改正規則の施行日以前から運転していたケースのみ

普通2輪免許で電動大型バイクも運転OKの例外を設定[電動バイク 免許制度改正]

8月の記事で掲載したように、電動バイクの免許区分が定格出力20kWを境に大型2輪免許を必要とする形に改正される。これについてのパブリックコメント募集が終了し、進展があったのでお伝えしたい。ハーレーダビッドソンの高性能な電動バイク、ライブワイヤーなどに乗りたいとき、あなたの場合はどうなる?

1年間限定の猶予期間として、普通2輪免許に特例を設ける

本誌10月号でお伝えしたとおり、「電動バイクの免許区分見直し」が予定されている。その後、「経過措置」に関する新事実がわかったのでお伝えしたい。

まずおさらいだが、現在、電動の大型バイクは定義されておらず、出力が高くても「ガソリンエンジンで250cc以下と同じ」として扱われてきた。警察庁はこれを改め、定格出力 20kW超の車両は大型2輪免許が必要となるよう道路交通法施行規則を改正する予定。7月22~8月20日の期間、一般からパブリックコメントを募集していた。

その結果が9月26日に公開。これによると、例外的に「普通2輪免許を大型2輪免許とみなす」ケースがあるという。それは、改正規則の施行日(12月1日予定)以前から普通2輪免許保持者で電動大型バイクを運転しているケース。この場合、普通2輪免許でも特例として電動大型の運転が合法となる。ただし施行日から1年のみの期限付きだ。

また、前述のケースの人は、電動大型バイクを使用して大型2輪免許の運転免許試験を受験可能。合格した場合、電動大型2輪に限り運転できる大型2輪免許が与えられるという。

なお、寄せられた意見として「出力による区分を、EUの区分に合わせてほしい」「定格出力20kW程度では、大型2輪に区分するには小さい」との声も。警察庁は、前者に関して「EU等の諸外国においては、電動2輪車が最高出力等により区分されているものと承知していますが、我が国では電動2輪車が定格出力により区分されていることを踏まえ、定格出力による区分としました」と回答。

後者は、「現在流通している自動2輪車を参考にするなどして検討を行い、また、普通2輪免許で運転できる車両のうち最も大きい総排気量400ccの車両の運転特性が定格出力20kW程度の電動2輪車と同程度」だったことを根拠としている。

今回の改正ではオートマ限定大型2輪免許の排気量上限を撤廃したのもトピック。これらは全て今年12月1日施行予定だ。

電動バイク関連改正のまとめ

●定格出力20kW以上の電動バイクは大型2輪免許の区分に。
●今年12月1日(予定)までに、普通2輪免許保持者で定格出力20kW以上の電動バイクに乗っている人は、1年間そのまま乗車OK。
●上記の人が電動大型バイクで技能試験に合格した場合、大型電動バイクのみ運転できる大型2輪免許を交付する。

「定格出力」とは?

おなじみの「最高出力」は、瞬間的に出せるパワーのこと。一方、聞き慣れない定格出力とは、モーターが安定して連続で使用できる出力の意味だ。長時間運転してもオーバーヒートなど問題が起きない出力で、最高出力より低い数値になる。国交省が審査し、試験方法も定められている。

12月までに大型電動バイクを使用していることが経過措置の条件だが、現在、国内で流通している電動バイクで定格20kW超はまず見あたらないのが実状。大型相当と思われるハーレーのライブワイヤー(写真上)は今夏、米国で発売されたが、国内への正規導入時期は未定。モトGPの電動版「モトe」に参加するエネルジカのエゴ(写真下)は、2019年内にエスター社が輸入予定ながら、未登場だ。
BMWの電動バイク、Cエボリューションは定格出力19kWなので、これまで通り普通2輪免許で乗車可能だ。

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