
昭和50年代は、免許制度の改正により人気が中型に集中し始めた時代だ。ここではレプリカブーム以前、中型黎明期のヒット作を紹介する。
●文:ヤングマシン編集部 ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU
あの頃の中型 青春名車録「4気筒全盛」(昭和54~57年)
1979年(昭和54年)、カワサキのZ400FXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年(昭和55年)6月に発売されたXJ400は、やはり空冷2バルブDOHCエンジンを搭載していた。バーハンドルで2本リヤショック、フロント19インチで車格も大柄…と、FXとの共通点は多かったが、これは当時最良と思われるスペックを集めた結果である。
そして、FX、XJ400に続き、400cc4気筒ウォーズに3番目に名乗りを上げたのはスズキだった。1981年(昭和56年)年4月に発売されたGSX400Fのスタイルは、前年のケルンショーで発表されていたGS650Gに通じるイメージでまとめられていた。一方、心臓部は2気筒のGSX400Eと同じ4バルブ方式で、理想的な燃焼を実現するTSCCも採用して、最高出力はXJと並ぶ45psを発揮。トリプルディスクブレーキにアンチノーズダイブ機構も備え、堂々たるデビューを飾ったのだ。
さらに、ヨンフォアの生産終了後、2気筒のホークII、ホークIIIをリリースしてきたホンダだったが、ついに1981年(昭和56年)11月、400cc 気筒戦線に突入。CBX400F が解き放たれたのだ。さすがに最後発だけあり、エンジンは空冷DOHC4バルブを採用した超コンパクトな並列4気筒を新開発。最高出力はクラストップの48psを発揮したのだ。
1981年(昭和56年)に発売されたXJ400Dと動画のテスターを担当した丸山浩さんの17歳当時。高校時代に初めて購入したバイクとなる。
高校時代に初めて購入したバイク、XJ400Dの色違いと再び対面する丸山浩さん。撮影時は45歳だった。
カワサキ、ヤマハ、スズキの後に満を持してリリースされたCBX400F。同じく動画のテスターは丸山浩さん。
【SUZUKI GSX400FS IMPULSE 1982年(昭和57年)】400cc初の並列4気筒DOHC4バルブはスズキのGSX400Fだったが、XJとCBXの間に挟まれアピールポイントをヨシムラと共同開発の4-1マフラーに求めた。GSXは、FSインパルスで最高出力が48psにアップしCBXに肩を並べた。
YAMAHA XJ400/XJ400D
ヤマハは、XJ400のエンジン幅をコンパクトに抑えるために背面ジェネレーターを採用。さらにZ400FXを2ps凌ぐ45psの最高出力も叩き出したのだ。また、FXの硬質なフィーリングとは異なり、XJには滑らかに吹け上がる特性が与えられていた。剛のカワサキに対し、柔のヤマハ。
サスペンションも乗り心地が良く、それでいて鈍重さを感じさせない、スポーティーなセッティングだった。柔和でりりしい、燃料タンクのデザインにもそれが表れていようか。ヤマハが国内に初投入した4気筒は、かくして好調な滑り出しを見せた。
翌1981年(昭和56年)になると、フロントブレーキのディスクにスリットが入り、燃焼効率向上システム=YICSが採用されるなどのマイナーチェンジを実施。さらに4本マフラーに黒エンジン、エアサス併用式フロントフォーク、燃料計などを装備したデラックス仕様の400Dも追加。ラインナップがさらに充実し、1981年の販売台数は1万9738台とトップを獲得したのだ。
主要諸元■全長2060 全幅760 全高1130 軸距1405 シート高785(各mm) 車両重量180kg(乾燥)■空冷4スト並列4気筒DOHC2バルブ398cc 45ps/10000rpm 3.4kg-m/8000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量16L■ブレーキF=Wディスク R=ドラム■タイヤF=3.00-19 R=110/90-18■新車当時価格45万2000円 ※1981年(昭和56年)のD
【YAMAHA XJ400 1980年(昭和55年)6月】初期型は2本出しマフラーにシルバーエンジンでスタート。赤、黒、銀の3色。
【YAMAHA XJ400 1981年(昭和56年)】燃焼効率を向上させるYICSを備え、ディスクブレーキにスリットが設けられた。
【YAMAHA XJ400D 1981年(昭和56年)】4本マフラーのDを追加、燃料計を備える。
【YAMAHA XJ400D 1982年(昭和57年)】販売店特別バージョンのYSP仕様は白×赤を用意。色以外は標準仕様に準じる。
HONDA CBX400F
CBX400Fのエンジンは、DOHC4バルブを採用し、最高出力はクラストップの48psを発揮。さらにエア加圧式フロントフォークやリンク式モノショック、中空アルミスイングアーム、鋳鉄ディスクのインボードブレーキなど、最先端のメカニズムを満載。
また、車名のXを象徴するかのようなクロスしたエキゾーストパイプはヨンフォアを思わせるが、じつはデザイナーは同一人物。テールカウルにビルトインされた灯火類も斬新だった。さらに、ハーフカウルを装備したインテグラや上級版の550も設定された。
鳴り物入りでデビューしたCBXだったが、実際、その性能もとても優れていた。当時人気のあったSS400やTT-FIIIといったレースでも高い戦闘力を発揮。とくに1982シーズンは勝てるマシンとしてその名を轟かせたのである。ストリートモデルとしても扱いやすく、しかも高性能でスタイリッシュと来れば、人気を集めるのも必然。CBXは飛ぶように売れ、1982年(昭和57年)の販売台数はトップの3万1533台を記録。見事に成功を収めたのだ。
主要諸元■全長2060 全幅720 全高1080 軸距1380 シート高775(各mm) 車両重量173kg(乾燥)■空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ399cc 48ps/11000rpm 3.4kg-m/9000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量17L■ブレーキF=ディスク R=ディスク■タイヤF=3.60-18 R=4.10-18■新車当時
【HONDA CBX400F 1981年(昭和56年)11月】初期型にはツートンカラーの他、1万5000円安い単色のモンツァレッドも用意された。
【HONDA CBX400F 1982年(昭和57年)7月】2年目には、写真の青×白カラーも追加され計3色設定に。ホイールは銀だ。
【HONDA CBX400F INTEGRA 1982年(昭和57年)7月】カウル付きモデルとして国内初の認定を受けたモデル。オートキャンセルウインカーも装備。
【HONDA CBX400F 1984年(昭和59年)10月】再生産された2型。白×赤のほか、黒×赤も用意。ブラックコムスターホイールが特徴。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
300km/h時代を拓いた怪鳥の誕生 1997年にキャブレター式のバイクで世界最速と言われたCBR1100XX Super Blackbird(以下、XX)がデビューしました。カワサキZZR-1100[…]
世代交代の象徴となったロッシの優勝 ヴァレンティーノ・ロッシが17歳という若さで、初めてWGPにデビューしたのが1996年のこと。アプリリアのファクトリーライダーとして前述のRS125Rでフル参戦。マ[…]
世界初、独自機構を貫いたキャブレター式ターボの誕生 1981年の東京モーターショーに、XJ650をベースとしたターボ車が出展された。会場には電子制御式フューエルインジェクションとキャブレターの2種類が[…]
80年代ターボブームを駆け抜けた近未来フォルムと先進装備 XN85は、空冷4気筒エンジンを搭載する「GS650G」をベースにスズキが作り上げたターボチャージャー搭載モデルである。当時の日本ではターボ車[…]
世界初にして国産唯一の市販ロータリーバイク、スズキ「RE-5」の誕生 ロータリーエンジンは、ドイツの発明家フェリクス・ヴァンケル氏が考案した、おむすび型のローター(ピストン)が回転して動力を生み出す方[…]
人気記事ランキング(全体)
サビて固着したネジやナメて外せなくなったネジを簡単に外せる デイトナから発売されている「バイク用ショックドライバーセット(品番:95392)」は、錆びついて固着したボルトや、ネジ緩み止め剤が塗布された[…]
ワークマン最大のカジュアルショップがイオンモール川口に誕生!! Workman Colors(ワークマンカラーズ)はワークマンが展開する多数のウエアやグッズのなかで、従来のメイン商材だった作業着(ワー[…]
ダカールラリー直系の設計思想!ファクトリービルドで誕生した本格ラリーマシン 世界で最も過酷なラリーレイドであるダカールラリーにおいて、数々の金字塔を打ち立ててきたKTM。これまで多くのプライベーターや[…]
R1のDNAとYCC-Tを凝縮。クラス最軽量149kgを掲げたYZF-R2の全貌 インドで世界初公開されたヤマハの新型YZF-R2は、急成長を続ける200ccプレミアムスーパースポーツセグメントに向け[…]
免許不要の四輪特定小型原付サンエンペラー「エルバード」の安定性と利便性 2023年7月の道路交通法改正によって誕生した「特定小型原動機付自転車」は、16歳以上であれば運転免許不要で公道を走行できる新た[…]
最新の投稿記事(全体)
北海道をともに走ったBMW F 450 GS 今回お借りしたのは、「GS Trophy」グレード。クラッチレバーの操作を必要としないERC(Easy Ride Clutch)が標準装備されていることも[…]
欧州での人気を背景により本格的なオフロードモデルに進化 2025年にフルモデルチェンジを行ったキャバレロラリー500最大のトピックは、従来モデルから大幅な見直しが図られた車体構成にある。これまでのラリ[…]
本棚の奥にガレージ出現!?「遊べる本屋」の真骨頂 雑多に積み上げられた書籍、POPの毒のある言葉、そしてサブカルチャーの濃密な空気感。「遊べる本屋」の代名詞を持つヴィレッジヴァンガードは、行くたびに新[…]
従来の2気筒から新設計3気筒へ!劇的進化を遂げた新型「Ryker」 BRPジャパンが国内に展開するカンナムシリーズの中で、よりカジュアルに3輪アドベンチャーを楽しめるモデルとして支持されてきた「Ryk[…]
ザガートの名がつくだけで売れ行きがまったく違う とにかく、アストンマーチンが100周年にかけた情熱はすさまじいもので、DBS GTザガートとDB4 GT ザガートのセット販売をはじめ、ハイパーカーと呼[…]
- 1
- 2








































