今秋EICMAでの発表が濃厚と思われるホンダ「XL750 トランザルプ」の実車を捉えた写真を入手した。車体には“TRANSALP”の文字が入り、並列2気筒エンジンや大径フロントホイールなども確認できる。
PHOTO: ©Actumoto.ch / Jean-Baptiste Rozain ※写真の無断転載を禁じます
公式発表前のトランザルプを発見!
イタリア語を話す協力者からヤングマシン編集部にタレ込みがあった。スイスのactumoto.chに新型トランザルプのスクープ写真が掲載されているというのだ。我々はさっそく記事の写真を撮ったフォトグラファー Jean-Baptiste Rozain 氏にコンタクトを取り、それらの写真を入手した。
この車両を捕捉できたのは偶然だという。イタリアで行われたハードアルペンツアー(HAT)に参加したActuMotoチームが撮影をしていた際、同じ道を行ったり来たりしていた1台の車両に興味をそそられ、望遠レンズで試しに撮影してみところ、車両に『TRANSALP』の文字があったというのだ。車両は今までに存在したトランザルプではなく、明らかにニューモデル。これは巷で言われている新型トランザルプと見て間違いない……!
かくして写真を入手した我々は、車両をつぶさに観察することに。
ラジエターシュラウドには車名の「TRANSALP」ロゴが大きくあしらわれ、サイドカウルには750の文字。これまでに掴んでいる「XL750トランザルプ」の情報通りである。
エンジンは並列2気筒で、NC750シリーズのような前傾シリンダーではなく、また400X(海外ではCB500X)系とも異なる新しいもの。エンジン下には大型のアルミ製エンジンプロテクターと小ぶりなパイプガードが装備され、意外にコンパクトマフラーは、アフリカツインよりも小排気量であることをうかがわせる(NC750Xと同程度の大きさで跳ね上げ角度は大きめ)。クラッチワイヤーが存在するようなので、少なくとも写真の車両にDCTは搭載していないようだ。
ホイールサイズは前21/後18インチまたは前21/後17インチ程度だろうか。リムを見る限りは一般的なスポークホイールであり、履いているのはチューブタイヤだろう。フロントブレーキはダブルディスクで、キャリパーはアキシャルマウントの片押し2ポットに見える。スイングアームはおそらくアルミ製だ。サスペンションのストロークは、本格的なオフローダーほど長くはないが、荒れた路面でも気にせず長距離を走れる180~200mm程度は確保しているはず。
ヘッドライトは縦目のLEDと思われ、その形状は400Xに酷似。テールランプまわりやウインカーはアフリカツインと共通だろうか。大きめのリヤキャリアはグラブバーを兼ね、その形状はアフリカツインのものよりも頑丈そう。“アルプス越え”を語源に持つその名の通り、ロングツーリング性能をうかがわせる装備である。
シートは前後が繋がった段付きタイプで、足着き性はアフリカツインよりもよさそう。燃料タンクはかなりの容量を確保しているように見える。ライディングポジションはアップライトなもので、ナックルガードは標準装備。立ち気味のスクリーンは防風性も高そうだ。
1987年に誕生したトランザルプ600Vに近いコンセプト
コンセプトは1987年に登場した初代トランザルプ600Vに近い、荒れた路面をものともせずにアルプス山脈を越えられる、いわゆる“アルプスローダー”だ。その後の世代ではフロント19インチホイールの採用などオンロード色を強めたものもあるが、新型は原初のコンセプトに回帰しているように思える。
想定ライバルとなると、同じ方向性のマシンは意外と少なく、ヤマハ テネレ700やアプリリア トゥアレグ660のようなガチンコ系オフローダーよりも、ハスクバーナ ノーデン901やBMW F850GS、もしくは意外なところでロイヤルエンフィールド ヒマラヤあたりが近しいと言えるだろうか。奇をてらわず自然に溶け込むデザインと質実剛健の乗り味で、あらゆる道を交えながら苦もなく距離を進めていく姿が目に浮かぶ。
予想される正式発表の時期は2022年秋で、エンジンのベースを共有するであろうホーネット750と同時発表の可能性も。価格は100~120万円程度に収まればうれしいが……。
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