「フレディに憧れ、そして抜いた」フレディ・スペンサー×丸山浩、CB1000Fや鈴鹿8耐について語る【Hondaホームカミング熊本2025】

「フレディに憧れ、そして抜いた」フレディ・スペンサー×丸山浩、CB1000Fや鈴鹿8耐について語る【Hondaホームカミング熊本2025】

10月5日、ホームカミング熊本2025がHonda KUMAMOTO WELCOME PARKで開催された。トークショーにはフレディ・スペンサーが登壇。ホンダ開発陣、そして我らが丸山浩とともに、CB1000Fについて語り合った。


●文&写真:ヤングマシン編集部

アメリカで僕もCB1000Fが欲しいなと思っている

──CB1000Fの印象から教えてもらえますか? 前日はHSR九州のサーキットをかなり本気で走行しましたが、その感想も含めてお願いします。

フレディ・スペンサー まず最初に、ホンダ開発陣のみなさんは素晴らしい仕事をしたと思います。初めて見た時、本当に美しいと思った。オリジナルのレトロ感をキープしながらも、新しいマシンとしての繊細な美しさが加えられていて、見ているだけでも素晴らしいと感じる。

そして走らせてみたら、昔ながらのバイクのスピリット、本来あるべき魂がきれいに受け継がれているマシンだなと感じたよ。

安定性があり、アジリティも良い。そして何より、バイク乗りならみんなわかると思うが、“バイクから得る感覚”ってすごく重要だよね? それが乗ってすぐに「あ、これは素晴らしい」とわかった。

もう一回言います。本当に素晴らしい仕事をしていると、そう思っています。

──最高の褒め言葉ですね。こういった評価を受けて、ホンダ開発チームGMの坂本さんはいかがですか?

坂本順一 ありがとうございます。CB1000Fは日本でセールス1位を狙ってこれから勝負をかけていきますが、アメリカでも勝負をかけたいと思っています。いけますかね?

フレディ いけるさ! これは本心だけれど、ぜひアメリカで僕もCB1000Fが欲しいなと思っている。日曜日に、走りを楽しむようなバイクとして自分も欲しい。

何が素晴らしいかと言えば、街乗りもそうだが、サーキットで走るのにも素晴らしい能力を持っていること。

僕はね、1周走っただけでそのマシンの良さがわかるんだ。このバイクは、もうわかった。バランスがいいし、エンジン、シャーシ、サスペンション、スロットルのレスポンス、どれを取っても本当に素晴らしい。

だからアメリカでもNo.1になれるでしょう。

坂本 ありがとうございます。

これからのCBでの活躍は、俺に任せろ!

──丸山さんも何か質問したいことがありますか?

丸山浩 ここは質問というより、この機会にぜひお伝えしたい、長年抱いてきた思いがあります。

1985年、世界選手権GP500とGP250のダブルタイトルを取った年に、私は世界チャンピオン・天才フレディ・スペンサーを見てレースを始めた。

そんな少年が1992年、鈴鹿8時間耐久ロードレースでフレディと同じステージで走ることができた。じつはあの時、1回フレディを抜いているのだ。ワンラップだけね。

フレディ ワンラップ・イズ・ワンラップだよ(笑)。あの時はスタートでちょっと出遅てしまったんだ。

丸山 そう、1周目は私のほうが前だった。しかし130Rで、華麗に私を抜いていった。

その姿を見て、心の奥底に湧き出るものがありました。「1回、抜いておきたい…!」と。

だからシケインで無理に突っ込んだ。フレディは私がイン側に突っ込んだものだから、「危ない!」と思いバンクを起こし、私に道を譲ってくれたのだ。

フレディ それは君が良いムーブをしたということだろうね。

▲1992年、鈴鹿8耐でRVF750を駆るフレディ・スペンサー。

丸山 フレディに憧れてレースの世界に入った少年が、40年経った今、HSR九州で先日開催された鉄馬レースで、まるでCB750Fを駆るフレディのように、CB1000Fで優勝した。

これはぜひ、若い子に伝えたいのだけれど、天才フレディ・スペンサーになることは絶対できないが、その姿を追いかけ続け、少しでも近づく努力をしたら、世界選手権で一緒に走れたし、なんとこうやってともにステージに立つことが、40年かけてできるようになったのだ。

そしてフレディへ最後に言いたいのは、「これからのCBでの活躍は、俺に任せろ!」なんだけど…同時にこうも思ってしまう。

「弟子にしてください!」(笑)。

フレディ もう40年もやっているのだったら、僕が君の弟子ってことでいいんじゃない(笑)?

丸山 いや、ありがとうございます。もう言い残すことはない。

──では最後に、来場してくれたお客さんへひと言ずつお願いします。

丸山 CBは、ライダーをヒーローにしてくれるバイクだと思います。

私はCBに乗る時、いつもフレディの姿を思い浮かべていた。先々週のレースでもやっぱりフレディの姿が思い浮かび、思わずウィリーしながらチェッカーしました。

でもそんなことをさせてくれるのがCBであり、これを若い、これからのCB乗りに伝えていきたいと思います。

ヒーローになれる夢を与えていきたい。ありがとうございました。

フレディ たぶん、この中で僕が一番遠くから来ていると思う、テキサスだからね(笑)。

みなさんひとりひとりがどれだけバイクを好きか、その気持ちを受け取りました。そして、ホンダがこの先も素晴らしいバイクを作り、みなさんがこの先もホンダを愛してくれることを本当に願っています。

本田宗一郎さんから僕が受け継いだこのパッションを、今度はみなさんが引き継いで広げていってもらえたら嬉しい。本当に今日はありがとうございました。

▲9月の鉄馬レースでCB1000Fレーサーを駆り、見事優勝した丸山浩。

【動画】フレディ・スペンサーCB1000F速攻インプレ/フレディと過ごした二日間Part1

丸山浩が主宰するYouTubeチャンネル「MOTOR STATION TV」にて、今回の模様が詳しくレポートされている。ぜひチェックを!

さらなる詳細はヤングマシン電子版12月号にて

さらなる対談内容や、フレディのCB1000Fインプレッション&走行写真&動画はヤングマシン電子版12月号などで公開予定。CB750F(#19)、NSR500(#4)とRS250RW(#19)についても詳しく特集するつもりだ。

なお現在公開中の電子版11月号は、9月に開催された鉄馬レースで優勝を果たしたCB1000F Concept TeamCB & WITH MEを掲載。誰でも真似できそうなお気軽カスタム術を丸山浩が伝授する。同じく別クラスで優勝のモリワキ仕様レーサーや、サーキット特集として走行&観戦ガイドもお伝えしている。

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