レプリカ戦争の後には「最速」競争が勃発した!
思い返せば、バイクの世界は「いつか来た道」をたどるケースが多々ありますから、可能性はとても低いでしょうが、再び各メーカーの威信をかけた馬力競争が勃発するかもしれません。
250/400のレプリカ戦争が終わり、日本ではネイキッドバイクが主流になる頃の’90年代中盤に、今度は「最速戦争」が勃発しました。仕掛けたのはカワサキ・ZZ-R1100(C)で、バイクも時速300kmの世界が見えはじめました。
そして、ZZ-R1100はラムエア過給によりさらに性能を向上したD型を’93年に発表。それに対抗して、ホンダが’96年にCBR1100XX スーパーブラックバードを投入して、最速マシン=メガスポーツ戦争が激化し、’99年にはスズキが満を持してGSX-1300Rハヤブサを発表して、ついに時速300kmの世界が実現したのでした。
その後、カワサキがモノコックフレーム採用のNinja ZX-12Rを2000年に発表し、さらなる激化が予想されましたが、ヨーロッパで最高速競争の行き過ぎが問題視されはじめ、ついには上限300km/hの自主規制ができ、同時に各メーカーとも300km/hスピードリミッターを装備することになり、争いは自然に沈静化していったのです。
しかし、その傍で起きていたのが、リッタースーパースポーツの激しいバトル。’92年に登場したホンダ・CBR900RRファイアーブレードが確立した、軽量でハイパワーなビッグ・スーパースポーツが各社の主戦場となり、追随したヤマハ・YZF-R1(1000cc・’98年)の登場とともに、まるでかつての250/400のレプリカ戦争のような状況を呈し始め、スズキ、カワサキの国内メーカーに加え、ドゥカティ(916系)、BMW(S1000RR)も参入。
あれよあれよという間に、最高出力は200馬力オーバーの時代になってしまいました。
ただ、かつてのレプリカ戦争と大きく違うのは、もはやそれらのビッグ・スーパースポーツはマーケットのメイン機種ではなく、売れ筋はツアラーやネイキッド、ネオレトロといった日常で楽しめるバイクに移行していたために、この争いは多くのユーザーを巻き込んだムーブメントまでには至らずに、ごく一部のユーザーとメーカーの間に留まっていたことでした。
とはいえ、それらビッグ・スーパースポーツは現在もワールドスーパーバイクレースのベースマシンですから、自主規制は何のそのの300km/hオーバーの性能競争は現在に至るまで止まることを知りません。
ことほどさように、高性能化、高出力化(さらには軽量化も)はバイクの世界では当り前のように(あるときはユーザーそっちのけで)行われてきたのです。
CO2削減のためのEV化など、大きな曲がり角、というか誕生以来の大転換点を迎えつつあるバイク。高出力化(と走行距離の両立)が非常に困難と言われているEVを本格的に普及させる前に、ガソリンを燃料にする内燃機関で究極の高出力バイクを作っちゃえ! なんて、ちょっとヤケッパチっぽいことが起こらないとも限りません。何が起こっても不思議じゃない、昨今の世の中ですからね。
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