
世に出ることなく開発途中で消えて行ってしまったコンセプトモデルやプロトタイプは数あれど、今でも記憶に残るモデルは決して多くない。ここではそんな幻の名車を取り上げてみたい。今回はホンダCR-1を紹介しよう。
●文:ヤングマシン編集部
1984年にツインチューブフレームを採用していた
これはホンダウェルカムプラザ青山で1989年8月に開催されたイベント「MOVE」に出品されたプロトタイプのCR-1。モトクロッサー、CR500Rのエンジンを搭載する2ストネイキッドとなる。MOVEは、ホンダモーターサイクルデザインワールドをテーマにバイクが形作られてゆくプロセスを公開。デザイン及び企画段階では、いかに自由にバイクの可能性を追求しているかを一般のバイクファンにアピールしたものだ。まずは、CR-1の解説文を紹介しよう。
「モトクロッサーのワクワク感をオンロードモデルで味わうため、なんと5年前に考えられていたプロトタイプです。フォルムはシンプルとモダンの究極を追い求め、エンジンはCR500のスパルタンな強心臓。当時HRCが使い始めたばかりの、ツインチューブフレーム。まだまだ市販化の道が遠かった、扁平極太ラジアルタイヤの採用など。スペックを聞いただけで思わず身震い、ひとつの有機体が完成していました」 ※ホンダプレスリリースより
1989年時点で5年前ということは1984年。空冷2ストエンジンのCR500Rが発売されたのが1983年なので、時期は一致する。一方、HRCがツインチューブフレームを実戦投入するのは1985年からなので、それよりも前から市販も検討されていたことが分かる貴重なプロトタイプだ。もちろんこれが市販されることはなかったが、どことなくCB-1(1989年)に通じる印象があるのは、気のせいだろうか?!
【HONDA CR-1 ’89サマーフェスティバル「MOVE」出品モデル 1984年】主な特徴は「ロードスポーツ初のエンジン形式およびフレーム形式」となっているので、ツインチューブフレームは重要な構成要素となる。前後とも60扁平のタイヤはかなり平たい印象だ。
主要諸元■全長2050 全幅650 全高1025 軸距1360 シート高740(各mm)■空冷2ストローク単気筒 500㏄■タイヤサイズF=120/60-17 R=150/60-18
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事([特集] 幻の名車)
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
石油危機で消えたポストZ1候補2台目はロータリーエンジン 1970年代初頭、ロータリーエンジンは一般的なレシプロエンジンよりも低振動でよりフラットなトルクカーブとスムーズなパワーデリバリーが実現できる[…]
イタリアンイメージをネーミングやデザインに注入 これらデザインスケッチ等は、1989年8月にウェルカムプラザ青山で実施された「MOVE」展で公開されたもの。これは本田技術研究所 朝霞研究所が企画して実[…]
2ストローク90ccの「CO-29」は、キーレスにポップアップスクリーン採用 1988年に劇場版「AKIRA」が公開された翌年、1989年8月にウェルカムプラザ青山で「MOVE HONDA MOTOR[…]
GLの元となった水平6気筒試作車 CB750フォアの発売後、モーターサイクルキングとは何かを探るために試作された1台。ロータリーエンジンのような滑らかさを求めて水平6気筒としたが、ミッションを後ろにつ[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA] | 名車/旧車/絶版車)
似ているようでカブとはまったく違うのだ アウトドアテイストの強いCT125ハンターカブが人気だからといって、ここまでキャラクターを寄せてくることないんじゃない? なんて穿った見方で今回の主役であるPG[…]
ドリームはホンダ初の本格バイク 1947年のA型からプロトタイプのB型(1948年)、エンジンに加え自転車フレームも初めて自社製としたC型(1949年)を経て1949年8月に登場したのがドリームD型と[…]
ホンダ「モンキー125」(2021)比較試乗レビュー この記事ではかわいらしいフォルムと実用性が同居したファンバイク、モンキー125の2021年モデルについて紹介するぞ。ミッションが5速化されたうえに[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
PG‐1の国内導入がオフロードのヤマハを復活させる!? 国内の原付二種市場は、スーパーカブやモンキーなどのギヤ付きクラスはもちろん、PCXなどのスクーターを含めて長らくホンダの独壇場となっている。そん[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
州知事や政府関係者のほか、従業員も参加し祝う 四輪車はもちろん、ビジネスジェット機でも知られ、最近では再使用型ロケットでも話題のホンダ。その始まり、つまり「祖業」は二輪車にある。 スタートは自転車用補[…]
2024年モデル概要:XSRらしさを受け継いだ末弟 海外で先行して展開されていたXSR125の国内導入が明かされたのは、2023年春のモーターサイクルショーでのこと。発売は同年の12月8日だった。 X[…]
似ているようでカブとはまったく違うのだ アウトドアテイストの強いCT125ハンターカブが人気だからといって、ここまでキャラクターを寄せてくることないんじゃない? なんて穿った見方で今回の主役であるPG[…]
懐かしのスタイルに最新技術をフル投入! 2025年3月の東京モーターサイクルショーで詳細が発表されたヨシムラヘリテージパーツプロジェクト。対象機種は油冷GSX-R750とカワサキZ1となっており、GS[…]
実績豊富なディーラーによる絶妙なバランス感覚 全国のハーレーダビッドソンジャパン販売網がカスタムの腕とセンスを競うコンテスト『バトルオブザキングス』にて2年連続で日本一になった実績を持つワタナベモータ[…]
- 1
- 2