそうです。
頭頂部に関しては、インナーシールド付きだとベンチレーション効果がイマイチの製品も多いですが、この辺りは実際に試乗してチェックします。
HK-171の内装
内装はトップ、チークパッドの左右の合計3点が取り外し可能。顎紐カバーに関しては外すことが出来ません。
トップ、チークパッドともに2点のボタンとシェルの部分への織り込みで脱着しますが、赤いボタンが差し色になっています。
頭頂部の内装は2層になっており、内側がべたつきにくく通気性の良いメッシュ、外側がクッション性に優れた素材です。
チークパッドは頬に触れる部分は肌触りの良い素材が採用されており、ヘルメットを被る時に目に触れる下部分は、赤いパイピングを入れるなど見た目にも拘っています。
内装を外した帽体側に目をやると、インカムのスピーカーホールを見つけました。こちらは直径5cm、深さも1.5cm程あるので、大抵のスピーカーは納まりそうです。
HK-171の重さ
ヘルメットは塗装の仕方などで重さに個体差がでます。今回はHK-171のMサイズ、ガンメタルの重さを測ってみました。
測定結果は1834gでした。
経験上、インナーバイザー付きのシステムヘルメットの重さは1800g前後なので、平均的な重さと言えます。
HK-171のサイズ感
最初に感じたのは被り口の狭さです。かなり顎紐を左右に引っ張らないと被ることができません。アマゾンのレビューなどに横が狭いというコメントがありましたが、被り口の影響で狭く感じる人が多いようです。
狭くて被れないと感じた場合にはチンオープン状態にしてみてください。すんなり被れるはずです。
SHOEI、Arai、kabutoのいずれのヘルメットもMサイズの筆者は、HK-171もMサイズで問題なし。被り口が狭いからと大きいサイズを選んでしまうと緩くなってしまうので注意しましょう。
チークパットは頬に沿ってしっかりフィットはするものの、圧迫感は弱め。そのためインカムなどでの通話は快適です。
HK-171を被って走行してみた感想
今回のシチュエーションは、相棒はテネレ700、天気は晴れ、風は弱い状態でした。ヘルメットの体感は天気や乗っているバイクによっても異なりますのでご了承ください。
シールドはUVカット機能付きですが、色がついているわけでもなくクリアでした。インナーバイザー共に歪みもなく視界は明瞭。
ただノーズガードがないからか、シールドが若干曇りやすいように感じました。口元のベンチレーションを開けてしばらく走行すれば曇りは取れますが、混雑した状態だとスッキリと曇りが取れないので、シールドを微開ポジションにするとよいでしょう。
チンカーテンが大きめで厚い事もあり、走行中に首下から風が入ってくることもなく、密閉性が高いのでヘルメット内は静かです。高速道路の走行も含めて風切り音は小さめで、静粛性は抜群。
頭頂部のベンチレーションは今回のような気温の低い下道走行でも効果を体感できます。左右にベンチレーションがありますが、頭の真ん中あたりを風が抜けていきます。
厚い時期の下道では多少蒸れるかもしれませんが、インナー頭頂部はメッシュですし、高速走行時には流入量がガンガン増えるので、高速道路を使ってのツーリングや郊外を走る際には問題ないでしょう。
最後に重さですが、さすがにシステムヘルメットはズシリと重さを感じます。ただ重量バランスが良いと感じました。
例えばアクションカムなどを用いた撮影が流行りですが、ヘルメットの顎部分にマウントするのが定番になっています。
1400g程度のヘルメットに200gのアクションカムをマウントしたことがありましたが、前側だけ重くなるので首の負担が大きく1時間で音を上げました。
数値だけ見れば1838gは決して軽くはありませんが、重量がバランスは良いので首や肩のコリに悩まされているライダーでなければ問題ないでしょう。
結論 コミネはやっぱりコスパ最強
コミネと言えば安全性が高く、コスパの良いバイク用品を販売しているイメージですが、ヘルメットに関しても同じです。
ジェット、フルフェイス、そして今回のシステムヘルメットと試してみましたが、基本性能が高く使い勝手は良好です。
コスパ重視でヘルメットを選ぶなら、やっぱりコミネは間違いありません。
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