
イタリアはモデナに本拠地を置く電動モーターサイクルメーカー、エネルジカが誇るスーパースポーツモデル「EGO+(エゴプラス)」の試乗インプレッション。一週間ほどお借りして、通勤やツーリングに使ってみた。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:真弓悟史 ●取材協力:金城IVY Racing ●外部リンク:エネルジカ|ENERGICA
- 1 電動バイクはまだ実用性が……というバイク乗りへ
- 2 びびるほど速いのに異次元のスムーズさ
- 3 【閑話休題】制御技術こそが最大のストロングポイント
- 4 歩くような速度から240km/hまで(?)、スロットル操作ひとつでコントロール
- 5 いちばん電費に厳しい高速道路でも片道100kmくらいなら余裕
- 6 モーターならではの特性がワインディングで面白い
- 7 残量が10%を割ったあたりで強制エコモードになる
- 8 エンジン車は色あせない、だがこれもイイ!
- 9 ENERGICA EGO+ IVY EDITION スペックとスタイリング
- 10 ENERGICA EGO+ IVY EDITION のディテール解説
- 11 ENERGICA EGO+ IVY EDITION ギャラリー
電動バイクはまだ実用性が……というバイク乗りへ
バイクに情熱を傾けるエンスージアストにとって、これならバイク趣味として成立するレベルに達している。0-100km/h加速は2.6秒、公称航続距離420kmというモンスター電動モーターサイクルに乗って、そう痛感させられた。
今回は、イタリア・モデナに本拠地を置く電動モーターサイクルメーカー、エネルジカが誇るスーパースポーツモデル「EGO+(エゴプラス) IVYエディション(アイビーエディション)」を一週間ほどお借りすることができた。通勤やツーリング、ワインディングでの快走など、さまざまなシーンで試乗してみたので、インプレッションをお届けしていきたい。
これまでにもさまざまな電動バイクが登場していて、時代の変化が間近にあることを感じさせるが、一部を除いてはまだ都市特化型の乗り物と言っていいだろう。バッテリー交換スポットに必ず戻ってくるような環境で走るか、または一定時間毎にお茶……というには少々長すぎる充電待ち時間を過ごす覚悟が必要だからだ。使い方としてはルート配送や都市のコミューター、短距離ツーリングが最適と言える。
このように『限られた環境でのみ楽しめる』乗り物になっている要因は大きく2つ。最大のものは何と言っても航続距離だ。ほとんどの電動バイクは100km未満であり、公称値で200kmを超えるものは稀。そしてもうひとつが充電時間だ。バッテリー容量が大きくなれば200V電源を使っても0から満充電までは4~5時間かかるのが普通。ほかにも充電可能スポットの少なさは気になってしまう。
今回お借りしたEGO+は、これらの点をほぼ完全に解決していると言っていい。航続距離420kmもさることながら、クルマと同じ急速充電のチャデモを使用できるのがとても大きいのだ。
イタリアンデザインながら、どこか愛嬌がある。このトリコローレのグラフィックをまとったものはまだ日本に1台しかないという……。
今回の試乗では通勤のほか、東京都台東区の編集部から首都高~東名高速を経て御殿場ICで一般道に下り、御殿場市街と近隣のワインディングロードを走るというツーリングを試みた。充電器は持たず、チャデモを使用するためのカードのみを携えて──。
びびるほど速いのに異次元のスムーズさ
まずはマシンをお借りしたところから振り返っていこう。埼玉県三郷市にあるエネルジカの正規代理店「金城IVYレーシング」にてEGO+ IVY EDITION(以下EGO+)を受け取り、簡単な説明を受けつつパワーモードをスタンダードにしてもらい、いざ出発である。
車重は260kgあり、スズキのハヤブサとほぼ同等。とはいえバッテリー&モーターの搭載位置により低重心なためか、跨って左右に振ると思いのほか軽い。ただし、押して歩こうとすると車重以上の重さを感じることになる。これは電動バイクゆえのモーターの微妙な抵抗によるものだが、こんな時に役立つのが低速モードだ。
ブレーキレバーを握りながらスターターボタンを押すとメーター左横に『Go』と表示され、走行できる状態になるが、さらにスターターボタンを長押しすると低速モードに入る。ようは歩く程度のスピードで後退と前進ができるモードで、跨ったまま簡単に車両を取り回すことができる。前進でスロットル全開を試したところ、最高速度は8km/h。なんならステップに足を載せて走ることもできる速度だ。
ライディングポジションはスーパースポーツのそれで、着座位置からハンドルバーはやや遠め。シート高810mmはさほど高くない部類だが、それなりの前傾姿勢が必要になる。
ハンドルバーはやや遠めだが、前傾姿勢は許容範囲。タンクに相当するカバー位置が高めなので、高速巡航では身体を預けて少し楽をすることができる。ステップ位置もスポーティだが窮屈というほどではない。シートは形状がよく、クッションの厚みはそれほどでもないが尻の痛みは我慢できる範疇だ。【身長183cm/体重81kg】
事前に2000ccエンジン並みの最大トルク215Nm(21.93kg-m)で0-100km/h加速が2.6秒とか、最高速240km/hといった情報が頭に入っていたのでおそるおそる走り出すが、拍子抜けするほどスムーズに走り出した。
クラッチやトランスミッションはなく、操作は右手でスロットルとフロントブレーキ、右足でリヤブレーキというシンプルな構成。車体は紛れもなくスーパースポーツだが、加減速に限って言えばスクーターと同じように操作できる。
周囲の交通の流れに乗っていると“キュイーン”という高周波サウンドも控えめで、停止すれば無音。乗用車のアイドリング音や、そよ風の音が耳に入ってくる。なんだかとても落ち着いた気分だ。
視界が開けた安全そうな場所で停止し、試しに元気よく加速してみることにした。
……いや正直びびった。わかりやすく言うと1000ccスーパースポーツのフル加速がスロットル操作だけで出現するわけだ。ゼロ発進で右手をガバリと回すと、一瞬スムーズにホイールが転がりだすのだが、リヤタイヤに荷重が載ったと思ったらまっしぐらに加速力が増していく。
スゲェなと思ったのは、ジワリと回り始めたリヤタイヤに荷重をしっかりと載せたところから圧倒的な加速力を発揮するまでのシームレスな繋がりだ。フロントを浮かせることなく、リヤホイールがスピニングを起こさない最大限のパワーがよどみなく湧き出てくる。しかも、マンホールを乗り越える際に一瞬スピニングらしき“キュキュッ!”という音がするのだが、挙動は全く乱れず、タイヤが再度喰い付いたと思われる瞬間もショックレスなのだ。
※写真はイメージです
モーターがゼロ発進から途方もないトルクを発揮するのは電動バイクでお馴染みのシーンかもしれないが、これほどスムーズに制御されているとは驚きだ。一般公道の60km/hまででも、鬼トルクと制御の素晴らしさの片りんを垣間見ることができた。
【閑話休題】制御技術こそが最大のストロングポイント
IVYレーシング代表の金城さんにお話を伺ったところ、そもそもエネルジカ社はイタリア大手の風力発電会社の系列であり、電力の制御技術を磨くために電動モーターサイクルを製作したという変わり種らしい。
モーターとバッテリーはよほどの技術革新がなければ大きな進化はないが、制御技術はまだまだ磨ける──。そう考えたエネルジカ社は、電動四輪の10倍、スペースシャトルの5倍という精緻な制御が求められるモーターサイクル分野にチャレンジすることにしたのだという。挑戦の場は、MotoGPの電動バイククラス、Moto E選手権だった。
なぜモーターサイクルのパワーユニット制御がそれほど難しいのかというと、ひとつにはパワーに対する車重の軽さや、ライダーが上で動きながら操作するということもあるが、何より3次元的な動きをしながら走ることが大きい。
加減速で前後にピッチングし、曲がるために左右にロールするモーターサイクルは、常にその瞬間瞬間に最適な(もしくはライダーが望む通りの)パワーを過不足なく取り出せるように制御されている必要がある。バンク角によってタイヤの外径も変化すれば、荷重の載り方でグリップ力が変化したりもする。そんな様々な条件下でライダーの思い通りに走ってくれなければ速く走れないだろうし、何より面白くないだろう。
2019年から2022年までMoto Eに参戦したエネルジカは、もっとも厳しい場で制御技術を磨き、レーシングマシンのパワーユニットを搭載した車両に保安部品を取り付けて公道仕様に仕立て上げた。それがEGO+だ。
歩くような速度から240km/hまで(?)、スロットル操作ひとつでコントロール
話を戻すと、EGO+は人間が歩くような速度でもギクシャクせずにまっすぐ走り続けることができるし、環境が許せばスロットル操作だけで240km/hに設定された速度リミッターに当たるまで一気に加速することもできる……らしい。らしいというのは、今回は公道試乗だったのでさすがに最高速度は試していないからだ。
それはともかく、これほどの大パワーを誇りながら街乗りを気楽にこなせるのは、EGO+の大きな魅力。しいて言えば前傾ポジションがちょっとツライかもしれないが、なんなら同じパワーを誇るネイキッドモデルのEVA RIBELLEや、もう少し穏やかなアドベンチャーモデルのEXPERIA/ネオクラシックモデルのESSEESSE9もラインナップされている。
そんなこんなで、約700万円という価格さえ忘れれば、EGO+は全く問題なく通勤にも使えることがわかった。
さて、次はツーリングである。
日常的に使っているシーンを想定したかったので、特に満充電することなくスタートすることに。東京都台東区にある編集部ガレージ出発の時点で、メーター表示のバッテリー残量は79%だった。
首都高上野線に乗り、料金所から加速! ここでは周囲の流れも速いので、0-100km/h@2.6秒という加速力をよりリアルに体感できる。面白いのは、高周波サウンドが聞こえるとはいえエンジン車より圧倒的に静かなので、加速Gのわりにはあまり急加速している感じがしないことだ。ライダーに気づかせず制御も仕事をしているようで、挙動が乱れるような気配はまったくない。
クルージングは平和そのものだが、スロットルを開ければ必要なパワーはいつでも引き出せる。
本線への合流では、後方から近付いてきた四輪と同じ速度まで瞬時に加速。まるでずっとそこにいたかのように、交通の流れに溶け込むことができる。
キビキビとレーンチェンジをこなし、速度が欲しければスーッと加速、スロットルを戻せば自然なエンジンブレーキと同じような感じで回生ブレーキが利く。スロットル操作ひとつで狙った車線の、狙った場所に納まることができる。それにしても、これだけ速いバイクなのに急かされる感じが全くしない……。
ちなみにクルーズコントロールも装備しているが、速度変化の大きい首都高では使う機会もない。続く東名高速もそこそこ渋滞していたので、今回はわずかに試したのみだった。
いちばん電費に厳しい高速道路でも片道100kmくらいなら余裕
高速道路での電費は、80km/h巡航でも100km/h巡航でもあまり変わらず、20km走るとメーター上の残量が10%ほど減る。つまり、実測値で満充電1回あたり200kmということになる。しかし、これをもって『公称値の半分じゃん』と断じるのは早計だ。
じつは、一定の速度で走り続けることで回生ブレーキが使えない高速道路は、電費にもっとも厳しいステージ。エネルジカのマシンで欧州の高速ツーリングを経験したという金城さん(IVYレーシング代表)によれば、160km/hを超えると電費が悪化するらしいが、120km/h巡航くらいでもあまり変わらないという。
ちなみに、街乗りのように回生ブレーキが使える状況にあれば、走り方次第で40km/10%に近くなる。つまり、公称値の航続距離420kmを達成するのは難しいにしても、近いところまではいけそうである。また、ワインディングでも回生ブレーキが使えるので、思ったほど電費は悪化しなかった。
そんなこんなで、スタートから約104km走行してEXPASA足柄に到着。バッテリー残量は29%だったので、平均電費は20.8km/10%だったことになる。……って、平均電費の表記はこれでいいのだろうか……。
EXPASA足柄に寄ったのには理由がある。それは、急速充電器が置いてあるからだ。チャデモ規格の急速充電ポートを備えるエネルジカのマシンは、四輪EVと同じ駐車スペースを使いながら充電することができる。
乗ってきた自分でさえも見慣れない光景にちょっとおかしくなる。
四輪の外国車と同じように、充電器によっては一部相性でエラーが出ることもあるらしいが、幸いにもエラーはなく充電開始。カードをかざし、確定ボタンを押すと30分の急速充電がスタートする。
車両と一緒に借りてきた日産のカードでキャッシュレス手続き。初めてだったが操作は難しくなかった。
もちろんEVスペースに停めていると怪訝な顔で見られたりもするが、たいていは好意的で「これ電気なんですね!」なんて話しかけられることも。
トイレ休憩をとり、カメラマンと撮影の打ち合わせをしながら缶コーヒーを飲んだりしてると、30分はストレスなく待てるギリギリの時間だとわかった。いや、筆者が比較的せっかちな性格ということを考えれば、人によってはもう少し待てるのかもしれない。
30分後、バッテリー残量は43%ほど回復し、残り72%に。ツーリング開始時点が79%だったことを思えば、もし満充電で出発していれば足柄で90%を超えるまで回復できていたことになる。これは心強い。
EXPASA足柄から最寄りの御殿場ICで一般道に下り、置き撮りなどするために御殿場市内をしばし走り回ることに。ここでは撮影のためにヘッドライトを点けっぱなしにしてしばらく置いておいたりしたが、一般的なバイクのように灯火類による電力消費を心配する必要はなかったようだった。なにしろ積んでいるバッテリーの大きさが桁違いである。
いざ、ワインディングロードへ。
モーターならではの特性がワインディングで面白い
ワインディングを走り始めると、260kgという車重にやや戸惑った。低重心とはいえ、やはりそれなりの手応えがある。さらに、回生ブレーキが意外と曲者で……。
と、そんなふうに最初は思ったものだったが、慣れるにしたがって自然に乗れるようになる。特に車重は単なる慣れで済んだ。もう少しEGO+ならではの乗り方を工夫する余地があるのは、回生ブレーキのほうだった。ちなみに今回は基本的にスタンダードモードで走行し、回生ブレーキは弱めに設定してある。
700万円という価格がバンク角を浅くさせる。筆者のような庶民はそんなもんである。
以下、少しマニアックに語っているので興味がない方は次の見出しまで読み飛ばしてOKである。
まず独特な車体構成から述べていこう。モーターを車体中央に搭載していることから、リヤショックはスイングアーム右側にオフセットマウントされ、リンク機構は持っていない。シートレールに向かって縦方向にマウントされているので挙動は往年の2本サスに近く、荷重があいまいだとリンク式モノショックのように寛容に追従したりはしない。もちろん危険になるようなものではないのだが。
そんなリヤサスペンションと比較的前方に搭載されたバッテリーの重量により、回生ブレーキが働いていると荷重がフロントに寄りがちになる。そのまま車体を寝かそうとすると前のほうに重たいものが残っているような感覚になり、スムーズに寝かせないように感じてしまう。
そんなときにどうするかというと、寝かす手前でスロットルをパーシャルにしてやる。モーターでパーシャルというのも変かもしれないが、スロットルを少しだけひねって回生ブレーキを弱めてやるようなイメージだ。
そうすると車体姿勢が前後フラットになって、スルッと寝かすことができるようになる。フロントに重量物があるのは変わりないがリヤの接地感も途切れないので前後がイーブンに感じられ、安心して車体を傾けることができ、コーナーの出口へと向かっていけるようになる。
エンジン車の場合だったら、ギヤを落としすぎないことでエンジンブレーキを弱めることができる……というか、多くのライダーは自然にそうしていると思うが、ようは同じようなイメージで回生ブレーキをコントロールしてやるわけだ。スロットルレスポンスのフレキシブルさがそれを可能にしている。
そんな意外なマニアックさを持ったEGO+だったが、慣れてくると、変速操作がないことでブレーキ&スロットル操作に集中できるとか、エンジンの振動がないことで路面の接地状況がクリアに伝わってきやすいとか、電動バイクならではの面白さが詰まっていることがわかってくる。
これをサーキットで走らせたらまた面白いだろうなぁ……と夢想せずにはいられなかった。
残量が10%を割ったあたりで強制エコモードになる
御殿場市街とワインディングを走り、置き撮りでも少し電力を消費したことでバッテリー残量は25%くらいに。帰りも上り車線のEXPASA足柄に寄ることにした。
EXPASA足柄に到着し、EVスペースに停めたところで残量は22%。走行距離は80kmほどで50%減ったことになるから、平均電費は16km/10%くらいということに。まあやっぱりワインディングはスロットル開けるから減るよね……と思いつつも、もっと電費が悪化することを想定していたので、やはり回生ブレーキが仕事をしていたんだと思う。
往路と同じように30分の急速充電をし、ここでは41%ほど回復して63%に。充電器の電力や気温、バッテリー温度などによって充電量に変化がありそうだ。
帰路の東名高速も往路と同じように走ったが、足柄から厚木あたりまで緩やかな下り勾配が続くせいか、メーターを観察しているとこの区間は25km/10%ほどの電費になっていた。あとは残量ギリギリまで攻めたいので少し遠回りして湾岸線を経由することに。
およそ114kmを走行して、編集部ガレージに到着したころのバッテリー残量は4%。残り走行可能距離がひと桁になってからはなかなかスリリングだったが、危なくなる前に一般道に下りようと思っていたところ、そのまま編集部ガレージまで走れてしまった。
残量が10%を割ったあたりでエコモードに切り替わっていたようで、ちょっと追い越しをかけた際にローパワーになっていたことに気付いた。とはいえ、かつて所有していたセロー250(空冷単気筒)よりはパワーがあったように感じたので、日中の首都高を走るくらいならなんの不自由もない。
さて、編集部ガレージから充電スポットを探してみよう。チャデモの急速充電スポットを検索する専用アプリもあるようだが、ここはGoogle先生の出番である。なんとGoogleマップで『急速充電』と検索すると、チャデモの設置場所が地図上に出てくるのだ。しかも営業時間まで記載されている(Googleマップ上の営業時間はアテにならない場合もあるのでご注意)。
というわけで編集部から数km離れた日産のディーラーに向かい、訝しむような視線を受けながらEV急速充電スペースに駐車。充電ソケットをシート下に差し込むと、ディーラーのスタッフも思わず笑顔になった。
日産のEVスペースに駐車した時点でのバッテリー残量は2%、前回充電からの走行距離は120kmほどだったので、区間電費は約19.7km/10%だ。
ツーリング全体でいうと、約303km(変なタイミングでトリップメーターを戻してしまったのでおおよそです……)を走ってバッテリーは161%消費したことになる。全行程での平均電費は約18.8km/10%だ。
往路のEXPASA海老名あたりでうっかりトリップをゼロにしてしまったため走行距離がおかしなことになっているが、Googleマップで調べたところ編集部から海老名までが54kmらしいので総走行距離は248.7+54=302.7kmといったところ。
今回のツーリングは79%スタートだったが、満充電100%で出発していれば途中2回の30分急速充電で40%強ずつ回復したとして、使える電力は合計180%強。これならそこそこハイペースで走ったとしても下記のように全く問題なく帰り着くことができるってわけだ。
使える電力:(満充電100%)+(40%充電×2回)=180%
今回使った電力:161%
これなら十分に実用的だと考えるが、読者はどのように感じただろうか?
エンジン車は色あせない、だがこれもイイ!
冒頭にも書いたように、バイクに情熱を傾けるエンスージアスト、言い換えれば趣味を楽しむためならある程度の出費は惜しまないという人々にとって、EGO+は十分にバイク趣味として成立する電動モーターサイクルだと思う。それは、乗り物として走らせる魅力とともに、これなら納得できるという実用性を備えていたから。
今回は別件の試乗テストで同行したライターのN村T彦さんとバイクをとっかえひっかえ走ったが、ちょい古のモトグッツィV7に乗る筆者と、ガチ旧車の同850GTなどに乗るN村さんという、癖のあるエンジン車が大好きな2名であっても、思わず笑顔になってしまうような楽しさ、面白さがEGO+にはあった。
もちろん現実的に700万円(一番安いESSEESSE9なら約550万円!)を支払える人は限られるだろうけれど、時代が進んで電動モーターサイクルの大衆化が進んでいったとしたら、多くの人たちがそれを選択肢としてとらえるようになるはず。
エンジン車の魅力は色あせないし、なくなってほしくもない。でも、電動モーターサイクルにも存在意義と大きな魅力がある。そう思えた試乗機会だった。
エンジン車でいう通常のクランクよりはかなり後方にモーターを搭載するが、ドライブシャフトは一般的な位置関係になっているのでアンチスクワットは普通に発生する。そんなふうにスーパースポーツとして車体を観察できる電動バイクはまだまだ少ない。
余談ではあるが、乗り終えてすぐにバイクカバーを掛けられるのも高温にならない電動バイクならでは。車両価格を考えると防犯上でも助かったのであります。
ENERGICA EGO+ IVY EDITION スペックとスタイリング
車両の注文時に仕様を決める方式。日本にまだ1台しかないというイタリアンカラーのトリコローレや0-100km/h@2.6秒のRS仕様(通常モデルは2.8秒)などで発注したことにより、所有者のアイビーレーシングからIVYエディションと名付けられている。
電動バイクは道路運送車両法により登録は250ccクラスと同じ軽二輪扱いになり、したがって車検は不要。ただしEGO+の場合は定格出力で運転には大型二輪免許が必要だ。クラッチはないのでAT限定でも可。
主要諸元■全長2138 全幅870 全高1166(ミラー含まず) 軸距1466 シート高810(各mm) 車重260kg■原動機 水冷ハイブリッドシンクロナスモーター 300V-12000rpm 最高出力171ps 最大トルク21.93kgm 最高速度240km バッテリー容量21.5kWh 航続距離(市街地)420km■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●参考価格:736万4280円(IVYエディションの場合。通常仕様は628万1000円からで、価格は仕様や為替により変動)
ENERGICA EGO+ IVY EDITION のディテール解説
ENERGICA EGO+ IVY EDITION ギャラリー
ENERGICA EGO+ IVY EDITION
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