![「まさに怪物…」日本人には気軽に乗りこなせない。それでもロングセラーとなったカワサキの名車。生産終了から37年経った今も絶大な人気を誇る[Z1300]を紹介](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/08/Kawasaki_z1300_A.jpg)
ホンダCBXと同時期に登場し、世界のバイクファンを震撼させたカワサキZ1300。空冷スーパースポーツを追及したCBXに対し、水冷エンジンやシャフトドライブを備えた究極の大排気量ツアラーとして独自の世界観を確立した。10年以上にわたり君臨し続けた「水冷6気筒の怪物」の進化と系譜を紐解く。
※2025年6月刊行の『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク 323選』より、個性派名車を抽出し、加筆して掲載しています。
●文:ヤングマシン編集部
ロングセラーとなった6気筒ツアラー「カワサキ Z1300」
ホンダのCBX1000とほぼ同時期である1978年のケルンショーで発表され、翌1979年に登場したのがカワサキZ1300である。同じ並列6気筒エンジンを搭載しながらも、その開発思想とアプローチはCBXとは大きく異なっていた。
排気量は当時の国産市販車として最大級を誇る1286ccに達し、冷却方式にはDOHC2バルブの水冷システムを採用。さらに駆動方式にはメンテナンスフリーなシャフトドライブを導入するなど、最初から高速域での快適性を追求した重厚なグランドツアラーとして開発が進められていた。しかし、その強大な車体と高いシート高、そして横幅の広さゆえ、日本人の平均的な体格では足着き性に難があり、取り回しには相応の熟練を要するマシンでもあった。
【1979 KAWASAKI Z1300】水冷4スト並列6気筒DOHC2バルブ1286cc 120ps/8000rpm 11.8kg-m/6500rpm 297kg F=110/90V18 R=130/90V17 輸出モデル
奇しくもほぼ同時代に世へ送り出された空冷6気筒と水冷6気筒の2台。当初スーパースポーツとしての性能を前面に打ち出したCBXが短期間で方向転換を余儀なくされたのに対し、最初から6気筒特有の極めて滑らかなフィーリングと快適性にスポットを当てていたZ1300は、細かな改良とモデルチェンジを重ねながら10年以上にわたって生産が続けられるロングセラーモデルとなったのである。
メーターやヘッドライトなど、スクエアなデザインで統一感を持たせているのが特徴。メーター類は、水温計と電気式燃料計が中央に配置されている。
大排気量水冷並列6気筒、モンスターの名にふさわしい心臓
1286ccという弩級の排気量、それを包み込む水冷並列6気筒エンジン、そして乾燥重量で300kgに迫る巨体。まさに「モンスター」の異名がこれほど相応しいマシンは他に類を見ない。その圧倒的な圧倒感と優れた長距離巡航性能から、北米をはじめとする世界のハイウェイで多くの熱狂的なファンを獲得することとなった。
6気筒エンジン特有の全幅(エンジンの横幅)を極力抑えて傾斜角(バンク角)を確保するため、あえてボア・ストロークは62mm×71mmというロングストローク設定が採用され、ボアピッチ(シリンダー間の距離)を詰めたコンパクトな設計が施された。多気筒化がもたらす振動の少ないスムーズな回転フィーリングと、1286ccの大排気量が叩き出す当時自主規制枠を遥かに超える120馬力のハイパワー&極太トルクは、まさに規格外のモンスターそのものであった。
また、当初から高荷重での長距離高速走行を見据えた本格ツアラーとして設計されていたため、チェーン調整や給油といったメンテナンスの手間を軽減するシャフトドライブ機構を標準採用。冷却性能を安定させる水冷化と相まって、高速巡航における高い信頼性を確立していた。
カワサキZ1300の系譜「ZG1300」
登場以来、着実な進化を続けてきたZ1300シリーズにおいて、4代目として1984年に投入されたのが「ZG1300」である。このモデルチェンジにおける最大のトピックは、従来の3連双胴キャブレターから、電子制御燃料噴射装置「DFI(デジタル・フューエル・インジェクション)」への移行であった。
Z1300シリーズの4代目として投入されたZG1300。
インジェクション化によって燃料供給の緻密な制御が可能となったことで、最高出力は従来の120馬力から130馬力へと大きくパワーアップを果たした。レスポンスと扱いやすさが向上したパワーユニットを得たことで、Z1300の完成度は一歩前進することとなる。さらにこの系譜からは、フルカウルやサドルバッグ、オーディオシステム等を標準装備し、北米市場を中心に大陸横断ツアラーとしての地位を揺るぎないものとした「ZN1300ボイジャー(Voyager)」などの派生高級モデルも登場し、カワサキフラッグシップの歴史に確固たる足跡を残した。
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