
「大きすぎる」リッター機に対し、現実的な車格と価格で“救い”となる軽二輪アドベンチャー&トレール。’25〜’26年モデルでのカワサキの攻勢により、勢力図に異変が生じ注目度が再び高まっている。エントリーからベテランのダウンサイジングまで、等身大で楽しめるこのクラスの代表車種を、岡崎静夏さんが徹底インプレッション。ユーザー目線でその実力を吟味する。今回はスズキ(SUZUKI)Vストローム250SXに試乗!
●まとめ:ヤングマシン編集部(田宮徹) ●写真:楠堂亜希 ●外部リンク:スズキ
オンロードメインで楽しむ扱いやすいツアラーモデル
いい意味で、事前の想像とは大きく異なる乗り味だったのが、油冷単気筒エンジンを搭載した軽二輪アドベンチャーのVストローム250SX。このルックスから、個性的でクセのある走りをイメージしていたのですが、実際にはまるでそんな部分はなくて非常に扱いやすく、道を走ることを純粋に楽しめるバイクでした!
アドベンチャーバイクは、オンロードに特化した車種からオフロード走破性を重視したモデルまでさまざま。その中でVストローム250SXは、前輪が19インチ径で前後ブロックパターンタイヤを履いているとはいえ、開発ベースがネイキッドスポーツのジクサー250ということもあり、オンロード寄りの設計となっています。例えば、前後サスは一般的なオフ車と比べたらハードなセッティング。シートは前後の段差がある分割構造で、リーンアウトよりもリーンウィズやリーンインで操りたくなる形状です。
搭載されている最新世代の油冷単気筒エンジンは、高回転域までスムーズな加速感。エンジンフィーリングがとてもいいので、ついスロットルを開け気味に操りたくなっちゃうのですが、車体姿勢はそこまでオンロード志向ではなく、フロントがやや高めなので、これが“心のストッパー”になってくれます。エンジンと車体の絶妙なバランスにより、高速道路や峠道を含む多彩なオンロードを、スイスイと走りやすいイメージ。ウインドスクリーン付きで防風性にも優れ、長距離ツーリングにも向いていそうです。
リヤサスペンションのプリロードは7段階調整式で、標準となる下から3段目にすると体重50kgではあまり沈まず、身長158cmでは両足接地はちょいムリ。ハンドルはそれなりに幅広だが近い。
尖ったクチバシ、丸みを感じる優しい走り
一方で、ブロックパターンタイヤを履いているとはいえ、前後サスペンションがカタめなこともあり、オフロードへの対応力はやや低め。それでももちろん、キャンプ場へのアクセス路など、短距離のフラットダートなら問題なく走れます。
最大の驚きは、オンロードでの走行性能。アドベンチャー系のルックスと装備ですが、オンロードを快適かつ楽しく走れるバイクでした!
【TESTER 岡崎静夏】全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスにフル参戦し、ときには表彰台に立つほどの驚速女子。ツーリングやオフロード遊びなどもマルチに楽しむ!
2気筒モデルと棲み分ける
油冷単気筒のVストローム250SXと水冷並列2気筒のVストローム250を併売。クチバシデザインこそ共通だが、後者は前輪17インチ径でよりゆったりしたロードツアラーに。
Vストローム250
SUZUKI Vストローム250SX 車両解説
主要諸元■全長2180 全幅880 全高1355 軸距1440 シート高835(各mm) 車重164kg(装備)■油冷4スト単気筒SOHC4バルブ 249cc26ps/9300rpm 2.2kg-m/7300rpm 変速機6段 燃料タンク容量12L ■タイヤサイズF=100/90-19 R=140/70-17
日本市場にはʼ23年8月に導入開始。新世代油冷機構採用の単気筒エンジンを搭載したネイキッドのジクサー250に、前輪19インチ化やスチール製スイングアーム伸長を含む大幅な仕様変更を加え、シリーズ共通のシャープなアドベンチャースタイルにまとめる。ブロックタイヤはマキシス製(シェルパとCRFはIRC製)。ヘッドライトは上下3段構造で、ロービーム時は上下段、ハイビーム時はすべてが点灯する。反転表示の多機能メーターを採用し、その左サイドにUSB電源ポートを備える。
軽アドベンチャー&オフロード一気試乗まとめ:性格や特徴を理解して自分に一番合う相棒を!
KLX230シェルパSは、オンロードでもオフロードでも操縦しやすく、足着きの不安もナシ。あらゆるライダーが気軽に楽しめ、オフロードデビューの夢も叶えてくれるバイクだと思います。
CRF250ラリーは車格と車重があるため、オフロードの難易度は少し高め。一方でオンロードでは、エンジンパワーがあり車体の安定感や快適性に優れているため、長旅にも向いていそうです。
Vストローム250SXは、オフロードの走行性能はフラットダートレベルですが、オンロードではこのルックスから想像できないほどの楽しさがありました。
同じように軽二輪アドベンチャー&トレールにカテゴライズされていても、その乗り味や特徴はかなり違います。ぜひ皆さんも、試乗もしつつ自分に最適な1台を探してください!
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